関節リューマチの女性と孤児院育ちの荒くれ男との強い愛の物語であります。たまたま主演のサリー・ホーキンスは「シェイプ・オブ・ウォーター」と同じく社会的マイナーの役柄を演じていますが、断然こちらの方が親近感があります。
何故かって、弱者同士だから心打つ、とかそんな絵空事を言うつもりは全然ないが、誰もが辿り得る愛の醸造感が観客に自然に伝わって来るのです。
セリフの少ないこの夫婦の繫がりも、この芸達者な二人によりつまびらかに感じさせる。外国映画でよくあるような夫婦のセリフの多い作品なんか、実は現実をかなり逸脱しているのかもしれないのだ。
通常の夫婦は愛のことなんかあまり口にもしないし、実際はお互いに言葉を発することも少ないのではないか。そういうことからも僕はこの夫婦に実に親近感を覚えるのであった。換言すれば、リアリティがすこぶる高い。人間を絶妙に正しく描いているのだと思う。
セリフは少なく、映像だけで2時間じっくり普通の夫婦愛を描いたこの作品は実はすごい作品なのだと思う。この尋常でない映画作りに大いに貢献したこの二人の俳優には演技賞ものである。
それにしても、サリー・ホーキンスはさておき、まだ50才にも達していないイーサン・ホーク 、いい役者になったなあ。この二人に惚れ惚れしました。
また、彼女の描いた絵画をラストで連続して見ていると、実に童心で描いているのが分かる。絵心というのは年齢にかかわらず、ほとばしる心の泉なのであろう。対極にいる僕には決して出来得ないことであります。秀作。
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