もうかれこれ空晴の前の劇団ランニングシアターダッシュから計算すると、25年ほど見続けている劇団だ。この劇団によって演劇の面白さ、楽しさを教えてもらったのだから、ファンとしてきちんとお礼も兼ねて、しっかり見なければならないと思っている。
今回は20作品目というひとつのターニングポイントにあると思う。
いつもより勘違いもまろやかとなり、題名通り(岡部はまさしく詩人だ)人生の濃淡を人との掛け合いでさらりと見せてくれる。大きな笑いより、ちょっとしたセリフで、「あれ、それって深くない?」と瞬時に思わせてしまう。そのセリフを頭で抱えているうちに次のセリフが舞い込む仕掛け。絶妙である。
25年ともなれば、劇団員の不幸も私は知ることとなった。二人は若くして道途上にして倒れた。その一人H氏の過去の劇のセリフを今回使用したと岡部は言う。まさに、この劇は岡部にとってこれから演劇をどこへ、どう向かうのか、という重要な意味合いがあったのかもしれない。
さて、私と言えば、ここ2年、空晴の演劇をコロナ禍でスルーしていた。申し訳ない。ファンとして甘い私に、空晴は冷水を浴びせる。
そして今回のこの劇だ。空晴は小さな舞台に過去のゲストを3人呼び、ミニマムではあるけれども集大成とでも呼ぶべき演劇を構築したように思う。もう迷いはないはず。そんないい演劇だった。
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