Sightsong

自縄自縛日記

浅川マキ『Maki Asakawa』

2016-01-19 00:04:38 | アヴァンギャルド・ジャズ

不世出の歌手・浅川マキが急逝してからもう6年。どういうわけか、昨年、『Maki Asakawa』(Honest Jon's)という英国盤がリリースされた。マキさんふうに「稀有なこと。」と呟きながら、LP2枚組を入手した。なんだか怖くて、3か月もパッケージを開けないでいた。ようやく勇気を出して聴いた。

収録されているのは、ほとんどが70年代の初期の吹込みである。中には『ONE』(1980年)や『アメリカの夜』(1986年)の曲もあるが、概ね、後年よりも伸びのある声のマキさんである。録音はあっさり目だが、悪くない。何しろ、浅川マキの新品のレコードなのだから。

こうして改めて聴いてみると、詰まるように震える声や、下から持ち上げてくる声など、この人しか出せないものだった。山下洋輔や坂田明らと共演した「午後」や「キャバレー」の、薄暗く、鬱屈して屈折したブルースの凄まじさといったら。やはり、マキさんを聴くと身動きが取れなくなってしまう。ひょっとすると、誰もがマキさんの歌と自分史とを一緒にして記憶しているのかもしれない。

それにしても、いまになってなぜ、海外で評価されるのだろう。セシル・モンローは「マキさんは日本のマイルス・デイヴィスだ」と言っていたとか。ハン・ベニンクなんて、浅川マキと共演したあとに、どんなふうに思っていたのだろうか、訊いてみたくもある。

●参照
浅川マキの新旧オフィシャル本
『浅川マキがいた頃 東京アンダーグラウンド -bootlegg- 』
『ちょっと長い関係のブルース 君は浅川マキを聴いたか』
浅川マキが亡くなった(2010年)
浅川マキ DARKNESS完結
ハン・ベニンク キヤノン50mm/f1.8(浅川マキとの共演、2002年)
浅川マキ『闇の中に置き去りにして』(1998年)
浅川マキ『アメリカの夜』(1986年)
浅川マキ+渋谷毅『ちょっと長い関係のブルース』(1985年)
浅川マキ『幻の男たち』 1984年の映像
浅川マキ『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏家たちのOKをもらった』(1980年)
オルトフォンのカートリッジに交換した(『ふと、或る夜、生き物みたいに歩いているので、演奏者たちのOKをもらった』、1980年)
『恐怖劇場アンバランス』の「夜が明けたら」、浅川マキ(1973年)
宮澤昭『野百合』


最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。