梁石日『魂の流れゆく果て』(光文社文庫、原著2001年)を読む。書店でふと手に取ってみると、金時鐘や金石範のことが書かれていたからだ。梁石日の作品は何かひとつ読んだことがある程度だ。
凄まじい半生である。大阪での事業失敗と東北放浪を経て、新宿中央公園に辿り着く。数日間何も喰えず、残飯に手を出しかけたとき、風に飛ばされてきたスポーツ新聞にタクシードライバー募集の文字を見る。そして10年間、タクシーを運転することになる。
それにしても赤裸々な文章だ。そんな中でも、屋台を引く金石範を含め、ひととの濃密な付き合いはあまりにも人間的で、惹かれないわけにはいかない。そうか、『血と骨』の舞台は鶴橋なのか。
鶴橋(2010年7月)
●参照
○金石範『新編「在日」の思想』
○『済州島四・三事件 記憶と真実』、『悲劇の島チェジュ』(大阪市生野区)
○林海象『大阪ラブ&ソウル』(鶴橋)
○鶴橋でホルモン
わわ、だいだい大好きな梁石日さんの話題についコメントを!
もしも未読であられましたら、『雷鳴』はぜひ、オススメです。
日帝植民地支配下の済州島を舞台に、梁さんのお母様の若き日々をモデルにした小説。
植民地支配の「協力者」(親日派)や地域ボスの存在、封建制と植民地化が相まったときにふるわれる暴力、などなどの描写のすさまじさもさることながら、主人公の女性のヴァイタルに心うたれます。
他にも素晴らしい作はさくさんありますが(『夜を賭けて』『子宮の中の子守歌』etc.etc.)、済州島つながりということでまずは『雷鳴』を!
これはこれは、ご教示ありがとうございます。もちろん挙げていただいた作品はすべて未読です。このエッセイの中にも済州島四・三事件のことが少しだけ触れられていて、つながりが気になっていたのです。
調べてみると、このあたりの作品は幻冬舎文庫で結構カバーできそうですね。『雷鳴』読みます。
那覇市民ギャラリーで本日より、
「伊志嶺隆写真展」が開催されています(16日まで)
この日曜日には、高梨豊さんがギャラリートークです。
伊志嶺隆が生前に行った二つの展覧会(「光と陰の島」「72年の夏」)のプリント(那覇市歴史博物館蔵)と、未発表の「海の旅人」で構成されています。
「光と影の島」の一部は近美のプリズム展でも掲示されていました。
まとまって見て、やはりすごい写真でした。
QABのニュース動画
http://www.qab.co.jp/news/2011010523817.html
写真展実行委員会のブログ
http://ishiminetakashi.seesaa.net/
スクエアフォーマットのモノクロが印象的でした。これをまとめて観るなんて羨ましい限りです。理屈っぽい高梨豊が何を話すのかも興味があります(高梨豊の沖縄写真も何点か観ましたが、こちらにはあまり惹かれません)。
未来社の「琉球烈像」シリーズでも出るようですね。(まだどれも立ち読みだけですが・・・)