つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

とりあえず

2012-02-11 14:47:56 | ファンタジー(異世界)
さて、もうすぐ1000回なので頑張ってみようの第982回は、

タイトル:輪環の魔導師 闇語りのアルカイン
著者:渡瀬草一郎
出版社:メディアワークス 電撃文庫(初版:'07)

であります。

いやぁ、お久しぶりです。

何年ぶりの更新でしょうねぇ。
最後の記事が2008年だからすでに3年半以上経ってるんですねぇ……。
(思いっきりサボってたな、ってツッコミはなしの方向で(ぇ))

まぁ、ともかくも1000回も近いことですし、ぼちぼち更新していきたいと思います。

さて、再開の最初は「空ノ鐘の響く惑星で」の渡瀬草一郎の次回作です。
ストーリーは、

『辺境の地、ミストハウンドの領主オルドバに仕える薬師見習いのセロは、森の奥の泉で沐浴をするオルドバの養女フィリアーノ、通称フィノの警護(?)をしていた。
14歳のセロと16歳のフィノ。薬師見習いと貴族の娘という立場の違いはあれど、幼馴染みで気心の知れたふたりは……というより、フィノはセロを過剰なまでに溺愛していた。

その辺の事情はさておき、沐浴を終えたフィノたちの前に森で野苺を摘んでいて迷子になったマリルと出会い、フィノは一足先に屋敷に戻ることになった。
セロは薬草を取りながら帰るということで別行動をする。

屋敷に戻ったフィノは、魔導師でもあるオルドバの協力をするという目的で訪れた王立魔導騎士団のハルムバックたちと出会う。

魔導具というものを介して誰もが魔法を操れる世界。
魔導具職人であった祖父を持つセロは、しかし魔導具を操ることも作ることもできなかった。その代わり、なぜか魔導具を使うと壊してしまうという厄介な体質だった。
そのこともあって薬師を目指すこととなったセロは、さりとてそれを悲観してもいなかった。

屋敷に戻ったセロは、フィノの屋敷のある敷地にある自宅でフィノが寝ているのを嘆息していると、主であるオルドバがハルムバックを伴って自宅を訪れた。
祖父ゼルドナートが遺した魔導具を見せてもらいたいというハルムバックに訝しみながらも遺品を取り出すと、ハルムバックは用途の知れない黒い塊の魔導具を貸してほしいという。
違和感を覚えたセロはそれを拒否し、ハルムバックもそれ以上無理強いはしなかった。

その夜、夜にしか採れない薬草を求めて森の中へ入っていったセロは、突然ある少女に命を狙われてしまう。
そこへハルムバックが現れ、祖父のゼルドナートが高名な魔導師である魔人ファンダールの知己であり、それに関して何か知らないかと問うてくる。そしてセロが少女……”魔族”に狙われる理由もそこにあるという。
まったく心当たりのないセロはそのことをハルムバックに告げるが……。

本当に何も知らないことを悟ったハルムバックは、突如豹変し、セロを逃げながら辿り着いた崖下に突き落とす。
まず助からない高さから落ちたセロは……しかし、生きていた。
セロを助けてくれたのはなんと喋る黒猫。
黒猫は、自身を魔人ファンダールの弟子であり、アルカイン・ダークフィールド・ロムネリウスと名乗った。

アルカインの出会いと、ハルムバックたちの思惑が、セロの今後の人生を大きく揺るがすこととなる。』

えー、まず世界観だけど、前作「空鐘」がSF要素を含んだファンタジーだったのに対し、こちらは一般的に認識されているファンタジーの世界観を若干アレンジしたもので、世界観を想像するのは容易だと思う。
いわゆる魔法使いは魔導師だし、魔法は魔導具。
魔道具は誰にでも使えるけど、才能の差があるのでやっぱり魔導師と一般人の区別はある。

魔族という存在は人外の生命体ではなく、あくまで人間が根本であるというところが「魔族」という名称から受ける印象とは異なるものの、奇を衒う部分はないから設定の妙味というものに欠けるけど、安心感はある。

「空鐘」と違って今回は続きを意識したものとはいえ、1巻完結でもあるし、物語の緩急もついていて好感が持てる。
キャラもセロやフィノの性格や関係性といったものや、アルカインと魔族との関係を通して明確になっているし、それぞれ個性があって、キャラも立っている。

文章的な面も「空鐘」同様、過不足なく読みやすい印象で及第点。
ただ「空鐘」1巻を読んだときと同様、勢いに欠けるので続きを読もう! という気になかなかさせられないのが残念なところ。

まぁ、世界観の平凡さはあれど、キャラ、ストーリーともにきちんと読ませてくれる作品ではあるので、悪い面よりいい面のほうが多いのは事実。
個人的におもしろかったかと言われれば、とりたててオススメ! って感じではないけれど、さりとて落第になるほど悪い面もない。

手に取って損はないとは思うので、良品未満及第以上、といったところかなぁ。
ラノベ点を考慮しても、ぎりぎり良品に手が届かない、といったところなので、総評としては及第、かな。


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