この作品は、映画的テクニックはそれほど鋭いわけでもないのに、またカメラワークがたいそう切れがあるわけでもないのに、腹の底から沸々と静かに湧いてくる確かで強いこの思いは一体全体何なのか、、。
90歳になるかという老人の思いがテーマである。ホロコーストから逃れるも、現実世界では3人の娘から自宅を取り上げられ老人ホームに放り出されようとしている。ある意味彼にとってはそれは悪夢だったナチ収容所送りと一緒ではないか、と彼は自問する。
そして突然、90年間の不毛の人生にすべきことが一つだけあったことを彼は思い出す。命からがら収容所から脱走し、自分をかくまってくれた友人に約束していた青いスーツを届けることだ。彼は地球の裏側に生きているだろう人生最後の旅をするのだ。
そんな切ないロードムービーなんですね。
3人の女性が彼を助けてくれる。人生、悪いことばかりではない。親切な人もいるのだ。彼の心にも雪解けが始まってくる。ほんわかに、そしてコミカルムードで、人と相対するフラットな気持ちが湧き出るすばらしいエピソード集である。
パブロ・ソラルス監督、彼の品性のまっすぐで、素直な部分がよく出ています。この作品の芯となる出色の部分です。
そしていよいよ、ラスト。恐らくこのシーンのためにこの映画はあると言わんばかりの素晴らしい感動シーンです。これを見て泣かない人はいないでしょう。この老人にも、ひとりだけ心を許せる人がいたんですね。胸が熱くなります。
さて、自分にも人生を振り返り、こんな友人がいるだろうか、と自問する。逆に映画館を出るとき、哀しくなりかけたのも事実です。考えさせられましたネ。秀作です。
ことしは、みたい映画が少なかったです。
ミッション・インポッシブルとボヘミアン・ラプソディくらいしか印象に残っていないです。
閉館感謝に500円で観た「ニュー・シネマ・パラダイス」は、よかったです。
映画の全盛時代から閉館にいたるまでの映画館を描いた作品でした。
ミッションの新作は面白かったですね。トム・クルーズ頑張ってます。元気が出る映画です。
またお越しください。
それでは。