セントの映画・小演劇 100本

観賞数 2024年 映画 33本、 演劇 19本

坂本企画21「抱きれない わたしを抱いて」(作・演出 坂本涼平) at in→dependent theatre 1st  90点

2024-03-24 17:46:59 | 演劇遍歴
3人劇で、舞台装置も簡素、何気なくただ時間が空いていただけで前日に予約して見た演劇でした。テーマから観客は少ないだろうとは思っていたが、その通り、しかし思わぬ拾い物といえば失礼か、脚本が面白い。テーマもわが胸をえぐるか感じで物凄い感動編。 ラスト、あの平和な感じで終わるのかなあと思ったら、物凄い一撃。参りました。坂本氏は芝居の面白さを徹底的に追及しているお方とみる。まれにみる才能のお方だ。しばら . . . 本文を読む
コメント

ステージタイガー「SWITCH」(作・演出 虎本 剛) at松原市民会館 80点

2024-03-23 19:29:25 | 演劇遍歴
外は雨。春の雨である。この雨がなければ本当の春は来ない。今日の演劇は雨の物語である。 学校の出来事を中心に親たち、子供たち、そして先生たち。不安定な時代に生きる我々の今どうあるべきか、を考える随分ストレートでまじめな作品です。 いかにも、虎本がこうあってくれたらいいなあという本音がビンビン伝わってくる。もどかしいがそれでも人は生きてゆく。そんな切なさも感じながら、舞台の方は雨が続く。 演劇を . . . 本文を読む
コメント

関西芸術座 「未来へのハーモニー」(作・上田あかり 演出・森本隆一) at芸術座 80点

2024-03-20 20:33:27 | 演劇遍歴
直球気味の現代青春劇だ。高校生とその教員、そして家族との関係の中から若い息吹を青空に放出させようと、一つのドラマが始まる。 同性愛をどうとらえるかでこの演劇はかなり違ったものになる。この劇の解釈のように周囲の温かいまなざしで青春を送られる若者もいれば、そのまま倦怠感に包まれ埋もれ落ちる人もいるだろう。 劇は前者を描いている。颯爽として、未来も輝いている。おそらく現実はもっと醜いことが待ち受けて . . . 本文を読む
コメント

伽羅倶梨ボイスシアター「この話、したっけ? ~約束の夕焼け~」(作・演出 徳田ナオミ) 80点

2024-03-17 18:35:27 | 演劇遍歴
この劇団では初めてでしょうか、何と朗読劇です。でもいつもの安心出来る出演者がそのままその役を演じられるので、とても情感あふれるハートフルな演劇となりました。 ほとんどがあの世とこの世とのつながりを描く演劇なのですが、あの世もこんなのであったらみんな現世で悩むことはあるまいと思い始める。 でも徳田さんはほんと、キレイな方なんですね。(心ももちろん見た目も) 純な気持ちをお持ちでなければこういう . . . 本文を読む
コメント

大阪芸術大学 舞台芸術学科 「十一ぴきのネコ」(作・井上ひさし 演出・内藤裕敬) at森ノ宮TTホール 80点

2024-03-16 20:22:25 | 演劇遍歴
大きな立派な舞台。総勢30数人の出演俳優たち。あの井上の名作を若い人たちで上演するその心の息吹を広い舞台いっぱいからビシビシ感じる。 これは童話まいた形式にしているが、立派に社会構成劇であると思う。例えば、企業をする若者たちの物語だと思ってもいいし、政治活動を伴う行動を起こす集団のはなしだと感じてもいい。 あまりに楽しくて迫力のある舞台なので、気づかないがストーリー的には切ない悲しみさえ漂うも . . . 本文を読む
コメント

市子 (2023/日)(戸田彬弘) 90点

2024-03-13 21:56:27 | 映画遍歴
「私とは何か」という永遠の謎を解くために哲学はあるとも言われるが、それを堂々と真正面から映画でやってのけた骨太の傑作であります。 若葉以外は根っからの大阪弁をみんなものすごくひりひりするほど鋭くしゃべっている。これがまずド迫力を見せつけた。リアルでこの作品には欠かせない設定である。 自分がこの世に存在しているのに、なぜいるべき私がいないのか。紙一枚で私の存在がなくなることの強烈な事実。おぞまし . . . 本文を読む
コメント

ヴェルクマイスター・ハーモニー (2000/ハンガリー=独=仏)(タル・ベーラ) 90点

2024-03-08 21:05:04 | 映画遍歴
わが敬愛する映画作家タル・ベーラ作品。前回の「サタン・タンゴ」が7時間の作品だったから、今回は2時間半、随分と短くなったと思った。そして相変わらずのカット数の少なさ。その分カメラは長回しになるが、俳優たち、そして多数のエキストラたちは一寸の乱れもなく、カメラに映りこむ。すごい。 これが20年ほど前に制作された映画だとは思わず、見ている間は最近のウクライナ侵攻を見立てているなあと思っていたら、もっ . . . 本文を読む
コメント

破・天荒 「愛す」(脚本・演出 長門凜太郎) at D館 80点

2024-03-08 18:56:45 | 演劇遍歴
人類永遠のテーマ、愛とは何か? このただ唯一のテーマを100分、ああでもないこうでもない、いろんなパターンを辿ってゆく、ホント破天荒な演劇です。若い人たちがこんなに純粋に「愛」というある意味哲学的な意味不明なものをしつこく追及してゆくその姿勢は大いに褒められていい。しかも完全自作だ。これはすごい。 愛という人間だけが感じている幻想とでもいうべき概念を若い俳優たちはセリフのとちりもなくこなしてい . . . 本文を読む
コメント

The Timeless Letter「RUN FOR YOUR WIFE」(作・レイ・クーニー 演出・前田アキヒロ) 於CUBE1  85点

2024-03-03 20:21:42 | 演劇遍歴
お気に入り「タイムレスレター」の公演。随分前に確か十三で見た演劇だと思ったが、その時の面白感は覚えていたが、随分違った作品のように思えた。なぜかなと考えたら、主役の川田氏の役柄が全く違っていて、主役の夫になっていたのが大きいと思う。考えたら、タイムレスで川田氏が主役をしていないのは珍しいことなんだ。だからかなあと思った。 劇の方は、とても面白い、というより艶笑&大爆笑劇で、これは再演だからか、演 . . . 本文を読む
コメント

夜明けのすべて (2023/日)(三宅唱) 80点

2024-03-03 09:07:28 | 映画遍歴
映像はいたってフィルム画質。自然体を目指しているかのよう。息苦しい世の中、通常の市井の人たちでもそうなんだから、ましてや企業で煙たがられる持病を持っている人たちに見えてくるものは何だったのか、、。 劇的な展開があるわけでもなく、静かな職場で時間をかけてようやく自分の居場所を見つける二人。それには一緒に働く人たちのごく自然な気持ちが必要なのだと知る。 彼らが慕う上司は自死した親族を持ち、人の気持 . . . 本文を読む
コメント

ぷちっとWOW!!誠の証明(作・関下怜 演出・上田一軒) at聖天通劇場 80点

2024-02-26 17:37:57 | 演劇遍歴
これは面白い! ある少女の自殺未遂から教師たち、母親がお互いを責めたり、そして自ら解決に向かうテーゼを発想するまでのいきさつがユニークで爽快だ。 舞台劇となっている「12人の怒れる男」に展開が似ているので、とても見ごたえがある。どんでん返しというわけでもないが、真相を発見するに至り、登場人物、そして観客が納得して劇を後にするという展開は舞台冥利に尽きる設定なのである。 劇場は新たにできた福島の . . . 本文を読む
コメント

天気の子 (2019/日) (新海誠) 80点

2024-02-25 21:29:55 | 映画遍歴
大胆な着想と愛をはぐくむ強さに心地よい息吹を感じる。たまにこんなにストレートな愛を感じるのもいいではないか。日本の警察があんなに間抜けとも思えないが、でもあれがないと天に突き抜けられないから許す。前半の生きづらさといい、新海誠は現代人の目を持っている。それだけで十分だ。 . . . 本文を読む
コメント

落下の解剖学 (2023/仏) (ジュスティーヌ・トリエ) 80点

2024-02-25 18:15:31 | 映画遍歴
話題作で、即劇場へ。メジャー映画館にかかってはいるが、小さな館内に押し込められ、ふむふむ映画通らしき風貌の人たちがわんさいる。 冒頭の夫の部屋でガンガン鳴らす音楽がめちゃセンスが悪い曲で、もう完全に私には暴挙の挑戦です。これじゃあ、あのインタビュアーどころか、映画ファンも席を立ちたくなる。その音楽暴力がなくなると、ふむふむなるほど面白い設定で、ミステリー的にはどうかとは思うが、謎解きが控えており . . . 本文を読む
コメント

ピッコロ劇団「ロボット‐RUR‐」(作・カレル・チャペック 演出・高橋正徳) at県立芸術文化センター  85点

2024-02-24 20:12:15 | 演劇遍歴
久々に大きな劇場へ。そして題名からはうかがい知れぬ秀作劇を見る。 今、世界で使用されているロボットという名のもとになった劇である。チラシもコミカルで分かりやすい劇かなと思っていた。実際分かりやすかった。シンプルなテーマである。ロボットとは何か、すなわち自分とは何か、人間とは何か? が、見ていて自分の脳裏を駆け巡る。もうぐんぐん掘り下げてくるような哲学っぽい重鎮が目の前に垂れ下がる。 ストーリー . . . 本文を読む
コメント

ポータブル・シアター「プレゼント・ラフター」(作・ノエル・カワード 演出・枡井智英) 於ABCホール  80点 

2024-02-23 19:28:41 | 演劇遍歴
関西では珍しい翻訳物コメディ。登場人物も多く、女優はみな美しく、衣装も凝っていて、見て楽しいまさに本格のイギリス演劇の粋をなしている。 これが休憩を挟んで3時間。贅沢な時間である。長丁場感はまったくないほど、話が次へ次へと追いかけてくる。こんな楽しい艶笑喜劇は日本ではあまり上演しなかった気もする。日本とイギリスでは男女間、特に夫婦の絆感はかなり温度差があるのだろうが、さらりと仕上げているので劇と . . . 本文を読む
コメント