今までの小劇場からちょっと大きいHEPに舞台が変わって、美術が大胆になり、表現力も多彩になり、坂本の小宇宙が明瞭になる。その世界は際限なくほとばしるようである。
けれど相変わらずひとりよがりで、しかも難解なこともあり、ついてゆくのがやっとという観客が多いのではあるまいか、と推察もする。
結局は過去をさかのぼり、自分探しの旅をすることになるわけですね。自分の母親のこと。父親のこと。そこに半端でない物語を用意しているから、どんどん観客を置きざりにしてゆく。僕たちがやっとのこと追いつくと、一瞬にしてさらに遠いところに彼は辿り着いている。
その無軌道で自由な発想力はむしろ文学的ですね。何か昔よく読んでいた大江健三郎の小説を読んでいるようで、坂本の創造性は究極のところ、文学に行き着くのかもしれません。その豊饒なイメージの噴出は現有の関西の小演劇ではあまり味わえない特異性があります。僕は好きです。
もう一回よく見れば分かるかもしれないと一瞬思うけれど、ひょっとしたら同じかもしれませんネ。演劇的にはテクはかなり高い。もっともっと極めてくれ。
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