話題作である。即、見に行く。なるほどそういう映画か。でもちょいとあざとい感じが匂うかな、、。
映像は全面パンフォーカスしていて細密画あるいはワイエスのような画像で美しい。うっとりする。これも恐らく塀の向こう側で行われていることを無視することのできる人間への限りない嫌味あるいは警鐘のつもりなのではあるまいか、キレイにキレイに描くことでヘスたちを罵倒している。
冒頭から何度も出てくる画面の黒塗り。かすかに聞こえる収容所での物音。ああ、あざといなあ。こんなやり方でしかこういう人類の真っ暗な深部を描けないと思っているグレイザー氏、幼稚過ぎません?これに音響賞を与えるアカデミー会員も同じく。
さて、かなりいつもと違いけなしている吾輩ですが、作品的には全編ワイエス風の映像がやはり美しく、静謐な美術画をずっと見ている気がいたしました。あの夜中にリンゴを置くある意味レジスタンス的な行動を写す反転映像もこれは何なんだと思いつつ、でも奇抜で面白かった。
クレイザー氏はまともにホロコーストを描くことはせずに音響、映像でより一層観客を引き付ける手法を取り入れたんでしょうか、、。まあ、結局はこの作品を認めている吾輩ではあります。西洋人とは違う日本人の受け止め方はかなり批判的ではありましょうが。
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