Sightsong

自縄自縛日記

菊地雅章『POO-SUN』

2015-11-08 10:29:50 | アヴァンギャルド・ジャズ

菊地雅章『POO-SUN』(Phillips、1970年)を聴く。

Masabumi "Poo" Kikuchi 菊地雅章 (p, el-p)
Kosuke Mine 峰厚介 (ss, as)
Hideo Ichikawa 市川秀男 (el-p, org)
Yoshio Ikeda 池田芳夫 (b)
Motohiko Hino 日野元彦 (ds)
Hiroshi Murakami 村上寛 (ds)
Keiji Kishida 岸田恵二 (perc)

ヒット曲「Dancing Mist」は、当時、ライヴでこれを演奏しないと終わらないほど受けたものらしい(同時代でないわたしにはピンとこないが)。解説によれば、菊地雅章本人によるダメ出しが続いてもうやめようとしたところ、制作のスタッフが粘って、予定よりもずいぶん長い演奏でOKが出たという。時代を感じさせるスタイルは横に置いておくとしても、内省的で、かつそれと相反するような押し出しの強さがあって、さらにサウンドの伽藍を構築せんとする意思が強く感じられて、とてもいい演奏である。

それは「Dancing Mist」だけでなくアルバム全体でそうなのであって、このあと熟成に熟成を重ねるとはいっても、すでに菊地雅章は菊地雅章なのだなと思わせる。もっとも、極限まで自身の脳と身体にのみ依拠しようとするピアノだという意味では、『銀巴里セッション 1963年6月26日深夜』においても、それを聴くことができるのだが。

●参照
菊地雅章『ヘアピン・サーカス』(1972年)
菊地雅章+エルヴィン・ジョーンズ『Hollow Out』(1972年)
菊地雅章『再確認そして発展』(1970年)
『銀巴里セッション 1963年6月26日深夜』


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