ほぼ4人の対話劇です。カフェに高校卒業をまじかに控えた4人が集まる。それぞれの進路をみんな秘めている。
東京に行き、舞台を目指す者。バーテンダーをあこがれるも地元の信金に就職する者。フリーターをしていた寿司店から恩返しの気持ちでそこに就職する者。そして、カメラマンになりたい気持ちはあれど、父親の跡を継ぎ医者を目指す者。
18歳だからもっと大きな夢をみんな持っていると思ったら、意外とささやかだけれど、それぞれの気持ちを思いのたけ膨らませた職業である。みんな悩んでいるんだなあ、、。
ただ、4人のうち3人が進学しない。これは現代の若者とは少々違う傾向だろう。だから、この演劇は実際の彼ら若者の気持ちをそのまま切り取ったものではなく、例えばこういう場合、こういうことも選択できるよね、といった思いなのかもしれない。
話の中心はこの中では一番スケールの大きな、東京に行き舞台を目指す女性ではなく、信金に就職する女性となっている。信金が地味で退屈そうに表現されていたが、実際は金融機関だから、とてつもない現代と日夜接触せざるを得ない過酷な職場だろう。すしチェーン店を目指す青年とも実際はそれほど変わりはしない。働くということはどの職業でも自分を犠牲にして、その対価として報酬を得るものだからだ。
最近の演劇としては実に身近なテーマを持ってきたなあと思う。逆にこういう演劇は珍しい。そういう意味では実に素直に若者たちの心の懊悩を描いたものであろうと思う。でも、仕事ですべて彼らの人生が規定されるわけでもなく、もっとおおらかに人生を大きく捉えてもいいのではないか、とずっと人生の先輩たる吾輩は彼らに伝えたい気もする。
でも切実で素直な演劇でしたね。たまにはこういう演劇もいいよ。若い人の考えているところがほのかに感じられました。
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