Sightsong

自縄自縛日記

ヤン・シュヴァンクマイエル『サヴァイヴィングライフ』

2011-09-20 00:24:49 | ヨーロッパ

イメージフォーラムで、ヤン・シュヴァンクマイエル『サヴァイヴィングライフ』(2010年)を観る。

シュヴァンクマイエルの映画を観るのは、『悦楽共犯者』(1996年)以来だ。それは、「ここまではしないだろう」というボーダーをばりばり乗り越えた映画であった。それから14年、随分丸くなったのだなという印象が強い。アニメ技術はもはや突飛なものではなく、話もわかりやすすぎて、やや肩透かしされた気分である。

勿論、シュヴァンクマイエルによる夢の話、ラブ・サスペンスとあっては、面白くないわけがない。ほとんど埋まった客席から笑い声が聞こえてこなかったのはなぜだろう。イマージュと想像力の飛翔に引いてしまったのか、それとも自分と同様に肩透かしを覚えていたためか。

いまさらフロイトユングでもないだろうと思うが、やはりこのふたりの精神分析の巨人ネタは愉快だ。主人公が診察を受ける女医の診察室の壁には、彼らふたりの肖像写真が飾られている。診察のなかで、エディプス・コンプレックスや超自我の話が出れば額の中のフロイトが喜び、アニマや元型の話が出れば額の中のユングが喜ぶ。そして旗色が悪いと額から手や足を出し、相手を攻撃するのだ。これがわかりにくかったのか?