アザー・ミュージックはニューヨークのイーストヴィレッジにあったレコ屋で、タワレコの真向かいに作ったからこの名前。イメージフォーラムでこの店のドキュメンタリー映画を観てきた。
閉店を惜しむ音楽パレードの中に、先日亡くなったトランペッターのジェイミー・ブランチの姿を見つけていきなり嬉しくも悲しくもあり。
店員になるとここで扱う「other」なミュージシャンの名前を覚えなければならないが(リストの一番上にKaoru Abeが見えた。AにBだから)、もちろんそれはかれらにとって苦ではない。ジャズでいえばウィリアム・パーカーとアラン・シルヴァのインストアライヴ。さよならコンサートにはマタナ・ロバーツの名前も。棚のカテゴリーの「IN」はいろいろ、「OUT」は「うーん、シュトックハウゼンとか」(依然わからない)、「THEN」は当時モノ。
閉店前の2015年、ニューヨークに暮していたサックスの吉田野乃子さんが案内してくださって、いちどだけ入ったことがある。やはりニューヨークの地下鉄でいまもサックスを吹く白石民夫さんのレコードがいきなり目に飛び込んできて驚いた。僕はひとりひたすら選んで何枚か買ったけれど、博識な店員との会話も多かったらしい。レコ屋はコミュニティ的になっていくべきだし、それでこそのレコ屋なんだろうな。最近新宿のレコ屋で店員さんにあのう齊藤さんですよねと声をかけられて、レア盤に関する相談を受けた。それは嬉しいことでもあったし、たぶん、アザー・ミュージックもそういう喜びに満ちていたのだろう。