テーマは子供との触れあいと教育である。こともあろうに先生が教室で自殺してしまうことから、波紋が子供の心に広がって行くその過程と癒しの物語である。
淡々と静かな演出。子供たちの一見、普通そうに見える日常にしこりとなって消えることのない現実。臨時教員に採用された男の隠している悲惨な過去。映画はそれらを丹念に描写している。実にいいリズム。たれる事もない。
そしてラストは臨時教員の最後の一日の授業を描いて感動的である。静かな涙が流れる秀作とも言える。
しかし、よく考えるとこの映画はあざとい。冒頭の、前の担任が何故、よりによって生徒たちの生活の場である教室で自殺する必要があったのか。それはいい先生であったとされているが、いい先生だったらそんなことをするはずがない。僕は訝ってしまう。
また臨時教員がいくら生活のためであれ、資格のない教員をやってしまうというのは立派な犯罪である。そしてそこは子供教育の場である。自殺した教員のあと、なり手がなかったことを背景に、ただ生活の必要に責められて教員志願したのではなかったのか。
この冒頭とラストの猥雑さがこの作品の質を歪曲してしまう。映画を観終わってじわじわ気になってくるのだ。これがもしそうだとしたら、一番悲劇なのは二度もだまされたしまういたいけな子どもたちだ。
スタッフにはそのことの意味が分かっているのだろうか、、。
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