Sightsong

自縄自縛日記

ノーム・ウィーゼンバーグ『Roads Diverge』

2018-05-30 19:26:15 | アヴァンギャルド・ジャズ

ノーム・ウィーゼンバーグ『Roads Diverge』(BJU Records、2017年)を聴く。

Noam Wiesenberg (b)
Philip Dizack (tp)
Immanuel Wilkins (as, cl)
Shai Maestro (p, Fender Rhodes)
Kush Abadey (ds)
Dayna Stephens (ts) (Track 5)

ノーム・ウィーゼンバーグはイスラエル出身のベーシストであり、本盤では同じイスラエルということでか、シャイ・マエストロが参加している。このマエストロの演奏にはやはり特別なものがあって、タッチが強く、そのためにリズムもまた強くコントロールしている。アルバム全体を通じて強靭で華麗でもある芯が入っている印象を受ける。

フロントのひとり、アルトのイマニュエル・ウィルキンスは、昨年(2017年)、NYのSmallsにおいて、E. J. ストリックランドのグループでの演奏を観た。なかなか熱かったので記憶に残った。こんな人が今後ばんばん出てくるんだろうなと思っていたら、すぐにこうして出てきた。即興の作り方はちょっとAACM的なうねうねしたものだが、より押し引きできる柔軟さがあって、しかも、グループ全体で突っ走るときにはずっと粘着して吹き続ける。いや、やはり良いと思う。次の吹き込みもぜひ聴きたい。

Immanuel Wilkins(2017年9月、Smalls)

1曲だけ、デイナ・スティーヴンスがテナーで参加するのだが、この人のエンジンは大きく、悠然と包み込む良さがある。

そしてリーダーのウィーゼンバーグ。ベースの響き自体がとても柔らかく、その音色がサウンドの色も特徴付けているように聴こえる。ときにバックヴォーカルのように響いたりもする。きっとライヴで観ると気持ちいいのだろうな。

最後の曲「The Tourist」はレディオヘッドのカヴァーであり、多重録音なのだろうか、アルコとピチカートとを組み合わせて、やはり実に柔らかく陶然とさせられる音を作っている。元曲が収録された『OK Computer』でも最終曲であり、聴き比べてみると(たまたま気分転換にとCDを病院に持ち込んでいた)、かれらはテンポを落とし、「スピードを落とせよ」と歌って、着地に向けて独特の雰囲気を作り出している。どちらも何とも言えずしみじみとさせてくれて、アルバムの締めくくりに相応しい。


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