私小説的な演劇です。今自分がどこにいるのか、自分とは何なのか。この自分は祖母の葬式にも出席しようとしない。机で、新たないつ公演できるかもわからない劇の台本を書いている。その彼の脳裏にみなぎり彷徨うものは、、。
映画でも演劇でもまず自分とは何か、という身近なテーマをまず問題にする。その基本的な代物が分からないと、自分をどこに持って行っていいか、何を書いていいのか不明瞭である。と僕は思っている。
だから、例えば映画ではフェリーニの「8・1/2」的な自己追及作品などが過去に名作を生み出してきた。本当に見事だ。その行為は芸術の深淵に辿り着くまず最初の第一歩だと僕は思っている。
だからというわけではないが、かしこしばいの2作目にこのテーマを持ってきたのは必然だと思う。そしてその目論見は成功していると思う。
この若い作家の喜び、苦悩、哀しみ、諦観を75分に描いている。それは観客に投影されるべき内容である。一般人も常に自分を追及しているからだ。主役の小林夢祈が熱演。彼は一体全体何歳なんだろう?その若いエネルギーにうらやましくもあり、拍手を送りたい。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます