乙一のせつない系でもかなり人気のある原作の映画化だ。僕は乙一が大好きで、映画化されとなると、いつも自然と映画館に足を向けている。でも、この作品が一番感動度が低かったかなあ。
小説と違い映画ではどうしてもリアリズム的な感覚がスクリーンを支配する傾向がある。だから、この、傷のムーブといった概念が映像化されるとどうもカリカチャーされてしまい、乙一の本質に入っていくことを阻んでいる。俳優も観客を想定した人を起用しており、少々アイドル系な映画になりかけていた。
でも、さすが、そんなものは乙一の世界に入ってしまうと、見事払拭してくれる。しかし、そういう時ほど演出力が必要とされるはずだ。荻島達也、前作「きみにしか聞こえない」では意外や、乙一のピュアな世界を形成することに成功していたが、本作は少々流されていた感じ。
だが、現代では異色の、この乙一ワールドを再現しているのは事実であり、観客に人の心の痛み、温かさ、連帯感を与えてくれている。
突き詰めてみればこの傷のムーブはワイルドの「幸福の王子」にモチーフが近く、自己犠牲の話である。王子は自分の身を削って貧しい人々に施したのち、人々を幸福にしていくが、ツバメとともに死を迎えなければならなくなる。本作の小池徹平は何かを掴んで友人たち(ツバメたち)と生きる糧を得る。やはりその違いは大きく、これこそ自己犠牲という同じモチーフであってもワイルドと乙一との相違が現出しているのかもしれない。
でも本当に乙一の映画を見て流れる涙の熱さは他の映画でとは全く違うと感じるのは僕だけだろうか、、。好きな作品だ。
小説と違い映画ではどうしてもリアリズム的な感覚がスクリーンを支配する傾向がある。だから、この、傷のムーブといった概念が映像化されるとどうもカリカチャーされてしまい、乙一の本質に入っていくことを阻んでいる。俳優も観客を想定した人を起用しており、少々アイドル系な映画になりかけていた。
でも、さすが、そんなものは乙一の世界に入ってしまうと、見事払拭してくれる。しかし、そういう時ほど演出力が必要とされるはずだ。荻島達也、前作「きみにしか聞こえない」では意外や、乙一のピュアな世界を形成することに成功していたが、本作は少々流されていた感じ。
だが、現代では異色の、この乙一ワールドを再現しているのは事実であり、観客に人の心の痛み、温かさ、連帯感を与えてくれている。
突き詰めてみればこの傷のムーブはワイルドの「幸福の王子」にモチーフが近く、自己犠牲の話である。王子は自分の身を削って貧しい人々に施したのち、人々を幸福にしていくが、ツバメとともに死を迎えなければならなくなる。本作の小池徹平は何かを掴んで友人たち(ツバメたち)と生きる糧を得る。やはりその違いは大きく、これこそ自己犠牲という同じモチーフであってもワイルドと乙一との相違が現出しているのかもしれない。
でも本当に乙一の映画を見て流れる涙の熱さは他の映画でとは全く違うと感じるのは僕だけだろうか、、。好きな作品だ。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます