いつも厭なざわざわ不安感をあおるファルハディの映画。今回は多少ましだったかな。意外とシンプルで、分かりやすい作品でした。その分ちょっと彼らしき毒性が薄まった感もする。「セールスマンの死」との対比は作家風色付けが見え見えで少々鼻白むが、、。
この映画で何点か分からないことがあります。
1.彼女は本当に強姦に遭ったのかどうか。
怪我はしたようだが、その怪我も何故そうなったのか分からない。強姦でなかったら、なぜ男はお金を置いていったのか。強姦された女性が演劇出演するだろうか。(舞台ではひどい状態だったが、でも彼女は一応舞台には立った。普通は強姦されていれば舞台に立つ気力はなかろう)
2.ラスト近く。男が前後不覚になっているとき、なぜ救急車を呼ばなかったか。
妻を呼ぶ時間があれば通常は救急車を呼ぶべきだろう。妻が呼び戻しても、救急車を呼ばなかった。(まあ、あそこで呼んでいればこの映画が成立はしないけど、、) 冒頭の、身障者への救急避難との対比がされるが、そこに意味を採るのか。
3.クスリを置き忘れて家族が取りに来るシーンがあるが、普通は忌まわしい男の置忘れものだから、クスリの置忘れに気づき、すぐ家族に届けるのでは。何か、男を死なせるためのファルハディの作為を感じる。
とか、結構、ファルハディの企みの囲いの中で、この映画は成り立っているのですね。これをどう採るかだなあ、、。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます