視人庵BLOG

古希(70歳)を迎えました。"星望雨読"を目指しています。
TwitterID @seibou_udoku

現代の教養としての哲学

2008-05-14 08:36:57 | 文化
東京女子大学と杉並区教育委員会共催の杉並区内大学公開講座 (全6回)。
講師はNHK教育サイエンスZEROのコメンテーター、東京女子大学黒崎政男氏。

案内H.P.より
二十一世紀の今日、<哲学をする>とか<哲学的に考える>とは、いったいどのような営みなのでしょうか。この公開講座では、以下のような多岐にわたるテーマを扱いながら、現代の教養としての哲学の意義を考えてみたいと思います。

 (1)<本当にある>とはなにか―カント『純粋理性批判』の視点から―
 (2)デジタルを哲学する―コンピュータを生み出した哲学的思索―
 (3)書物と教養のゆくえ―電子テキストと著者性の問題
 (4)キリシタン時代の哲学―アリストテレス『霊魂論』邦訳発見と江戸―
 (5)<和>とは何でないか―岡倉天心と「美術」の創出―
 (6)華厳の滝と日本の哲学―現代の教養としての哲学

黒崎政男氏は10年以上前、月刊アスキーに連載されていた哲学者クロサキのMS‐DOSは思考の道具だ を読んでいらいの"ファン"だが勿論、氏の専門のカントなんていうのは小生の範囲ではない。

せいぜい下の新書位である。

デジタルを哲学する―時代のテンポに翻弄される“私” (PHP新書)
黒崎 政男
PHP研究所

このアイテムの詳細を見る


そしてもっとも面白かったのは下の本。
マァー、映像論の体裁をとりながら氏のライカ・マニアぶりを語っている本だと思うけど、銀塩カメラとか真空管アンプという、ちょっと前の職人技に惹かれる人種の一人として内容は同感できる。

哲学者クロサキの写真論
黒崎 政男
晶文社

このアイテムの詳細を見る


この市民講座、最初は定員150名だったが310名以上の聴講希望者が有り、急遽教室を変更して全員受講できるようにしたとのこと。
平日午後3時からの授業の会場は当然ながら爺婆パワー満開だ。平均年齢65歳を確実に超えている!?

講義は軽妙な語り口で笑いをとりながら進めていった。
勿論カントの純粋理性批判がそれで理解できるわけはない。

しかし受講している方々の多くは直接もしくは間接に、近代日本のカントを頂点としたドイツ中心教養主義の残り香の中で教育を受け、もしくは残り香の有る家庭環境で育った世代のようなので、「現代の教養としての哲学」という講座の趣旨は再認識できたようだ。

一番の驚きは「現代の教養としての哲学」という杉並区民を主に対象した講座にこれだけ高年齢の方々(300名以上!)が参加したということ(杉並区民53万人強:拠出年金受給者数8万4千人強)。

個人的には2回、3回のテーマにもっとも関心がある。
(2)デジタルを哲学する―コンピュータを生み出した哲学的思索―
(3)書物と教養のゆくえ―電子テキストと著者性の問題

P.S.
いつものミーハー性格で下の本も読む(買う?)気になりました。

カント『純粋理性批判』入門 (講談社選書メチエ)
黒崎 政男
講談社

このアイテムの詳細を見る



コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする