田原総一朗の目を覆いたくなるほどの硬直化と右傾化に愕然としている今日この頃。一方、何気なく録って観た深夜番組『田原総一朗の遺言2012』(テレビ東京、2012/1/3深夜)が面白かった。ここで紹介された過去のドキュは2本。さすが、凄いものを撮っていたのだな。
『私は現在を歌う ~藤圭子 6月の風景』(1970年)では、インタビュアー・武田美由紀が、やけにフランクに19歳当時の藤圭子に迫っている。その奔放なインタビュアーは、ドキュメンタリー映画作家・原一男の妻になる人であり、そして、別れてのち、映画『極私的エロス 恋歌1974』では、沖縄で黒人との間にできた子どもの自力出産シーンを原一男に撮らせた人でもある(原の新たな妻とともに製作)。どうかしている。実際に、ゲストに原が登場、水道橋博士に変態じゃないかと言われるも、いやそうじゃない、「家族帝国主義」の解体だったのだと応じる。
『永田洋子 その愛 その革命 その・・・』(1973年)では、連合赤軍事件で逮捕された永田洋子と、ウーマンリブ運動の田中美津との往復書簡をネタに、滅茶苦茶なドキュを作る。何と、田中が手紙を朗読している最中、時間切れだと言って打ち切るのである。ゲストには、漫画『レッド』を描いている山本直樹、連合赤軍事件でやはりリンチに関与した植垣康博が登場する。総括の渦中にあった当事者だけに、その言葉には何とも言えない怖ろしさがある。
それぞれ抜粋であり、新たに発売されるDVDのプロモーション用の番組であるから、これだけでは満足できない。非常に面白そうなラインナップで困っている。三上寛の映像だけでも欲しい。いや鈴木いずみも観たい。
○『田原総一朗の遺言 ~タブーに挑んだ50年!未来への対話~』
○『私は現在を歌う ~藤圭子6月の風景』(1970年)、『直撃・小田実』(1973年)
○『総括!知る権利 ~連合赤軍から機密漏えい事件まで~』(1972年)
○『永田洋子 その愛 その革命 その・・・』(1973年)
○『あるピンク女優作家の肉体による共同幻想論』(1970年)(鈴木いずみ)
○『学生右翼? ~11.12私は羽田にいた』(1970年)
○『ドギつく生きよう宣言 ~もう一人の永山則夫・三上寛~』(1970年)、『田中角栄を総括する!!』(2011年)