(5)より続く
■ 遠藤誠治 (成蹊大学教授)
さらなるパネラーの発言を引き出す問題提起。
○国民的団結を壊しながら、「周辺」に負担を押し付けていく方法である。
○全体の議論が成り立たないようにする構造だ。
○それでは、安保、移設の2案についてどう考えるか。
■ 古関彰一 (獨協大学教授)
○自衛隊の海外派遣では、軍事的な貢献をしていない。岡田外相は、海外協力というときに自衛隊と言っていない。
○NGOの活動など、新たな芽が出てきている。国家でなく市民が行いだした平和のあり方であり、今までの戦争の時代にはなかった画期的なことだ。
■ 明田川融 (法政大学沖縄文化研究所)
○中国の軍事力に関して、実は米国自身は沖縄を抑止力とは考えておらず、グアムに家族を疎開させるつもりなのではないか。
○抑止力が必要だと主張する「現実主義者」たちがいる。しかし、米兵による犯罪が頻発していることも、もう一方の現実である。
○問題は普天間だけではない。嘉手納の危険性除去も忘れてはならない。それは日本の安全保障政策のはずだ。
■ 佐藤学 (沖縄国際大学教授)
○最近、海兵隊は「自然災害救助」の役割を強調している。これは戦争での役割が低下していることを意味する。組織維持・自己防衛の動きとみるべきだろう。
■ 川瀬光義 (京都府立大学教授)
○ケント・カルダー『米軍再編の政治学』には、以下の指摘がある。
―日本ほど気前のいい支援を一貫して行ってきた国はない。
―その国に対して米国がオカネを払う例のほうがずっと多い。韓国やクウェートではその国の政府が支払っているパターンだが、両国とも、米国がその国のために戦争をしている。しかし日本にはさし迫った脅威はない。信じられないことだ。
○旧・防衛施設庁(現在は防衛省の一部)の所管予算は、2000年の5,800億円から2010年には4,400億円へと縮小した。しかし別枠(SACO関連、米軍再編関連)を足すと、同じ5,800億円となる。
○このような根拠不明のつかみ金を使うことは、tax payerに説明できないことだ。
○ここまで地位協定の枠外でオカネを払う価値はあるのか。自治体が「要らない」と意思表示することが重要だ。
■ 桜井国俊 (沖縄大学長)
○移設2案(シュワブ陸上、勝連半島沖)のいずれも、新たな環境アセスが必要である。
○シュワブ陸上案(下地議員と北沢防衛相が推している)に関して、国では新たなアセスが不要だと考えているかもしれないが、沖縄県条例では必要となっている。
○勝連半島沖の案では、辺野古V字案と同様に、埋め立てのための海砂が必要となる。これを沖縄で調達する場合、砂浜が壊滅する。
○いずれにしても時間がかかるだろう。その間に行われる利益誘導が、さらなる問題を沖縄に引き起こすだろう。そして、アメで潤う部分と潤わない部分が二極化する。現在でも格差は甚だしい。
○沖縄では、学生が授業料を払えず退学する事例が多い。全国平均では3%程度の退学率だが、沖縄ではその3倍くらいはいる。とても悲しい。
■ 明田川融 (法政大学沖縄文化研究所)
○広大な嘉手納基地は2,000 haもある。統合論などとんでもない。
○さらに、勝連半島沖案は1,000 haを埋め立てることになっている。つまり、辺野古を遥かに上回る。
■ 古関彰一 (獨協大学教授)
○全国的には安保は必要だとする意見が多い。一方、自分の地域に基地がきてよいかとする世論調査も必要だ。
○90年以降、「怒りを忘れた」状態ではないか。
○オカネがないと言いながら、なぜ防衛予算が減らないのか。
■ 佐藤学 (沖縄国際大学教授)
○もともと沖縄の負担軽減が目的だったはずが、なぜ、さらに大きな基地を作る話になるのか。
○沖縄は決して「反米」ではない。基地就労者は、普天間は200人だが、沖縄全体では8,000人がいる。すぐにカットするという話にはならない。
○民意はもう重いものだ。これをどう伝えるのか。また何がこれから必要なのか。青臭い議論が必要なのだ。
○ハイチでは、地震から何日も経って1人が救助された。一方、アフガニスタンでは誤爆がある。前者こそが21世紀のあり方ではないのか。
■ 川瀬光義 (京都府立大学教授)
○池澤夏樹はこの状態を「恰好悪い」と評した。朝青龍に品格を求めるなら、日本の大人たちも品格を持つべきだ。
○いまさらわかりきった民意など問うのではない。大人としての覚悟がなければ、政治家などやめてしまえ。
○本土の人たちには、「沖縄の新聞をひとつ取りなさい」と提案したい。いまは夕刊もなくなり、送料込みでも安いものだ。
■ 桜井国俊 (沖縄大学長)
○安保によらない対話と協調という議論が重要だ。東アジア共同体という概念もそれに基づくもののはずだ。
○安保改定から50年だが、日韓併合から100年でもある。これまで対米追従であり、アジアに向き合ってこなかったことが足かせになっている。
○日露戦争は、沖縄が海外侵略に加担した最初の戦争だったとの評価が、沖縄にはある。一方、『坂の上の雲』のような侵略正当化の蔓延には違和感がある。
■ 遠藤誠治 (成蹊大学教授)
○「抑止」とは、本来、誰かを脅かす思想だ。共同体ではありえない。
○これまで、日本が主体的に周辺国を脅してきたという事実を忘れてはならない。
(以上)
※各氏の発言については、当方の解釈に基づき記載しております。
そうですね。このことを考えることが、本来の民主化に近付くことにつながるなら良い機会かもしれない、と思ったりもします。
私は、前政権の大犯罪を認識せずに5月末までにどうこうと言っているメディアを見ると、罵りたい衝動に駆られてしまいます。
当方は、この翌日(昨日)、黄砂のせいか調子が悪くなりました。暖かくなるのは嬉しいのですが。
シンポジウムの記録集が後日出ると良いですが、どうでしょうか。模索舎は買い物によってささやかに支えるつもりです。
レポートを読むと、無理しても参加すべきだったと後悔しています。
記録でもあったら嬉しいのですが。
模索舍のイベントもチェックしていましたが、パスするつもりです。こちらは多忙のため。