河瀬直美作品にしてはとても素直で、人物に寄リそうように撮っており、入魂のドラマとなった。
疑似家族ともいえる3人に次第にフォーカスしてゆくが、彼らがしっかりと見つめるのは自然の木々であり、ひとの営みであり、大きな流れの人生であった。風にそよぐ木々。1年を通して描かれる桜。徳江はソメイヨシノとなり、いつまでも彼らと共にある。
この、いつもは怖いとまで思える木々のそよぎの河瀬の映像が今回は実に優しく感じられた。3人(或いは市原を入れて4人)のマイナーな人間に言葉を発しなくても分かる澄み切った世界。僕らはいつでもそこに行くことができるのだけれども、、。
樹木希林の全身全霊の演技。彼女の心の息吹。永瀬正敏の男泣き。うまくなってきた。内田伽羅の健康的な若さ。まぶしさ。 市原悦子の濃厚な演技。そして太賀の若かりしとき(?)の清楚さ。 水野美紀の捨て役。映画的には満点以上の見どころ多し。
いつまでも忘れられない映画となる。
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