Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

立春の空気

2013-02-04 14:15:57 | クラシック

二十四節季の「立春」を迎えた。旧暦の「如月」に替わってこの三日間はだいぶ空気も和らいできた。夜勤の早朝仕事で短い時間ながら戸外に出ることがあるが、正月明けの頃とは体感温度が違っている。座間の部屋も最初にストーブを点ける時のセンサーの感知気温が14℃くらいにまで上がっている。「大寒」の頃は9℃だった。防音施工してあるマンションの気密性にたすけられて、この冬に使った灯油は18リットル缶がたった二本という嬉しい省エネ結果になっている。日向薬師時代は同じ時期は5℃くらいだった。このまま春を迎えてくれたら嬉しいが、そうは問屋が卸さないところがお天気のきまぐれというものである。これからまだまだ雪の日があったりするのだろう。久しぶりにミケランジェリのドビッシーが聴きたくなって前奏曲集の1・2などをバックに古本屋で購入した買い置き本を読み進める。ついでにボードレールの「悪の華」をピエール・ブランシャールが朗読しているアシェッテ盤のLPレコードでも聴いてみようとたくらんでいる。

古本の中には堀江敏幸の「雪沼とその周辺」(2003年新潮社刊)という少し前に出て話題になった短編集が入っている。どこか田舎の架空の町とそこで生きる時流の職業からずれた人々の淋しげな日常描写と温度感の伝わり方に温もりが溢れている優れた短編集だ。これを読んでいたら、「レンガを積む」という短編のタイトルにふと目がいった。スピーカーの設置をめぐる対策レンガの話である。同じ次元の話ではないが我が身にも話が及んできて、気に病んでいることがまた浮上してきた。

デッカ・コーナー型スピーカーの再生音が日向薬師時代の水準に達していないことをやはり感じる。余って膨らんでいる低音が部屋の中をループしてボンついている。そのせいかピアノなどの硬い高域成分がどこかうるさく感じることが多い。システムは同じものでこうも平凡な再生音ではしょうがない。ピン・ケーブルやスピーカーの位置の変更などで対策をしてみるが、いまのところミケランジェリのもたらす天才的な「鬼気」や「静謐」の真髄を感じる手前を彷徨っているような残念な状況が続いている。それでも二月の半ばにやってくる同じ英国はバイタボックスの古い小型スピーカーと我が家にてやや低迷しているデッカスピーカーとの聞き比べが実現できることが昨日決まって楽しみが一つ増えた。ミケランジェリのドビッシーはそこでまた出番がきそうである。


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