Sightsong

自縄自縛日記

ジョニー・グリフィンへのあこがれ

2008-09-12 23:59:43 | アヴァンギャルド・ジャズ

独特の外れた粘っこい音色を持つ早吹きサックス奏者、ジョニー・グリフィンが先日亡くなってから、山下洋輔がグリフィンについて書いたすばらしい文章があったとおもって探していたが、足元の『ピアニストを笑え!』(1976年)にあった。

セロニアス・モンク『ミステリオーソ』(Riverside、1958年)におけるグリフィンの演奏についての文章だ。私もグリフィンの好きなアルバムはいくつもあるが、これは外せない。サイドマンとしての参加アルバムなら、ウェス・モンゴメリー『フル・ハウス』(Riverside、1962年)と同様に愛聴している。

1970年代、山下洋輔トリオがテュービンゲンで演奏したときのこと。

「ホテルで目を覚すと、ものすごい勢いで、サックスを練習している音がする。坂田(明)にしては滑らかだ。これが、その日ジミー(・ウッド)が一緒にやるジョニー・グリフィンだった。
 ロビーで会うと、グリフィンはニコニコ笑って握手をしてくれた。十年以上前に、新宿のジャズ喫茶で、夜中に必ずモンクの「ミステリオーソ」を聴いていた時期があった。グリフィンのソロを、全部覚えるほど好きだったのだ。
 おれたちのリハーサルが終るころ、グリフィンとジミーは、山の上のお城の中庭にやってきた。広い中庭を、グリフィンはサックスを吹きながら歩き回る。ステージにいたおれは、森山に合図をして、「ミステリオーソ」の中の「レッツ・クール・ワン」を弾きだした。
 グリフィンはぎくりとして振り返り、それからぱっと顔を輝かせた。おれはグリフィンの顔を見ながら、サビ前まで弾き、やめた。続けていたら、吹いてくれたかもしれない。しかし、吹いてもらうのがこわかったのだ。」
山下洋輔『ピアニストを笑え!』(新潮文庫、1976年)より

この、あこがれを隠さない文章。

『ミステリオーソ』は、「Let's Cool One」や「Misterioso」だけでなく、「'Round Midnight」や「Nutty」(ばかばかしいの意)などいい曲がいくつも収められている。私の持っているのはOJCの廉価版CDだが音も乾いていて悪くない。


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2 コメント

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Unknown (YK)
2009-05-09 21:05:43
グリフィン大好きです。今でもコピーしてますよ。イーストウッドのモンクの伝記映画の中のグリフィン、お茶目で可愛かったですね。
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Unknown (Sightsong)
2009-05-09 23:39:54
YKさん
『ストレート、ノー・チェイサー』の記憶はおぼろげです。改めて観たほうが良いですね。グリフィンは唯一無二の存在といってよかったと思います。
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