前作「罪の手ざわり」で好調なジャ・ジャンクーの最新作。何と今回は打って変わり、時間の流れ、人の営み、歳月が主題である。すなわち人生そのものだ。
タッチは初期に戻り、何か15年前の「プラットホーム」を思い起こす。僕がジャンクーを知り、映画館で席を立てなかった映画だ。そう、この作品の題名にもあるノスタルジーを感ずる茫洋としたほろ苦き映画であります。
冒頭で何かわけがわからない人たちがいろんなポーズでダンスをしている。躍動感がある。観客たる僕も身体が乗って動きそうなぐらい。そして画面が急に変わる、、。過去の場面に突入。
このように過去、現代、未来へと時間軸が移動する。登場人物に何が起こっているかは現代以降はそれほど描かれない。観客は俳優の気配で彼らの今置かれた人生を推し量ることになる。
2時間強、観客は時間の流れを追い続ける。時間は経っても人の心はそれほど変わらない。自由って何だ。生きるって何なんだろう。タオは思う。子供と離れてはいても、生きている限り繋がっているはず、、。
ラスト、不意にひとりだけで踊り始めるチャオ・タオ。冒頭のダンスと同じ音楽が流れている。30年近い歳月が経つ。けれど何かが違う、、。突如僕は号泣する。押し殺す。観客は一人一人と帰り始める。
また僕は席を立てなくなっている。「プラットホーム」から15年。歳月は僕にとって何なんだろうか、、。
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