年齢的にはもう立派な青年なんだが、心は思春期同様に迷夢する二人。そんな二人の切ない揺れ動く心象風景を、繭から1本の糸を紡ぐように鋭く描き切った佳作です。
二人の周囲の友人たち、家族たち、会社関係の会話はだからこの映画の場合、ほとんど意味を持たない。僕たちは映像から知り得る二人の心の動きを観察することだけに専念させられる。このセリフで語られることのない二人の心情こそがこの映画の骨格となっているのだ。
2時間、パーティなどでの日常シーンが大部分を占めるこの映画、けれどもそこで発せられるセリフはほとんど意味をなさないというパラドックスでもある。そういう意味では面白い映画だけれど、何か古い映画への回顧も感じさせる作品でもあると思う。
グザヴィエ・ドランとしては、「たかが世界の終わり」ほどの深刻感、深みはないが、思春期の恋をきっちりと描いています。
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