Sightsong

自縄自縛日記

セディク・バルマク『アフガン零年/OSAMA』

2011-01-02 11:19:16 | 中東・アフリカ

昨年末にNHKで再放送された、セディク・バルマク『アフガン零年/OSAMA』(2003年)を観る。

米国介入によるカルザイ政権成立後であり、その状況が描かれているのかと思いきや、ここにあるのはタリバン政権時の姿である。

女性は外に出てはならない。顔や足を見せてはならない。貧しくてもそのことを口に出してはならない。一方的に結婚相手を指定され、幽閉される。婚礼行事も厳しくタリバンに監視される。そして見えないところでは、タリバンを呪う唄を呟いている。

その一方では、男や少年は宗教教育により囲い込む。貧しい少女は、働くために髪を切り、外に出されてしまう。しかしタリバンに捕まり、やがて、女であることが発覚する。裁判では死罪ではなく大目に見られ、老人の妻として連れて行かれる。

告発の、記憶のためのフィルムとしてインパクトが大きいが、映画としてはさほど見るべき点はない。

映画に寄せたコメントとしてこんなものがある。「結末は、プツンとブチ切れるように唐突で、「タリバンがいなくなったのだから、もう少し明るい終わり方をすればいいのに」と、やりきれない思いが苦く長く残る。」(高野孟)

しかし今もタリバンはいなくなってはいない。「悪を滅ぼす」といった考え方では何も解決していない。いまだ、「プツンとブチ切れるように唐突」な結末を持つ映画が現在形であるということか。折角のNHK放送であるから、コメンテーターによる解説が必要だった。

●参照 アフガニスタン
モフセン・マフマルバフ『カンダハール』
モフセン・マフマルバフ『アフガニスタンの仏像は破壊されたのではない 恥辱のあまり崩れ落ちたのだ』
中東の今と日本 私たちに何ができるか(2010/11/23)
ソ連のアフガニスタン侵攻 30年の後(2009/6/6)
『復興資金はどこに消えた』 アフガンの闇
ピーター・ブルック『注目すべき人々との出会い』(アフガンロケ)
『アフガン零年』公式サイト


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