アヘン戦争後の混乱の状況下の上海を描くことに西洋は関心があるのだろうか、日本人にとっては厳しい占領政策がそのまま娯楽映画の材料にされているようなイメージが残るのは致し方ないところか。
まず【ジョン・キューザック】。ちょっと太目は落としたが、主役の割には性格設定が不足気味。まず彼が友人のスパイの死因を探索する動機づけが弱いのだ。列強に支配されようとしている上海でスパイが殺害されるのは当たり前のことではないのか。そんなことを想っているからか、【コン・リー】との淡い恋愛も全然物足りなく見える。
この時代の外資系映画では日本人が悪く描かれるのは致し方ないところ。実際シャンハイで占領政策を起こしていたのだから映画の描写もそれほど事実と遜色はないのでは、と思ってしまう。しかし、中国から見て西洋列強はどうだったのかこの映画では逆に不明瞭ではある。
【渡辺謙】が現地の司令官役で相変わらずの熱演だが、ちょっと形式的で普遍的な役回りだ。それは我々に感動をそれほど与えるものではない。何しろ【菊地凛子】の出番が少な過ぎて彼らの恋愛が曖昧。編集で大分カットされたのだろうか、彼女には気の毒だ。
【コン・リー】も相変わらず容艶で美しい。けれど、パルチザンとしての女性としての位置づけが基本で、夫とアメリカのスパイとの揺れ動く恋愛模様というのもちょっとてんこ盛りすぎたのか、掘り下げが浅かった。大御所【チョウ・ユンファ】も結局存在感を出しきれないまま。
でも全体的には混乱した魔都シャンハイ自体はそこそこ1941 前後の混沌を描くのに成功している。まあ、スター映画だとしたらこんなものか、、。
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