つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

さよか~

2006-07-28 23:55:19 | 学術書/新書
さて、東京1泊してからもう畳が恋しくなったの第605回は、

タイトル:神 一語の辞典
著者:大野晋
出版社:三省堂

であります。

「日本語のカミ(神)という言葉の由来をたずねて見ようと思う。」

著者が本書の冒頭で書いていることだが、この本はまさにこの「日本の神」という言葉がどういうものなのか、どういう変遷を辿ってきたのか、どういう扱いをされてきたのか、と言ったことを述べている。

構成は次のとおり。

I 日本のカミ
古来……万葉の時代に、日本のカミと言う存在がどういうふうに考えられていたか、捉えられていたかを解説。
まぁ、まずはやはり前提というところ。

II ホトケの輸入
仏教の輸入から神仏習合が起きる前までの間で、仏教がカミとの関係でどういうふうに扱われていたかを解説。

III ホトケの習合
基本的にはタイトルのとおりだが、仏教に対するカミの劣勢とそれを盛り返そうとして、神道理論を構築していった人物、派の解説がある。
結局、儒仏の理論を神道に応用して、外来のものから脱せずに神道理論を構築する、と言うのはけっこう痛いかも……。

IV カミとホトケの分離
明治時代に入っての廃仏毀釈……ではなく、本居宣長に代表される国学に関しての解説。

V ホトケのぶちこわしとGodの輸入
で、こちらが廃仏毀釈に代表される神仏分離令と、日本のカミをどう翻訳するかなどについて解説。

以上が時代ごとの時系列での説明、と言っていいだろう。

VI カミの輸入
ここが本書の最大の見せ場、であろう。
言語学や音韻学などを駆使し、いわゆる語族に共通する特徴から、万葉時代の古語とインドのタミル語との関連性を中心に論じている。
特に万葉仮名に見られるカミに関わる言葉を、それぞれの音韻などから共通であることを詳細に述べている。

VII 日本の文明と文化
タイトルがどうあれ、締めは締め、と言うことで。

と言うことではあるけれど、なんか、論文ね、これ。
いや、別にタミル語との関連とか、いろいろと読んでいておもしろい部分はあるんだけどねぇ。
まぁ、万人受け……どころか、マイナーですらない気がする。

中身をさらっと見て、これはおもしろそうだと思えるくらい、こういうのに興味がないとダメだろうねぇ。
まぁ、へぇ、と思うところもあれば、そうかぁ? と思うところもあったりするのは、この手の本だから仕方がないところ。

でもまぁ、ほんとうに読める人間限定だよなぁ。
いちおう、時系列で解説しているところはまだいいけれど、それを含めてもオススメできるものではないないよね。
まぁ、個人的には読める本だとは思うけど。


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2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
はじめまして。 ()
2006-07-30 10:19:27
はじめまして。



「読める人間限定」と書いてあったので、

ついついコメントしてみました。



この手の本は、

読んでて面白いところは、あります。



そして、読めるけど、

大分はしょりたくなります。



たしかに、そんな感じですね。



では。
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いらっしゃいませ (LINN)
2006-07-30 20:57:09
そうなんですよね。

おもしろいところまったくない、とは言えますが、結局それも読者限定のおもしろさ、って気がしますね。
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