つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

こういうひともいるんだろうねぇ

2006-03-05 16:25:51 | 恋愛小説
さて、ここの文句のネタがないなぁ(爆)の第460回は、

タイトル:愛がなんだ
著者:角田光代
出版社:角川文庫

であります。

まったくおもしろくもなかった1冊目の「幸福の遊戯」からしばらくしての2冊目。
短編集ではなく、こちらは200ページあまりの1本の作品。

主人公の山田テルコは、通称マモちゃんこと、田中守にありもしない残業にかこつけて会社に残っていたところに、風邪を引いてて出られないから、できれば何か買ってきてほしい、と頼まれる。
マモちゃんが好きなテルコは、あれこれと世話を焼きたくなるのを抑えつつも、しょうがないと言いながらいそいそと会社をあとにする。

だが、結局いろいろと世話をしてしまったからか、マモちゃんに帰れと言われ、終電もなくなり、タクシーを使う金もなかったので、家路を歩きながらあれこれと考えていた。
そんなとき、歩いていた通りから友人の坂本葉子の住んでいる家のことを思い出し、電話をかける。

タクシー代を葉子に払ってもらい、葉子の家に転がり込んだテルコは、葉子の悪態を聞きながら夜は更けていく。

えーっと、序盤はこんな感じ。
このあと、マモちゃんが好きで、それ以外は「どうでもいい」ことにしてしまったテルコの日常を描いた恋愛小説、と言うことになろうか。

主人公のテルコは、とにかく端から見れば、と言うより作中でも出てくるが、一言で言えば、とてつもなく都合のいい女。
好きな男からの呼び出しのために、残業もないのに会社に残っていたり、逆に仕事中だろうが、会議中だろうが携帯に電話があれば長電話をしたり、男のために遅刻、早退は当たり前、頼まれごとは仕事よりも優先、何ヶ月ほったらかしにされても久しぶりに誘いがあれば喜んで外出する。
そんな女性に描かれている。

とは言うものの好きな男のほうのマモちゃんはテルコのことが好きではない。
だから、テルコはずっと片思いのまま、けれどとことんマモちゃんとの関係を途切れさせないために、いろいろと考えたり、行動したりする。

一瞬、「恋愛中毒」を思い出してしまったが、まぁ、ここまでどろどろはしていない。
なので、まだ拒否反応は出にくいし、読みやすいほうだとは思う。

また、テルコと対照的に自分に惚れた男を使いっ走りみたいに使う葉子や、マモちゃんが好きになったすみれさんと言う女性との関わりなど、キャラクターの設定と配置によって、テルコの姿がより際立って見える。

前の「幸福の遊戯」よりは読める作品だし、まぁ、おもしろくないかと言われれば、時折除くキャラクターの生々しさなど、見るべきところは十二分にあると思う。
ただ、こう、入り込めない作品となると、どうしても参考としてよかった、みたいな感じになってしまうかなぁ。
キャラ造形という意味で、ね。


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