羽田-北京便が就航して便利になったのはいいが、ますます飛行時間が短くなり、特に帰り便では2時間の映画を最後まで観ることができるかどうかわからない。そんなわけで、行きには長め、帰りには短めの映画を選ぶことが必要となる。映画の愉しみがなければ、飛行機なんて揺れるし、怖いし、耳が痛くなるしと碌なことはない。
行きには、『パブリック・エネミーズ』(マイケル・マン、2009年)を観る。1930年代のマフィア物であり、悪名高いジョン・デリンジャーをジョニー・デップが演じている。ところが、全然面白くない(笑)。よく考えたらマイケル・マンの優れた映画なんて思い出せない。ジョニー・デップは、『シザーハンズ』(ティム・バートン)や『デッドマン』(ジム・ジャームッシュ)などエキセントリックな役なら嫌いでもないが(これも作家の力だろう)、このようにストレートに没入している役には何も感じない。
粉川哲夫『シネマノート』に細かな解説(>> リンク)があるが、そこでも大きく取り上げられているように、デリンジャーが死ぬ間際に恋人に残したメッセージは「バイバイ、ブラックバード」だった。しかし、それが何を意味するのか判然としない。恐らく観客のほとんどはモヤモヤしたまま帰るのだ。
もちろん、有名なジャズ・スタンダードとなっている曲名であり、例えば『ジャズ詩大全 2』(村尾陸男、中央アート出版社)によると、「自分の現在置かれている悲惨な状況から抜け出して、幸せが待っている彼女がいるところへと向かい、ブラックバードよさよなら、と歌うわけである。」とある(ブラックバードは悪い存在の象徴)。しかし、デリンジャーが向かう先には、生き残った恋人は居ないのである。もっとも、ブラックバードは黒人芸人を指すスラングだったとも言うし、この世でのパフォーマンスはお仕舞さとでもいった感覚かもしれないのだが、それでは自分勝手すぎるぞ。まあそのうち誰かが答えをくれるかもしれないので放っておくことにする。
ところで、本作が米国公開された直後の『ビッグイシュー日本版』(2009.8.1)ではジョニー・デップを特集している。デップの出演作には、今後、テリー・ギリアム『パルナッサス博士の想像力』、ティム・バートン『不思議の国のアリス』などエキセントリックに違いないものがあるようで、ちょっと期待できるかもしれない。
帰りには、『パンドラの匣』(冨永昌敬、2009年)を観る。じらされることの快感、やはりハリウッドの大作などよりもこんな奇妙な小品のほうが嬉しい。
あれは、忘れた頃に新刊が出ます。
19巻が出たのが2005年の7月ですが、間もなく20巻が出ると言っていました。4年半ぶりです。
次が出たらブログでまとめて紹介しようかと思っているのですが、いつ完結するのやら、全部で何巻になるのやら、さっぱりわかりません。
出版社がそれまでもつかどうかという心配もあります。
よせばいいのに『ボサノバ詩大全』(1巻本)なんてのも出してます。
ツマがジャズヴォーカルをやっていたので揃えています。といいながら、実は足りないのが何冊かありますが、ずっと品切れのようで。
しかし、まだ出るのですか(笑)