モノクロ、ほぼ正方形の古めかしい画面、荒れ狂う海の波間とともに二人の灯台守の葛藤が展開される。
映像は確かに凝っている。ほぼ正方形の画面のため閉塞感が強いが、画面から飛び交うように男たちの雄たけびが鳴り響く。男二人の心理劇のようで、実は二人が最後に人格が結合するあの映画。ふむふむ、これは僕の大好きな映画、ベルイマンの「ペルソナ」ではないのか。
カモメ(航海の無事を守る鳥らしい)、人魚、ネプチューン(デフォーの役割、パワハラ)、プロメテウス(ラストシーンの喰いばむ鳥)、イカロス(灯台の火を見つけ触ったことにより落下する)などのイメージがところどころ映像化されている。これらは西洋人では当たり前のギリシャ神話からの引用だ。(家に帰ってからにわか勉強)
日本人にはとっつきにくいところがあり、本作でもこの部分が難解さを醸し出しているが、西洋人にはニヤリとさせる部分でもあるのだろうが、一方では作品の深みを感じさせる部分でもある。
面白く且つ野心的な映画であるが、さて見て楽しむ映画だけであっていいのだろうか、と思うのだ。何とでも取れる作風に奥底に潜むエガースの心根が見えてこない。「ペルソナ」、ギリシャ神話に触発された作品であるなら、極めつけはやはりほぼ正方形の画面の映像世界と二人の俳優の演技合戦になるのだろうか、、。
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