2012-13 シーズン選手寸評② DF編

2013-06-26 17:08:42 | ほぼ週刊サンプ通信 '12-'13

次はディフェンダー編。メルカートの動きを含め、各選手の去就にも注目しながら今シーズンのディフェンス陣を振り返っていきたいと思う。ちなみに文中に良く出てくるガッローネ会長の”売らない7人衆”とは

=ガスタルデッロ、パロンボ、コスタ、ムスタフィ、オビアング、クルスティチッチ、エデル

右SB 19 ロレンツォ・デ シルヴェストリ 6 フェラーラ時代はサブ。しかし監督がロッシに代わると、水を得た魚のように活躍した。ロッシ監督はラツィオ時代にデ・シルヴェストリを抜擢した本人でもある。長所は無尽蔵のスタミナ。まだプレー精度とディフェンスに難が有るが、90分を通して積極的なアップダウンを繰り返せるスタミナは特筆もの。4-4-2の右サイドバックより3-5-2の右ウィングバックの方が適性があるように思う。終盤には、坊主頭を生かしたヘッドから2ゴールも決める。フィオレンティーナからレンタルであったが、本人もヴィオラに居場所が無く、サンプを気に入っている為、そのまま買取りの予定。愛称は”ロロ”(24試合/2ゴール)

右SB 13 ガエターノ・ベラルディ 5.5

 フェラーラ体制では右サイドバックのレギュラーとして活躍。若いが経験豊富で、スピードなどサイドバックとしてのポテンシャルを感じる。特にアグレッシブな守備がフェラーラに気に入られたのであろう。ただ警告・退場が多いのが玉にきず。ロッシ体制になって初戦はスタメンだったが、不運にもそこで故障。デ・シルヴェストリにスタメンを奪われると、そのままサブに降格してしまった。来季は微妙。(21試合/0ゴール)

CB 28 ダニエレ・ガスタルデッロ 7 今シーズンもキャプテンとして、チームをそしてディフェンスをまとめる。DF陣の中では唯一シーズンを通して安定した活躍を見せた。パロンボ復帰後もキャプテンの座は変わらず。そのパロンボとの好連携でDF陣を盛り立てた。4-4-2のCB,3-5-2のCBまたはリベロ、どのポジションでも機能。ディフェンスの真ん中なら大丈夫っちゅーこっちゃ。ちょっとヴィエルコウッドみたいな存在になってきたか(33試合/1ゴール)

CB 17 アンジェロ・パロンボ 6 フェラーラ監督時代はただの練習生。干され続け飼い殺し状態。監督がロッシに代わると、MFから3バックのリベロにコンバート。この配置転換が見事に当たり、ディフェンスをまとめる。昔も、何試合か緊急的にリベロをやった事も有ったが、本格的な挑戦は初めて。先を読む力に優れ、抜群のカバーリング能力で生粋のDFでは無い不利な点をカバーする。とにかく、押しも押されぬサンプの”バンディエラ”。彼の復帰は個人的にはものすごくウレシイおそらく来シーズンもリベロか!?(15試合/0ゴール)

左SB&CB 3 アンドレア・コスタ 6 前半戦は左SB、後半戦は3バックの左CBとして活躍。マルチロールな貴重なレギュラー。印象的だったのが、開幕戦のミラン相手に叩き込んだヘッドの決勝点。シーズン終盤、ケガで欠場が無ければ6.5点だった。来季もガッローネ会長の”売らない7人衆”に入ってるため、活躍が期待される。(27試合/1ゴール)

CB 8 シュコドラン・ムスタフィ 6 こちらも若くしてガッローネ会長の”売らない7人衆”に名を連ねている。その中では唯一レギュラーでは無かったため、若いので将来がかなり有望視されているのであろう。1992年生まれの21歳。右SBや右CBのバックアッププレイヤーとして、12試合にスタメン出場。売りは屈強なディフェンス。ドイツのアンダー代表にも名を連ねている。(18試合/0ゴール)

CB 35 ヨナタン・ロッシーニ 5.5 フェラーラ監督の信頼は厚く前半戦はレギュラー。ガスタルデッロとずっとセンターバックコンビを組んだ。ただロッシ監督には認められず、ムスタフィより下の扱いに・・・ディフェンス能力はあるものの、つなぎに難が有る。ウディネーゼの共同保有権は買い取ったものの、FWサンソーネの代わりとして来季はサッスオーロにレンタルされる予定。(25試合/0ゴール)

左SB 7 パオロ・カステッリーニ 5 サンプ一のベテラン。すでに37歳となった。しかし最後の最後に故障者に代わり、左CBとして4試合スタメン出場。まだセリエBレベルだったらやれるのでは無いか?そのプロ精神は若手の模範となったはず。来季はさすがにサンプに居場所は無いと思うが、ベテランの活躍を見てみたい。(8試合/0ゴール)

右SB 4 マティアス・ロドリゲス ND 冬のメルカートで獲得された”マティ・クラック”。かなり期待されてウニヴェルシダ・チリから加入したアルゼンチン人ウィングバック。しかし複雑なセリエAの戦術・守備にとまどい、結局1試合の出場にとどまる。左のポウルセンと並んで、典型的なセリエAの壁に跳ね返された選手となってしまった・・・来シーズンは南米に帰るか?(1試合/0ゴール)

左SB 15 シモン・ポウルセン 4 今季のサンプの一番期待外れだった選手。デンマーク代表でW杯で活躍もしていたので期待は大だったが。コンディション不良でシーズンに突入して、そのままセリエAの守備に手こずってしまったよう。やはり守備に難が有るサイドバックは、イタリアでは厳しいか・・・来シーズンは他のリーグに活路を見出すであろう。(7試合/0ゴール)

CB&右SB 26 マッシモ・ヴォルタ ND ぎりぎりまで買い手が見つからなかったが、リーガエスパニョーラのレバンテにレンタル。そこで全く出番が無く、冬のメルカートでイタリアに帰ってくる。来季はセリエBのチェゼーナか?(1試合/0ゴール)

というわけでGK、DF陣は監督交代と共に、レギュラーが大幅に変わる。前半のレギュラーのベラルディとロッシーニが、後半はデ・シルヴェストリとパロンボに取って代わられた。1年を通してずっと出ていたのはキャプテン「ガスタルデッロ」のみ。ロッシ監督は後半戦の3バックをかなり信頼しており、とりあえず来季もこの布陣が濃厚。ガッローネの”売らない7人衆”にDFが4人も入っていることから分かるとおり、DF陣は来季もあまり陣容が変わらないだろう。今季セリエBのエンポリにレンタルされていて活躍した「ヴァスコ・レジーニ」が帰ってくることが決まっており、コスタと左CBを争うか。MFの欄で出てくるが、今季の左WBのレギュラーはエスティガリビアだった。彼は残留の可能性が低く、このポジションの補強が求められる。


2012-13 シーズン選手寸評① 監督&GK編

2013-06-17 21:13:09 | ほぼ週刊サンプ通信 '12-'13

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監督 チロ・フェラーラ 4.5 残念ながら結果からするとこういう評価にならざるを得ない。とは去年のアッツォーリと同じコメントだった(我ながら成長していない・・・)。やっぱりフェラーラ、ペルッツィのコンビがサンプのベンチは似合わないという事で、失敗してくれて良かったかも。まぁ監督としての力量はまだ若いし、この結果だけではわからないが、今シーズンのサンプの選手をうまく生かしたのは間違いなくデリオ・ロッシだった。

監督 デリオ・ロッシ 6.5 壊滅まではいかないが、闇の中をさまよいもがいていたサンプに、一筋の道を与える。給料を払いながら飼い殺しされていたパロンボを復活させた点が1点。先にも書いたが、クルスティチッチのコンバートも良かったし、デ・シルヴェストリも復活した。まぁ当然、逆に割を食う選手もいるわけで、マレスカやマクシなどは不満であろう。惜しむらくは攻撃面で、連携で崩すきれいな形を作る事が出来なかった点か・・・最初から采配を揮う来年に期待しよう。

GK22セルヒオ・ロメロ  6.5  最後の最後に評価を落とした。開幕戦のミラン戦を含め、彼にしかできないスーパーセーブも数々有り、伊達にアルゼンチン代表の正GKでは無いなと・・・反応の速さはピカイチ。ただパルマ戦のミドルの処理を誤ったり、終盤バックパスの処理をミスしたりポカがあるのは去年から変わりなく。さらにサンプから出ていくのが濃厚だったために、最後やる気が無いとティフォージに思われる。終盤4試合は罰としてサブに降格したが、どうやら来年も心を入れ替えてサンプでやるみたいなので、とにかく課題は集中力!!(32試合/0ゴール)

GK1アンジェロ・ダ・コスタ 5.5 今年は、序盤に八百長への関与で3か月の出場停止処分を受ける。その為サンプはもう一人GK,ベルニの獲得を余儀なくされる。そのマイナスポイントはでかい。しかし復活すると第2GKの座に戻りロメロ不在時にその穴をしっかり埋める。終盤ポカがあったロメロに代わり、初めて怪我や代表で不在とかではなくスタメンを勝ち取る。(4試合/0ゴール)

GK32トンマーゾ ベルニ 6 前述のダ・コスタの出場停止を受けて急きょ獲得。ダ・コスタ不在時は第2GK。実力的に第3GKとなってしまったが、特筆すべきはそのプロ精神。決して腐る事無く、特にベンチではムードメーカーの役割りを果たしていた。(3試合/0ゴール)

 
  • 来シーズンもGK陣は今のところ大きな変動は無いように思われる。大逆転でロメロの移籍が実現した時だけか・・・ベルニはサンプに残りたいと言っているが、果たしてどうか・・・さらに「ジェノヴァの大鷲」とずっと期待されているフィオリッロ。今季もリヴォルノにレンタルされていたが、なかなか羽ばたかない。ここで終わるとただの早熟だった可能性がある・・・

2012-13シーズンを振り返る~ 

2013-06-17 16:54:22 | ほぼ週刊サンプ通信 '12-'13

シーズン終わってからだいぶ日が経ってしまったが、なんとか最低限の目標=A残留うぃ成し遂げた12-13シーズン。

そろそろ夏のメルカートも本格的になってくるので、今後の動向も合わせてシーズンを選手の採点と共に振り返ってみよう。今シーズンは第18節で監督が変わった為に、前半戦と後半戦でかなり陣容が変わった。非常に特徴的だったと言えよう。まずは前半戦のチロ・フェラーラ体制から。

SAMPDORIA <4-3-3> 監督チロ・フェラ-ラ

        10マクシ・ロペス(9ポッツィ)

23エデル(98イカルディ)   2エスティガリビア(29フアン・アントニオ)

  (25クルスティチッチ)    (21ソリアーノ)

16ポーリ(5レナン)    14オビアング(11ムナーリ)

           6マレスカ(12ティッソーネ)

3コスタ(7カステッリーニ)       13ベラルディ(19デ・シルヴェストリ)

  35ロッシーニ(3コスタ) 28ガスタルデッロ(Cap)(8ムスタフィ)

           20ロメロ

 (32ベルニ)(1ダ・コスタ)(95ファルコーネ)

フェラーラは開幕当初から4-3-3を一貫して使用。移籍期限ぎりぎりに獲得したマレスカをフェラーラは重用し、開幕は3連勝とスタートダッシュに成功。しかし急に勝てなくなり、悪夢の7連敗。急遽4-1-4-1に布陣を変更。なんとかバランスを取ろうとする。この失速はやはり、開幕で絶好調で、このままエースになると思われた「10マクシ・ロペス」の負傷離脱が大きかったと思う。

4-1-4-1の布陣変更はDERBYの勝利と、新生FWイカルディの発掘と言う大きな意味をもたらす。しかしその効果も3試合しか続かず、ウディネーゼとカターニャに連敗を喫するとガッローネ会長はついに我慢できずにフェラーラを解任。昨年ヴィオラを率いていたデリオ・ロッシを新監督に据える。冬のメルカートはさほど大きな変更は無く、以下が後半戦の布陣

 SAMPDORIA <3-5ー2> 監督デリオ・ロッシ

     エデル     イカルディ

  (サンソーネ)   (マクシ・ロペス)(サヴィッチ)

  オビアング          ポーリ

 (ソリアーノ)(レナン)    (ムナーリ)

        クルスティチッチ

 (マレスカ)

エスティガリビア           デ・シルヴェストリ

(ポウルセン)(ガヴァッツィ)     (ベラルディ)

(カステッリーニ)           (M・ロドリゲス)

   コスタ    パロンボ  ガスタルデッロ(Cap)

 (ロッシーニ) (ムスタフィ)

            ロメロ

 (ダ・コスタ)(ベルニ)(ファルコーネ) 

まず1番の大きな違いは我らがバンディエラ「17アンジェロ・パロンボ」の再起用。フェラーラに干されていたこのベテランをロッシは再発掘。しかもポジションを変えて3バックのリベロとして据える。システムもこれに伴い3-5-2に変更。これがディフェンスの安定を生み出した。さらにクルスティチッチをフェラーラ時代のウィングからレジスタへとコンバート。この影響の大きさも、クルスティチッチが怪我で出場できなくなってから、サンプがずるずる負け始めた事でよーくわかる。監督交代によって運命が変わった選手たちは主に3選手。以下の通り。

DFロッシーニ = フェラーラは4バックの不動のCBとして起用

                     ↓

  DFパロンボ = ロッシはパロンボをコンバートとしてCBとして起用。さらに4バックから3バ  ックへと変更。

MFマレスカ = フェラーラの信用は厚く、レジスタとしてタクトを揮い印象的なオーバーヘッドゴールも決める。

                     ↓

 MFクルスティチッチ = ウィングや攻撃的MFのサブだったネナドは、ロッシ監督によりレジスタにコンバート。前者より運動量も有り、ディフェンスも頑張り中盤を活性化させる。

DFベラルディ = フェラーラにはアグレッシブなディフェンスを買われ、右SBに定着。

                    ↓

 DFデ・シルヴェストリ = 元々ロッシ監督とはラツィオ時代に良く知った仲。ベラルディがロッシ監督初戦となった試合でレッドカードで退場となると、次の試合からスタメンに抜擢される。抜群のスタミナを生かし、その後はずっとレギュラー。

 

 私もロッシ監督支持派で、結果的に今シーズンのサンプの選手リストを、一番適材適所に生かしたのはロッシ監督だったと思う。もちろんフェラーラも若手の発掘・登用、マクシの負傷離脱など擁護するべき点はあったが。後半戦良いサッカー見せ始めて、19節のユーベ戦~25節のナポリ戦あたりがピークだったと思う。実際ユーヴェやローマに勝ったり、ミラン相手にも勝ってもおかしくない引き分けと、内容は非常に良かった。

その後調子を落とした要因は大きく2つ。ひとつは残留もほぼ間違いなくなり、上の目標も遠すぎることからモチベーションの低下。さらに先ほども述べた通り、クルスティチッチの戦線離脱はかなり大きかったと個人的には思う。さあ来シーズンは最初からロッシ監督体制。どうなる事やら

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