さて、そろそろ普通のも読まないとなぁと思いつつもの第988回は、
タイトル:お釈迦様もみてる 紅か白か
著者:今野緒雪
出版社:集英社 コバルト文庫('08)
であります。
「マリア様がみてる」(通称マリみて)の姉弟編として刊行された本書。
はっきり言って、まったく興味がなかったので手を出していなかったのですが、図書館にあったこともあって、ようやく1巻を手にしてみました。
まぁ、多大な期待はこれっぽっちもせず、読んでみましたが、はてさて……。
さて、ストーリーは、
『花寺高校入学の日の朝、福沢祐麒は校門からしばらく行ったところにあるふたつの分かれ道の前で立ちすくんでいた。
それぞれの分かれ道の入り口には机があって、上級生が待っている。
だが、そこに留まっているのは祐麒ひとりで、他の入学生は何に疑問も持たず、次々と分かれ道を選んで進んでいってしまう。
このまま留まっていても埒があかないと判断した祐麒は、同じ附属中学からの持ち上がり組でも見つけて聞いてみようと踵を返したとき、不意に誰かとぶつかってしまう。
幸か不幸か、ぶつかった誰かからこれが花寺学院高校で有名な源平関所であり、源氏は白、平氏は紅と分かれているらしいことを知る。
だが、それを知ったところで祐麒にはどちらも選べなかった。
そして祐麒の選んだ道は、そのどちらでもなく、真ん中の山を突っ切っていってしまう。
祐麒は意識していなかったが、関所破りと称される祐麒の行為にひとりの上級生が追いかけてくる。
体格の差か、はたまた上級生だからか、程なく捕まってしまった祐麒は、その上級生から関所破りについて脅され、源氏か平氏かを選ぶことを迫られる。
関所破りは重罪だの、選べなければお仕置きだのとのたまう上級生にかちんと来た祐麒は、その上級生が所属していない方という回答をする。
結果的に、それは無所属であることを選択することになり、入学早々、祐麒は無所属のつらさを味わうことになる。』
いやー、もうこの話、まったくもって潤いがないねぇ。
まぁ、舞台が男子校なんだから仕方がないとは言え、唯一の潤いが祐麒の姉で、「マリみて」の主人公祐巳ちゃんだけというのはちょっと……。
それはさておき、ストーリーは関所破りをしてしまった祐麒に無所属を決定づけた原因であり生徒会長でもある柏木優との出会いから、生徒会に関わっていくことになる祐麒の受難を描いた作品と言ったところだろうか。
それに、花寺学院高校伝統の源氏(体育会系)と平氏(文系)と言った厳格な派閥、烏帽子親と烏帽子子という「マリみて」の姉妹制度に似たシステムを絡めて話は進んでいく。
何故か生徒会に呼び出されて、生徒会役員である上級生と勝負することになったり、ひょんなことから友達ができたり、中学時代の祐麒のエピソードがあったりと、話そのものは程よくネタをちりばめつつ、けっこうテンポよく流れていく。
私みたいに読むのが速いほうの人間からすれば、一時間半もあれば一冊読み終わってしまうくらいで、そういうところは「マリみて」に通じるところがあるかな。
まぁ、「マリみて」も本書もページ数はさほど多くないし、この著者の作品は「マリみて」以外読んだことないので、これがこの人の特徴なのか、単に両方学園コメディとしての軽さを意識してであるのかはわかんないけど。
ただ、潤い云々を別にして、学園コメディとして見た場合、「マリみて」よりもおもしろみがない。
と言うか、姉弟編としてどうしても比べてしまうんだよねぇ。
それを除けば、学園コメディとしてのおもしろさはあるし、「マリみて」同様、軽く読むには適した作品ではないかと思われる。
「マリみて」は百合要素があるので、読み手を選ぶところがあったけど、こっちは薔薇要素がないのでむしろ手に取りやすいのかもしれない。
個人的には「マリみて」の大ファンなので、それに見劣りする本書は落第と言いたいところではあるけれど、客観的にはいい部分もあるし、取っつきやすさで言えばこちらのほうが上。
さすがに良品と言うまでには至らないけれど、総評としては及第点をあげてもいいと思う。
それにしても……。
結局2011年は「マリみて」が出なかった……。
「マリみて」のファンとしては本書の続きよりも、「マリみて」の続きのほうが気になってしょうがないってのに、なんか著者は書く気がないのか、祐巳ちゃんたちが三年生になった最初の「リトルホラーズ」以降、外伝二冊出たっきりだしなぁ。
まぁ、祐巳ちゃんと祥子でやり尽くした感はあるだろうけど、祐巳ちゃんたちの卒業まで書いてくれ、今野緒雪。
そこまで出たら満足するからさー。
(実はこっちが本音だったりして(笑))
――【つれづれナビ!】――
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タイトル:お釈迦様もみてる 紅か白か
著者:今野緒雪
出版社:集英社 コバルト文庫('08)
であります。
「マリア様がみてる」(通称マリみて)の姉弟編として刊行された本書。
はっきり言って、まったく興味がなかったので手を出していなかったのですが、図書館にあったこともあって、ようやく1巻を手にしてみました。
まぁ、多大な期待はこれっぽっちもせず、読んでみましたが、はてさて……。
さて、ストーリーは、
『花寺高校入学の日の朝、福沢祐麒は校門からしばらく行ったところにあるふたつの分かれ道の前で立ちすくんでいた。
それぞれの分かれ道の入り口には机があって、上級生が待っている。
だが、そこに留まっているのは祐麒ひとりで、他の入学生は何に疑問も持たず、次々と分かれ道を選んで進んでいってしまう。
このまま留まっていても埒があかないと判断した祐麒は、同じ附属中学からの持ち上がり組でも見つけて聞いてみようと踵を返したとき、不意に誰かとぶつかってしまう。
幸か不幸か、ぶつかった誰かからこれが花寺学院高校で有名な源平関所であり、源氏は白、平氏は紅と分かれているらしいことを知る。
だが、それを知ったところで祐麒にはどちらも選べなかった。
そして祐麒の選んだ道は、そのどちらでもなく、真ん中の山を突っ切っていってしまう。
祐麒は意識していなかったが、関所破りと称される祐麒の行為にひとりの上級生が追いかけてくる。
体格の差か、はたまた上級生だからか、程なく捕まってしまった祐麒は、その上級生から関所破りについて脅され、源氏か平氏かを選ぶことを迫られる。
関所破りは重罪だの、選べなければお仕置きだのとのたまう上級生にかちんと来た祐麒は、その上級生が所属していない方という回答をする。
結果的に、それは無所属であることを選択することになり、入学早々、祐麒は無所属のつらさを味わうことになる。』
いやー、もうこの話、まったくもって潤いがないねぇ。
まぁ、舞台が男子校なんだから仕方がないとは言え、唯一の潤いが祐麒の姉で、「マリみて」の主人公祐巳ちゃんだけというのはちょっと……。
それはさておき、ストーリーは関所破りをしてしまった祐麒に無所属を決定づけた原因であり生徒会長でもある柏木優との出会いから、生徒会に関わっていくことになる祐麒の受難を描いた作品と言ったところだろうか。
それに、花寺学院高校伝統の源氏(体育会系)と平氏(文系)と言った厳格な派閥、烏帽子親と烏帽子子という「マリみて」の姉妹制度に似たシステムを絡めて話は進んでいく。
何故か生徒会に呼び出されて、生徒会役員である上級生と勝負することになったり、ひょんなことから友達ができたり、中学時代の祐麒のエピソードがあったりと、話そのものは程よくネタをちりばめつつ、けっこうテンポよく流れていく。
私みたいに読むのが速いほうの人間からすれば、一時間半もあれば一冊読み終わってしまうくらいで、そういうところは「マリみて」に通じるところがあるかな。
まぁ、「マリみて」も本書もページ数はさほど多くないし、この著者の作品は「マリみて」以外読んだことないので、これがこの人の特徴なのか、単に両方学園コメディとしての軽さを意識してであるのかはわかんないけど。
ただ、潤い云々を別にして、学園コメディとして見た場合、「マリみて」よりもおもしろみがない。
と言うか、姉弟編としてどうしても比べてしまうんだよねぇ。
それを除けば、学園コメディとしてのおもしろさはあるし、「マリみて」同様、軽く読むには適した作品ではないかと思われる。
「マリみて」は百合要素があるので、読み手を選ぶところがあったけど、こっちは薔薇要素がないのでむしろ手に取りやすいのかもしれない。
個人的には「マリみて」の大ファンなので、それに見劣りする本書は落第と言いたいところではあるけれど、客観的にはいい部分もあるし、取っつきやすさで言えばこちらのほうが上。
さすがに良品と言うまでには至らないけれど、総評としては及第点をあげてもいいと思う。
それにしても……。
結局2011年は「マリみて」が出なかった……。
「マリみて」のファンとしては本書の続きよりも、「マリみて」の続きのほうが気になってしょうがないってのに、なんか著者は書く気がないのか、祐巳ちゃんたちが三年生になった最初の「リトルホラーズ」以降、外伝二冊出たっきりだしなぁ。
まぁ、祐巳ちゃんと祥子でやり尽くした感はあるだろうけど、祐巳ちゃんたちの卒業まで書いてくれ、今野緒雪。
そこまで出たら満足するからさー。
(実はこっちが本音だったりして(笑))
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