この劇団は内容こそ違えど、いつも同じテーマで観客にぐいぐい迫って来る。観客はそれを十分知っており、劇団側ももちろんそれを知り過ぎている。そういう「あ・うん」の関係でこの劇は成り立っているのだと思う。
今回は、でも舞台はあるうらぶれた旅館でもなく、昭和の色濃い喫茶店でもなく、ましてや古びた商店街でもない。昔栄えたお化け屋敷の廃墟の跡に彷徨うお化けたちと、彼らと心を交わせることのできる者たち(すなわち純真な子供心を持ち続ける清らかな人間たち)との交流の物語であります。
と、こう書いたらもうこの劇についてあれこれ書く必要はないように思われます。目の前にあるどうしようもない現実、または日常の嫌なこと、あるいは沸々と出てくる仕事のこと、そして家族の心配事も90分だけ忘却させる緊密の時間がここにあります。その時間帯は、劇団と観客が一体となることのできる不思議な空間を生みます。それはすこぶるいとおしい貴重な時間帯です。
それを求めて吾輩も6,7年ここに来ております。そして劇団側徳田ナオミさんたちは40年間もこのタイムマシンを動かしてきたわけです。すごいことだと思いませんか?
来春、陽気が川と公園ともろもろの工場群にたどり着くころ、私たちはその瞬間を求めてまた訪れます。今からもう待ち遠しい気持ちが、、。
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