今年7月から12月まで、毎月1回担当しました河北新報のコラム記事『微風旋風』を転載します。内容はこのブログで書いてきたものと重複するものもありますが、ご高覧ください。
6月末、1週間ほど福島県の会津を回る機会がありました。
会津富士こと磐梯山が勇壮に迎えてくれました。
この磐梯山、過去に何度も噴火し、直近は1888(明治21)年の大噴火で、五つの村が埋没し、477人が亡くなったとか。
ちょうどその前年に設立された日本赤十字社が初めて災害救援活動を行い、それが赤十字社における平時の世界初の救護活動となった、と知りました。
寄せられた義援金は、その当時の金額で3万8千円。現在の金額に換算すると15億円になるようです。
この度の東日本大震災でもたくさんの支援金が寄せられ、政府の復興予算も17兆円という金額が用意されました。
ところが、そのお金が被災地復興とは関係のないところに流失していることが判明しました。その金額1兆円以上。それは火事場泥棒でしょう。あんまりです。
さらにこの国は、福島の現状を見て見ぬふりをするように、原発の再稼働を進めています。海外にも売り込みに行っているようです。
「日本の原発は絶対安全です」と言っているのでしょうか。「絶対安全」という言葉がどれほど危険な言葉であるかを、私たちは嫌というほど知らされました。
なぜ今、多くの人々が苦しんでいる原因となった原発を再び動かさなければならないのか。
「経済優先」。何より経済を「優先」させるということでしょうか。
それは「命」であるように思えてなりません。
原発事故によって多くの命が奪われました。人間ばかりでなく、動物も、小さな命も、植物も、大地の命すら奪われました。今も命の危険におびえて暮らしている人がいます。
何より優先されるべきは命であるはずです。
経済は人間が生きるための道具であり、目的ではありません。道具と目的を間違ってはなりません。ならぬことはならぬのです。
和尚一人が怒ってもどうしようもないのですが、もう噴火しそうです。
(7月18日)