授業にならない教室。貧民層、さまざまな人種・宗教のもと通ってくる生徒たち。高校生だからもう風貌は大人並み。そんな彼らにも歴史を知る、すなわち人間を知るという重みを分かち合う時が来る、、。
とにかく短いカットが連続した小気味よい映像が続く。26人の生徒をカメラだけで描写する。この映画の場合、セリフはそれほど重要ではなく、主体とされるのは彼らの表情であり、内面である。すなわち人間性である。
2時間弱、今まで全く勉強というものから遠ざかっていた子供たちが、アイシュビッツの悲劇に徐々に関心を持ち、そして自分の中で消化し、クラス全員でコンクールに発表するに至る過程は、もう観るものの眼を点にする。彼らが初めて何かに目覚め、そして初めて行動した瞬間である。
そう、それをこの映画はほとんど映像のみで彼らの内面に食い入ってゆく。失語症気味だった少年も、派手目でファッションにしか興味がなかった少女も、将来映画界を目指し勉強していた少年も、落ちこぼれの烙印を押されていた彼らが、初めてみんなで一つになって一つのものを発表する。今、教育で一番必要とされているものだ。
独りだけクラスで落ち抜けしてしまうが、彼でさえちゃんと彼らの発表を応援する。心はしっかり彼らとつながっているのである。
素晴らしい映画だ。もうこの素敵な優しいタッチに酔い痴れ、感動は2時間続いた、、。
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