Rainy or Shiny 横濱ラジオ亭日乗

モダンジャズ、ボーカルを流しています。営業日水木金土祝の13時〜19時
横浜市中区麦田町1-5

寺島靖国との靴談義の余話ー横浜ラジオ亭篇2

2018-12-03 09:02:03 | ラジオ亭便り
24日の土曜日は、元町中華街駅の改札口で寺島靖国さんと合流する。その2日前には昔のバンドホテルの跡地にあった「ドンキホーテ」が大型メガ店舗に変身したばかりで、元町付近は大混雑しているが待ち合わせには細心な寺島さんは約束時間よりも前に到着していたらしい。1時間前から付近の空気を嗅いでいたらしく開口のセリフは自分が住む地元の吉祥寺よりも街の品格がはるかに格上と強調している。この日の予定は元町から近い麦田町のラジオ亭への初訪問。時間が余れば近隣のシニア世代が出入りするジャズ喫茶店にも寄ることにした。そして最後は中華街で食事でもしようという予定になっている。元町商店街の裏通りには代官坂、汐汲坂といった山手の丘へ通じる坂道がある。その辺りの小さめな物販店、飲食、カフェの類は気の利いている佇まいがするから麦田町への徒歩行が退屈しないと読んで歩き始める。

先日来、盛んに「脱力」呼吸法を説いて私にも勧めている寺島さんが歩き始めにその意義を語る。心臓の血管を萎縮させない有酸素運動に通じるものがあるらしい。ああ!これは神経過敏で不眠症が常態で苛立ちやすいご自身への「言い聞かせ」なんだと合点が行く。私などは自力的零細事業を畳んでからの10年は「脱力」と「無力」の間を彷徨っているようなもの。レスターヤングが倦怠の濃霧を漂わせながらズルズルッと吹くスタンダード曲「水辺に佇み」みたいなジャズ心の在り方こそが我が晩期「脱力風無力」人生の最良な点滴剤と思っている。 途中の元町商店街の裏通りをぶらつきながら寺島さんの「脱力」寄り道に付き合う。

1軒目は「RASOX」という靴下専門ショップ、2軒目はその近くにあるビル エバンスとの共演で名高いジャズフルート奏者、ジェレミー スタイグの描いた絵画展示と軽めな再生でジャズを流しているラジオ亭のお客さんから知った店「JEREMY'S」カフェ&ギャラリーに寄ってみる。
寺島さんの靴下ショップの買い方は傑作だった。歩いていてウインドウにディスプレイされた男子用靴下を一瞥すると突然「これ買う」と言って店内へつかつかと入って行き、店員さんと二言三言の会話。カジュアルな左右デザインが異なる靴下で柄の配色は大胆で生地はしっかりして履き心地が良さそう。先日の吉祥寺で履いていた木綿生地とゴムのズック靴の背景に合点が行く。奥さんの宛行扶持で服飾小物でも甘んじている6〜80代老人との主体性の違いは歴然としている。年を重ねても色気を喪失しない人生の愉楽を感じるシーンだ。私などもばーんと二足で3700円の靴下を買って意気軒昂となりたい気持ちはあっても、3足1000円の靴下に甘んじる現実にいつも寄り切られているわけだ。


次に寄り道した店が「JEREMY'S」。シンプルなコンクリート壁にジェレミー スタイグが残したエスキース風の彩色画が所狭しと陳列されている。いわゆるジャズ喫茶風同調圧力が迫って来ないよい空間である。スピーカーはごくミニマムな北欧辺りのスキャンスピークスクラスの小物だが、BOSE101じゃないところにさりげないセンスを感じる。ジョン コルトレーンがアトランティックレコードに在籍して徐々にジャズメロディを抽象的に細分化した頃のスタンダード曲が微かに流れて、これがジェレミー スタイグの下手なようで線描に躍動感を感じるデフォルメ絵画に溶け込んでいる室内景色が良い。店を出てラジオ亭までの5分間はお互いに俗情へのセンサーが過敏な両人による魅力的女性経営者への肯定感溢れる品評となったがこれは省略することに。

営業ご案内 8日(土) 臨時休業 15日(土)16時から営業 16日(日)中本牧コミュニティハウス講座「かんたん燻製作り」開講の為臨時休業

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