きぼう屋

生きているから生きている

提言その1

2009年07月11日 | 教会のこと
週報巻頭言はアップしないの?
とご質問をいただきました

実はこの間
週報巻頭言を新規に書くのはさぼっておりまして・・・

日本バプテスト連盟の宣教シンポジウムに向けて提言を各委員会が書くように
ということで
わたしもホームレス支援特別委員会の責任を担う者として
委員と議論をして書きまして・・・

それを
さぼるためではなくて当教会で共有することも大切なので
週報巻頭言にて
何度にもわけて掲載させていただいているところです

では
その週報で掲載できた分を本日はアップしたいと思います。
このブログでは3~4回にわけて二週に一回くらいでアップできるでしょうか
続きがだいぶあとになりますがすみません

連盟への提言ですが
しかしキリスト教界への提言でもあります
ではどうぞ

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日本バプテスト連盟中長期計画に向けての提言 その1

1) はじめに

 現代の世界システムとなったグローバリゼーションの只中にある教会は、キリストに従うゆえにどういう存在としていかなる行為をすべきなのか、が、今回のシンポジウムの大きなテーマと理解する。そしてそれが日本バプテスト連盟中長期計画の中で具体化されるものと期待する。
 当委員会は、一貫して掲げる委員会理念をグローバリゼーションの世界の只中で噛み砕くかたちで今回の提言をしたい。
 そこではじめに、連盟定期総会資料に常に記している当委員会理念を確認したく願う。

<理念>
* マタイ25章31節~46節の御言葉に立つ。「主の兄弟である最も小さい者のひとり」としてのホームレスに関わることは、信仰の、そして福音宣教の課題であると考える。
* マタイ4章4節の御言葉に立つ。「ホームレス問題」は、「ホーム」ということばで表現される「関係性」「帰るべきところ」「いのちの基盤」「家族など愛し支えあう者たちのいるところ」の喪失がその本質であると考える。ホームレス問題は単なる「ハウスレス」問題ではない。「ハウス」(家)に代表される「衣・食・住」という物質的な必要を満たすとともに、教会、家族、地域、学校、職場における関係、そしてそれらの土台である神との関係を回復することこそが、課題である。「人はパンだけで生きるものではなく、神の口から出る一つ一つの言で生きるものである」。ホームレスのひとりひとりを含め、わたしたちのすべてが、神の口からひとりひとりに対して与えられる赦しと愛の宣言のもとで兄弟姉妹であり、家族であると理解する。

2) グローバリゼーション(余剰、搾取、格差、貧困、戦争)

 グローバリゼーションはホームレスを産み出す。システム上これは必然である。
現代の多くの思想家が言うように、グローバリゼーションの正体は余剰分の確保を競うことである。企業は世界市場の競争で勝つため資本を増加せねばならない。したがって企業は資本を拡大することに躍起になる。すると利益は資本にまわされ、労働者確保にはまわされない。また合併や買収により資本を増やす。そこでは労働者が多数解雇される。
資本は社会に還元されない端的な余剰分である。今世界には余剰がある。しかしその余剰を大きくしなければ経済競争に敗れるシステムとなぜかなってしまった。そして資本という余剰金がさらに増え、市場にまわる金が減る。
さらに余剰分増加のための搾取が起こる。余りのないところがさらに搾取される。ここで大きな格差が生まれ、貧困が拡大する。
そしてホームレスが産み出される。
実際に日本においても、このシステムを導入した小泉構造改革以降、急激にホームレスが増加した。
したがって当委員会にとって、グローバリゼーションは緊急に克服すべき世界システムである。
敬虔なカトリック信者の思想家であるジャン・リュック・ナンシーは、このようなシステムはすでに経済ではなく、あえて呼ぶなら「超」経済であり、それは経済が経済を超えて正体不明のものになったということであると分析する。この論は後の提言にも結びつくので紹介する。
さらにグローバリゼーションは戦争を生み、人を殺す。貧困を受ける者は貧困からの解放のため戦争ですべてが変わることを望み、また資本増大を目指す者は搾取の手段として戦争を歓迎する。
よって「殺すな」という戒めに立つキリスト教会にとって、またその戒めを「平和に関する信仰的宣言」として告白する当連盟諸教会・伝道所にとって、戦争を必然的に生むグローバリゼーションの克服は緊急課題である。