Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

レトロな午後

2012-04-20 20:48:30 | クラシック
四月も半ばを過ぎているというのに朝晩の冷え込みがきついが、南の部屋へ射しこんでくる光りは柔らかく春である。火鉢の中で飼っている二匹の和金も餌を投げ込むと水面へのジャンプが力強くなっている。

優雅さには程遠い労役から解放されて久しぶりの音楽時間がやってきた。いつものフィッシャー製真空管アンプとデッカのスピーカーで聴く一曲目はたまに引っ張り出すアンヌ・ビルスマの弾くCBS版バッハの無伴奏チェロ組曲第6番だ。「アルマンド」あたりからスタートすれば午前の柔らかな光と溶けこんでちょっぴり鬱屈した気分を鎮めてくれることに希望を託すことに。

魂の沈静作用は3~4分程度の「クーラント」「サラバンド」「ガボット」「ジーク」へ潜り込む過程でいつもながらのように心に点滴をもたらす。その作用は和洋の隔絶にも関わらず「般若心経」を唱和するような気持と同根な感情を味わうのもバッハがもたらす不思議な普遍性の一つだと思っている。

午前中のバッハタイムが終わってコーヒーで一息いれていると近在に住むKさんが約束時間にやってきた。アメリカ製ヒースキットのプリアンプの不調がようやく治ったとの朗報だ。治ってきたヒースキットとKさんが自作した入魂のパワーアンプを持ち込んでデッカのスピーカーを鳴らしてみる。これは正解だ。先日来の硬く高域に寄っていた音調がもっと中音の美味しい領域を拡大してKさんの家で聴いた印象とは違っている。
Kさんの作ったパワーアンプはRCAの71Aという直熱三極管でそのパワーは1ワットにも満たない。1W弱のアンプがデッカのコーナー型スピーカーをとてつもなく朗朗と豊かに鳴らすことに驚く!ヒースキットはペケかと危惧していたが、かって聞いたことのある同時代のマッキントッシュのプリアンプC-8などにも優るとも劣らないことがKさん自作のアンプとの組み合わせて実感された。

これは好きなボーカル、それもこれらのアンプやユニットと同じ時期に収録されたものを聴くに限るという結論にお互いが達した。マキシン・サリバン、ペギー・リー、マリーネ・ディートリッヒ、4~50年代の懐古な空気は色濃く流れるのに声のニュアンスはリアルで隈取はあくまで鮮明で近頃聴いた音では出色な再生音だ。
これは日向の家に同好の人々を呼んで、このシステムで好きなボーカルの会を開くしかないね。というKさん共々の結論になって5月半ばに今日二人が聞いたシステムを再現する会を開くことになった。





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