つれづれ読書日記

SENとLINN、二人で更新中の書評ブログです。小説、漫画、新書などの感想を独断と偏見でつれづれと書いていきます。

戦え阿修羅王

2006-12-05 23:56:43 | マンガ(少女漫画)
さて、週間でよくやったなと思う第735回は、

タイトル:百億の昼と千億の夜(全二巻)
原作:光瀬龍  漫画:萩尾望都
出版社:秋田書店 少年チャンピオンコミックス(初版:S52~S53)

であります。

日本SF黎明期の傑作『百億の昼と千億の夜』のコミック版。
萩尾望都が描いてるだけあって、単なる原作のコピーに留まらず、むしろオリジナル作品に近い出来となっています。



アテナイに住むプラトンは、海に没した伝説の国アトランティスの調査を進める内に、エルカシアという小さな村にたどり着いた。
長老の娘ユメに連れられて入った『宗主の塔』の中で、プラトンはアトランティス最後の日の夢を見る。
宗主と呼ばれる人物はユメの口を借りて言った――お前は『道標』だ。過去と未来を旅し、戦士を探せ。

出家したシッタルダ太子は、四人のバラモンに連れられて天上界を訪れた。
しかし、天上界にも滅びの手は迫っており、数多くの星が熱量を失って死を迎えていた。
兜率天に座す梵天王は、五十六億七千万年後に現れる救世主・弥勒を信じ、憎むべき悪・阿修羅王と戦うことをシッタルダに要請する。

阿修羅王に興味を持ったシッタルダは、彼女と一対一の会見を望んだ。
極光の下で二人は出会い、シッタルダは阿修羅が戦う理由を問う。
阿修羅王は弥勒の救済を待っているだけの梵天王を嘲笑うと、滅びの原因が不明であること、それを知るために兜率天に攻め込んだことを告げた。

意見の一致を見た二人は、弥勒のおわすという摩尼宝殿を目指すのだが――。



文明の発生と滅び、そこには何らかの意図的な介入があるのではないか?
一言で言っちゃうと、これを宇宙規模まで広げて考えたSF作品です。
主人公達は、この世を滅ぼそうとする意志を感じ取り、終末を避ける術を求めて旅を続けます。

しかしよく二巻で終わらせたもんだ。

物語は二部構成で、前半は主要キャラの個別エピソード、後半は未来に集結した彼らが星から星へと旅するSFアクションといったところ。
メンバーの選択が物凄く、西はプラトンからユダまで、東は釈迦から阿修羅王までと、時代も場所もバラバラの有名人を節操なく集めています。
彼ら『選ばれた戦士』は謎の人物によってサイボーグにされ、荒廃が進んだ未来に送り込まれるのですが――。

勝ち目ゼロだよなぁ……この戦い。

敵には一応、『シ(死)』という名前が付いてますが、その正体は全く不明。
阿修羅王達は、姿も見せずに文明を滅ぼしていく『シ』を追うものの、その手はなかなか敵の本体に届きません。
おまけに、天上界の人間は自分で自分の首を絞めているとも知らずに、阿修羅王達の行動を妨害します。

『シ』とは? 『弥勒』とは何者か?
なぜアトランティスの開発計画は失敗したのか?
そして、阿修羅王達を援助してくれる人物の正体とは?
それは本編にて――。(笑)

主人公の阿修羅王が物凄く格好良いので、それだけでオススメ。(爆)
ラストは賛否両論あるかも知れませんが……闘神の運命としてはらしいかも。



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そして、少女は荒野から帰る

2006-11-01 23:49:42 | マンガ(少女漫画)
さて、今日は楽するつもりだったのに長くなった第701回は、

タイトル:少年は荒野をめざす(全六巻)
著者:吉野朔実
出版社:集英社 ぶーけコミックス(初版:S61)

であります。

自分が女性であることを自覚できない少女と意識的に何かに執着することを避けている少年の出会い、と、それによって起こる騒動を描くガール・ミーツ・ボーイ物。
登場人物の色分けが上手く、非常に質の高い青春ドラマに仕上がっています。
まぁ、中学三年生→高校一年生にしては聡すぎる気もせんではないが……。



狩野都は3千メートル自由形の王者と呼ばれているが、本人はそれを知らない。
水泳をやっているわけではない、そもそも彼女の得意分野は文章を書くことだ。
ただ、ぼやっとしてる割には頭が良くて、何も考えずに思いつきで発言する癖があって、皆が笑っている時は自分も無意味な笑顔を見せることがある……それだけのことだ。

狩野のクラスには彼女以外にも問題児が二人いる、東の横綱・小林靫彦と3-4の左脳・管埜透だ。
小林は勢いのままに場を盛り上げるムードメーカー、管埜は頭脳の使い道を選ばない策略家。
狩野の思いつきを管埜が具体化し、小林が意味もなく盛り上げる、鉄壁の三枚ブロックを誇る三人組を人は3-4三大スタアと呼ぶ。

しかし……そんな彼らでも、時間との戦いだけは放棄出来ない。
目前には高校受験が迫っており、狩野はまだ進路を決めかねている。
そう、彼女は何も変わっていないのだ……五歳の時、野原に少年を置き去りにしてからずっと。

かつて、狩野には七歳年上の兄がおり、彼女はずっと彼の代わりに世界を見ていた。
だが、病弱だった兄は狩野が五歳の時に死んだ……もう自分の代わりはしなくていい、と言い残して。
人生をやり直したはずの狩野の時間は、ずっと止まっている。小説を書くようになった今でも。

そしてある日、狩野は彼を見つけた……自分がなる筈だった存在、陸を――!



自分と誰かを重ね合わせてしまうという瞬間は、誰にでも訪れるものではないかと思います。
本作の主人公・狩野もそのタイプなのですが、その対象が死者で、しかも異性というのがかなり深刻。
しかし、彼女は見つけてしまったのです、自分と同じ顔を持つ少年を……。

そりゃ、行き着くところは決まってるわな。

性別の異なるドッペルゲンガーを愛し、憎悪するという展開は、以前に木曜漫画劇場で紹介した『ジュリエットの卵』に似ています。
あちらの主人公・蛍は、姿こそ兄の水に近付きながら、同時に、二人だけが存在する閉鎖空間からの脱却を計りました。
こちらの主人公・狩野は違います……時間と共に陸にのめり込み、同調していきます。(ある意味ホラーだ)

一言で言ってしまえば錯覚なのですが、当人達にとってはそうではありません。
狩野も陸も、互いに同調することで現在の自分に疑問を抱くようになり、そして……。
すいません、これ以上は言えないんでパス。(爆)

基本は、狩野と陸の話ですが、他のキャラも上手く生かされています。
特に秀逸だったのが、狩野の避難所となった洋館の主・日夏さん。
美形で小説家で少年少女趣味で性格破綻者という実にイイ男で、最後まで狩野と陸を支えたにも関わらず、決定的な部分では二人に袖にされてしまった可哀相な方でした。

つーか、二巻以降は日夏さん一人で話が保ってたと言っても過言ではない。
ちなみに、マーガレットコミック版・五巻の作品解説にて、作者自身が彼についてコメントを書いています。
本作における日夏さんの存在意義を実に上手く表現されているので、ここに紹介しておきます。

「青年期のこどもたちにとって、特別に自分を愛してくれる『他人』の存在が、在るか無いかでその後の人生は変わります。これは目に見えない安全ネットのようなもので、自分には人を引きつける力があるという幻想は、ここぞと言う時、すなわち深い溝を跳び越えようとする時威力を発揮します。『日夏さん』です」

ファンはもちろん、ベタベタなロマンスが苦手な人にもオススメします。
他人はほっといて、二人だけの世界を作って終わりなんてことはありません、ちゃんとしっぺ返しも食らいます。そこがいい。



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一人多い時はどうする?

2006-10-23 22:11:03 | マンガ(少女漫画)
さて、吸血鬼の紹介はまた今度、な第692回は、

タイトル:11人いる!
著者:萩尾望都
出版社:小学館 小学館文庫

であります。

少女漫画界の巨星・萩尾望都が放つ、SF漫画の傑作。
初出は1975年ですが、古くささは皆無です。
あちこちで題名をネタにされてるので、名前だけ知ってる方は結構多いかも。



時は未来……地球連邦と五十一の植民惑星との連合政府・テラが星間連盟に加入して四百年が過ぎた時代。
A22宇宙船内部では、三百年の歴史を誇る宇宙大学の最終試験が行われていた。
筆記試験が終わり、男女七百名の受験生はヘルメットを被ると、指定されたエアロックへと散っていく。

B63には、十名の受験生が集められていた。
試験官は一切の質問を封じ、ここにいるチームで最終テスト場である別の宇宙船へ行くよう指示する。
最終テストの内容を知らされていなかった受験生達は、突然の宇宙遊泳に戸惑いながらも、指定の宇宙船に入った。

船は無人だった。 
老朽化しているが、電気系統は生きているらしい。
オレンジ色の安全照明が灯ったので、ひとまずヘルメットを脱ごうとした時、誰かが叫んだ。

一人多いぞ、十一人いる!



試験の概要は――

五十三日間、宇宙船・白号の乗員として船内に留まること。
十名のチームの協調性を試すのが目的であり、一名でも落伍者が出た場合は全員が不合格となる。
外部との交信は不可だが、スクランブル発生時のみ非常用ボタンを押すことが許される。(ただし、試験は不合格)

いきなり非常事態なんですが。(笑)

凄まじく完成度の高い群像劇です。
孤立した老朽船、不明点だらけの内部構造、トラブルの要因となる数々のギミック、と舞台装置は完璧。
これに、五十三日というタイムリミット、頼るべき教師役の不在、外部との交信不可、そして何と言っても、『一名だけ謎の侵入者がいる』という秀逸な状況を加えることで、ドラマを組み立てるための条件をきっちり満たしています。

後はキャラクターを立てるだけですが、さすが萩尾、凄いメンツを揃えてきてます。
十一人全員に個性を与えるにはちょっとページ不足だったのか、捨て駒も何人かいますが、それでも記憶に残るキャラが三名を越えているのは驚異的。
目立つ連中だけ挙げると――

『タダ』……主人公。テラ系出身で、直感力を持つエスパー。初めて乗る筈の白号の内部構造を知っており、十一人目の疑いをかけられてしまう。判断力、発想力、分析力、行動力、どれを取っても一級品な完璧超人だが、少し天ボケな所もあったりする。

『フロル』……星系に属さない星から来た、輝くブロンドの美形。感情の起伏が激しいトラブルメーカーで、白号到着時、自分を女性と間違えたタダにいきなり喧嘩を売った。ある種族的秘密があり、本人の意思とは無関係に全員から女性扱いされる。

『王様』……サバ系の星の王。自分の星系を尊び、テラ系を蔑視する差別主義者で、リーダーを自認するが、単なる仕切り屋以上にはなれなかった。短絡思考な上、危機対応能力が低く、暴走してチームの和を乱す。

『ヌー』……辺境星から来た、鱗に覆われた肉体を持つ僧。静かな雰囲気の運命論者で、五十三日目を待たずしてチームが崩壊することを予言した。非常に理知的な人物だが、実はチーム一力持ちだったりする。(笑)

『ガンガ』……サバ系出身の短命種で、クロレラによる延命手術の実験体。フロルを制御でき、ぶつかり合うタダと王様の仲を取り持つ、影のリーダーである。エンジニアのイメージが強いが、実はタダを越える完璧超人で、クライマックスにおいてチーム崩壊の危機をたった一人で食い止めた。

他にもちょこちょこ出番をもらっているキャラがいるけど割愛。
ともあれ、これだけ濃いメンツを揃えれば中編としては充分でないかと。
ここでは詳しく書いていませんが、本編では各キャラの過去、種族による文化の違い、大学に入る目的についてもきっちり描写されています。
(1ページあたりの情報量は『銀の三角』に匹敵!)

侵入者が混じっているという心理的圧迫に耐え、次々と発生する物理的な問題を処理し、十一人は試験に合格できるのか?
SF好きなら必読、そうでなくても、絵に抵抗がなければ読んでおくべき珠玉の名品です――つーか読め!(笑)
試験後の彼らを描いた『続・11人いる! 東の地平 西の永遠』、『スペース ストリート』も収録されてますが……前者は××と×××のハネムーン、後者はショートコメディなので、『11人いる!』ほどの衝撃はないかな……。



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素直に訳すと意味が違ってくるような気が……

2006-09-26 18:15:40 | マンガ(少女漫画)
さて、週に一度は漫画を紹介してるなぁ、な第665回は、

タイトル:ナイトメア☆チルドレン(全五巻)
著者:藤野もやむ
出版社:スクウェア・エニックス ガンガンWINGコミックス

であります。

かなーり前に紹介した藤野もやむの描くダーク・ファンタジー。
例のお家騒動の時期に完結してますが、影響を喰らわなかったのか、割と綺麗に終わっています。



ある日を境に、クレームドゥ=カカオの姉コルクは外界との接触を断った。
まだ八歳で甘えたい盛りのカカオは、姉を治してもらうため、何でも屋のベルスタシオ=イヴルの元を訪れる。

かなりの額の報酬を提示したにも関わらず、なぜかイヴルは依頼を断った。
納得がいかない彼女は、依頼を引き受けてくれるまで彼の小屋に居座ることを決意するのだが――。



舞台は近世ヨーロッパ――っぽい世界。
この世界には二種類のナイトメアと呼ばれる存在がいます。
片方は、その名の通り、人を夢の中に閉じこめてしまう夢魔。
もう片方は、邪眼を持ち、超常能力を行使する人間です。

夢魔は皆、同じ顔の子供の姿をしています。
幽霊のように実体が希薄で、自分の姿を変え、人の心の隙に付けいることができます。
彼らが人を夢の中に閉じこめてしまう理由は解っていません。

邪眼を持つ人々は、超常能力を除けば常人と何ら変わりがありません。
しかし、その力で他人を傷つけることも可能なため、周囲の目は冷たい。
場合によっては、彼らは夢魔と同等かそれ以下の扱いを受け、狩りの対象となります。

イヴルの裏の顔は、銃で夢魔を退治するハンターでした。
撃たれた夢魔は霧のように拡散し、取り憑かれていた人は夢から解放される。
明るく優しいカカオは、イヴルを正義の味方だと信じ、彼になつきます。
このまま妖怪バスターを続ければ、単なるヒーロー物で終わってしまうのですが――。

さすが、可愛らしい絵柄に反して、結構ダークな藤野もやむ。
そんな甘ったるい展開は許しません。

ある時、イヴルはカカオの目の前で邪眼を持つ子供を殺害します。
彼は依頼さえあればどちらのナイトメアでも殺す始末屋だったのです。
頭を撃ち抜かれ血溜まりの中に沈む子供を見て、呆然とするカカオ。
かなりえげつないシーンです。(賛辞)
(イヴルのシメの台詞が妙にズレてる感じがしましたが……ま、置いときましょう)

すったもんだの末、二人はコンビを継続するのですが……そこらへんは本編で。
基本は、カカオの天然っぷりが次第にイヴルの心を溶かしていくという展開。
ただ、これも悲劇的なラストの伏線で――って、これ以上は言っちゃまずいな。

とにかく謎が多いストーリーも魅力的でした。
イヴルの目的とか、コルク昏睡の経緯とか、ナイトメアの秘密とか、カカオ出生の……。(以下略)
これだけ謎が多いと空中分解しやすくなるのですが、おおむね回収されてます。
説明不足な部分もあるけど、想像で補える範囲内なので問題ありません。

絵は前作より安定してるし、雰囲気はいいし、程良く毒も含んでるしとかなりの良作です。オススメ。
ハッピーエンドとは言い難いオチは好みが分かれるかも知れませんが、私はかなり綺麗な終わり方だと思ってます。
『ぷりんせす☆ぶらいど☆すとーりー』という外伝もあります。こちらもどうぞ。



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いくらなんでも若すぎ

2006-09-18 23:28:52 | マンガ(少女漫画)
さて、ようやく発見した第657回は、

タイトル:モーツァルトは子守唄を歌わない(全四巻)
原作:森雅裕  漫画:有栖川るい
出版社:エニックス ステンシル・コミックス(初版:H13~14)

であります。

江戸川乱歩賞受賞作『モーツァルトは子守唄を歌わない』のコミック版。
探偵役のベートーヴェンが、モーツァルトの死にまつわる謎を探っていくというミステリです。
出荷数が少ないのかどこの本屋に行っても見つからず、つい先日、ようやく全巻揃えることができました。



モーツァルトの死から18年が過ぎた1809年某日。
楽譜屋に立ち寄ったベートーヴェンは、店の主人トレークと謎の少女シレーネの口論に巻き込まれた。

原因は、トレークがシレーネの父ベルンハルト・フリースの曲をモーツァルト名義で出版したことにあった。
無名の作曲家の曲を売れ筋の名前で出版するようなことはどこの楽譜屋でもやっているが、シレーネにとってそれは特別な思い入れのある曲だったのだ。
怒りを爆発させたシレーネが店を飛び出していった後、トレークは、彼女がモーツァルトの隠し子だという噂を口にする。

店の外でシレーネに捕まってしまい、嫌々ながらベートーヴェンは彼女の差し出した件の楽譜に目を通す。
それは何の変哲もない子守唄だったが、所々に奇妙な箇所があり、モーツァルトの作でないことは明白だった。
トレークにとって、この曲がフリースの名で出されるのは都合が悪いに違いないと、シレーネは強く主張するのだが――。



いや~、面白かった。二巻まで見つけた後、半年探し続けた甲斐がありました。
原作未読なのですが、これ読む限り、恐らく乱歩賞の名に恥じない名品だったのでしょう。
主役のベートーヴェンが、とても三十九歳とは思えない美形青年に描かれてたりしますが……格好いいんで黙認しときます。(爆)

上記の粗筋以後の展開ですが――探偵役のベートーヴェン先生、シレーネの『貴方も協力して』攻撃程度では動きやがりません。
さすが、ケチで皮肉屋で自尊心の塊でおまけに年中仏頂面してるだけのことはあります。音楽とワインさえあれば、陰謀なんぞどうでもいいようです。
フリースの楽譜自体には興味を示したものの、それを持ってきたシレーネにはつれない態度。女嫌いというのもあるのでしょうが……ヒロインはもっと大切にした方がいいぞ。(笑)

そこで登場するのがベートーヴェンの弟子チェルニー君。
可愛い容姿と無邪気な笑顔でろくでもない性格を隠し、師匠を超える毒舌と抜群の行動力で世を渡る彼は、あの手この手でベートーヴェンを挑発したあげく、まんまと事件に介入させることに成功します。
ある時はトリックスター、ある時は漫才コンビの一人、またある時は孤高のピアニストと、属性をコロコロ変えて縦横無尽の活躍をする、素晴らしいワトソンです。恐らく一番人気。

シレーネとチェルニーに挟まれたベートーヴェンは、しぶしぶ調査を始めます。
しかし、時間とともに謎が増えるばかりで、真相は一向に見えてきません。

――宮廷楽長サリエリがモーツァルトを暗殺した噂は真実か?
――トレークが、フリースの楽譜をモーツァルト名義で出したのはサリエリの指示か?
――フリースはなぜモーツァルトの死の翌日に自殺したのか?
――彼の妻がシレーネに、フランス軍がウィーンを占領したら楽譜を出版するよう指示した理由は?
――その子守唄の中に、まるで故意に入れられたかのような不審な箇所があるのはなぜか?

等々……疑問を挙げていくとキリがありません。
いかにもミステリ好みのパーツばかりですが、『楽譜の暗号』だけは探偵達の推理を楽しむだけにした方が無難です。
ドイツ語辞典をお持ちで、かなり音楽に詳しい方でない限り、自力で解くのはまず無理だと思います。

調査の進行とともに、物語はどんどんサスペンス色が強くなっていきます。
そして最後に明かされる真相……やられました。まさか、××××××が××××××を××××××とは!(×ばかりですいません)
モーツァルトと言うと、映画『アマデウス』を思い浮かべる方も多いでしょうが、こっちの彼もいい味出してると思います。

かなり上質のミステリ漫画です。三重丸のオススメ。
漫才コンビのようなベートーヴェンとチェルニーの活躍をお楽しみ下さい。
余談ですが、まだ十二歳のシューベルトがゲスト出演したりもしてます。



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この声が聞こえますか……?

2006-09-05 23:45:14 | マンガ(少女漫画)
さて、知る人ぞ知る名作な第644回は、

タイトル:コーリング(1)(2)(3)
著者:岡野玲子
出版社:早川書房

であります。

岡野玲子が持ち味を十二分に発揮した、珠玉のファンタジー。
パトリシア・A・マキリップ作『妖女サイベルの呼び声』の漫画版です。
最後に物凄い暴走っぷりを見せた『陰陽師』と違い、こちらは原作にかなり忠実――らしい。(実は未読)



オガムとレアランの娘・サイベルは、知恵深き獣達と数多の書物に囲まれ、エルド山の館でひっそりと暮らしていた。
彼女は漠然と、父や祖父が持っていたものを凌ぐ何かを求め、エルドウォルドで唯一の女王を背に乗せて飛んだとされる伝説の鳥・白色のライラレンを呼び続ける。
だが、サイベルの呼び声はライラレンには届かず、さらに、突然の訪問者が瞑想を妨げる。門の前に立っていたのは赤子を抱いた騎士――名をサールのコーレンと言った。

コーレンは、自分が連れてきた赤子がサイベルの甥であることを告げ、引き取って育てて欲しいと頼む。
世俗との関わりを嫌うサイベルと自分の立場を主張するコーレンは激しく言い争うが、最終的にその赤子・タムローンはエルドの館の住人となり、十二年の時が過ぎた。

再び、コーレンはやって来た。
自分が王族の血を引いていることを知らぬタムを、殺戮と謀略の世界へと誘うために。
タムを愛するようになっていたサイベルは、否応なしに彼を巡る争いに巻き込まれていく――。



岡野玲子の最高傑作です、私の中では。
中世ヨーロッパ風の世界を舞台に、氷の心の女と呼ばれる魔女サイベルが、愛、恐怖、憎悪、喜びを知り、聖別された卵の殻を破って世界に飛び出していくまでを描いた重厚なファンタジー。
白を基調にした絵が物語に絶妙にマッチしており、キャラクター、景色、シーン、どれもがとにかく美しい! 原作未読なので本来の雰囲気をちゃんと伝えているかは不明ですが、これはこれでありでしょう。

基本はサイベルの成長物語ですが、その構成要素は多彩。
コーレンとのロマンス、タムとの生活と別れ、猪・サイリンとの知恵問答、魔女メルガとの友情、魔術師ミスランとの対決、タムの父・グリードへの復讐等々、これでもかと言うぐらいエピソードを詰め込んでいます。
これに加え、サイベル以外のキャラクターの心理を描くサブエピソードや、大河ドラマのような王位を巡る戦闘を入れ、一つの物語としてまとめ上げているのは本当に凄い。
(って、これは原作を褒めるべきなんだろうが)

随所で語られる伝説、その演じ手として登場する知恵の獣等、ファンタジー世界が生き生きと描かれているのも魅力。
特に、謎の番人たる猪・サイリンのキャラの出来は素晴らしく、彼が喋るだけで一気にテンションが上がりました。

「謎かけ師はある日、己れの謎を解く鍵を失くした。が、鍵は己れの心の中で見つかった」

って、あんた格好良すぎ。(笑)

実に贅沢な物語です。三重丸のオススメ。
原作も読んでみたいけど、見つかるかなぁ……。



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借りいぼ

2006-09-03 17:26:17 | マンガ(少女漫画)
さて、借りるとさぶいぼなのさの第642回は、

タイトル:星の瞳のシルエット(単行本全10巻、文庫全6巻)
著者:柊あおい
出版社:集英社 りぼんマスコットコミックス、集英社文庫(単行本初版:S61、文庫初版:H11)

であります。

中学生の沢渡香澄は、幼いころに出会った男の子からもらった「星のかけら」を大切にしている内向的で、ややぼけたところのある女の子で、そんな昔の思い出を大切にしながら、親友の森下真理子、泉沙樹らとともに中学生生活を送っていた。
あるとき、真理子が好きだと言う弓道部の久住智史を、部活中に見た香澄は惹かれてしまう。

しかし、親友の真理子を思うあまり、そのことを隠し続けようとするが、幼いころに「星のかけら」をくれたと言う少年のメッセージが、いつも聞いているラジオから流れ……。

いちおう、途中まで読んだことが……たぶん、○○年以上も前にあり、懐かしさのあまり、貸してもらったのだが……。

やっぱ、古っ!(笑)

ストーリーは、香澄と久住の紆余曲折を経て辿り着くハッピーエンドが基本で、もうひとつは香澄と真理子の友情を描く部分が大部分を占めている。
この他、いちおうメインで語られるのは、沙樹と幼馴染みの少年白石司の話で、三者三様の恋愛の姿が描かれている。

しかし……、ホントにマジで時代を感じるよなぁ。
文庫版1巻の途中で、ヒロイン3人組がお茶会をしている場面があるが、真理子が出してきたのはレコード……。
香澄がいつも聞いているラジオはカセットデッキ一体型……。

……いや、見るとこ間違ってるのはわかってんだけどね(笑)

さておき、評価をしなければならないので、その評価だが、まぁ、りぼんと言う雑誌らしいストーリー展開とハッピーエンドではあるだろう。
メインで語られる香澄、久住のふたりはおそらく、読者層の関係もあるだろうが、連載当時、人気がかなりあったのはわかるような気がする。
ふたりを中心にした周囲の恋愛部分も、ヒロイン側のみでなく、司も絡み、多重関係を作っている。
そうした多数の恋愛感情の絡み合いから、エピソードごとの山と谷……ひとつのエピソードが終わったあとの下降線を再び戻すあたりは、作り方がわかっているひとの作品だと思わせる。

ただ、後半からラストに至るまでの展開がねぇ……。
ラストの大団円のために真理子、沙樹ともにとりあえず決着しとけ、と言う感触が拭えない。
途中、そのためのエピソードがないわけではないが、そうした真理子、沙樹のストーリーを見るかぎり、香澄並にとは言わないまでも、もういくつかのエピソードを追加してやったほうが全体として、3人分のストーリーに均衡が取れて、ボリュームも増してよくなるのではないかと思われる。

まぁ、いまさらだからどうしようもないが、懐かしさも相俟ってけっこう楽しく読ませてもらったなぁ(笑)
おそらく、突っ込みどころや笑えるところは多々あるのはあるんだが、その辺を言い出すとキリがないのでやめておこう。
あえて言うなら、「そんなヤツぁいねぇ!」に決まりだろうが(爆)

それにしても、ヒロイン3人組が高校生になってから登場する吉祥寺啓子、通称おケイと言う香澄の友人になる女の子がいるんだが、この子のピエロさが哀愁を誘って、キャラ的にはいちばん好きだったりして(笑)



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マイナー好き?

2006-07-22 18:42:05 | マンガ(少女漫画)
さて、趣味ですの第599回は、

タイトル:みらい渾天儀
著者:天原ふおん
出版社:白泉社花とゆめコミックス

であります。

高校生になった未来はある朝に、アルバイトをするしないで両親と言い合いになったまま、登校する。
その途中、交通事故に遭ってしまう。

次に目が覚めたとき、未来が寝かされていたベッドで出会った少年ヤトは、未来にその巨躯を横たえ、死んでいる竜の姿を見せつけ、自らも小さな竜となって去っていく。
未来が目覚めたのは、実際に生きていた現代から400年後の地球で、交通事故で植物状態だったところをヤトの母竜アイラの心臓を移植することで未来は目覚めることができた、と言うことだった。

一度滅びかけた人類にとって、竜は神の使いで、その心臓によって生き返った未来は半神半人の竜人として崇められる存在に。
しかし、目が覚めるまでは高校生になってしばらくしただけの未来に、突然竜人としての生活がこなせるわけもなく……。

そんな戸惑いと混乱の中でアイラの子であるヤトや、おなじ竜人の湖影、レキ、そして他国のテュールと言った仲間たちとともに、未来は竜人として400年後の世界で生きることを決意する。

えーっと、ちょっとばかしファンタジックな要素の入った著者相変わらずの作品で、舞台はいちおう400年後の地球ということにはなっているけれど、SFとはまず言えないだろうねぇ。
竜も宇宙生物という説明がちょろっとあるが、まぁ、その辺を深く追求してはいけないのは、いつものこと(笑)

さて、ストーリーとしては4話完結の短編連作。
第1話は未来が目覚めてからヤトと理解を深めるまで。
第2話は竜人とのしての初めての大きな舞台でのエピソードを中心に、ラブコメ要素の要となるテュールの登場編。
第3話は辺境への視察と言うエピソードの中でテュールとの絡みが中心。
完結編の第4話はヤトの父の白竜が登場し、現代へ戻れると言う選択肢を示し、そうした中から未来が400年後の世界で竜人として生きる決意を固めるまでのお話。

まぁ、人外の存在が出てくるくらいでお約束満載のマンガではあるんだが、なんか知らないけど、このひとのマンガは好きなんだよねぇ。
すでに10冊以上の単行本を出しているが、基本的に主人公を始め、キャラの顔はぜんぜん変わらない(=描き分けが出来ない)し、ストーリー展開はほぼ共通。
主人公の女の子はとんでもない事態に巻き込まれることが多々あり、それぞれにいろんな悩みをいろんな相手やエピソードの中で克服するのだが、絵柄のせいか、それもどこか柔らかい雰囲気の中にあって、そう深刻な感じがしないんだよね。
……ってなんかぜんぜん褒めてないな、好きな割には……(笑)

ま、まぁ、基本線はお約束で安心できるし、なんとな~くほっと出来る雰囲気のある作品を多数出してくれるひとなので、個人的にはほんとうに好きなのよっ(笑)
オススメ出来るかどうかと言う意味では、微妙なところではあるんだけどね。



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生徒数いくつ?

2006-07-02 17:25:38 | マンガ(少女漫画)
さて、いちおうホラーなんだけどの第579回は、

タイトル:すっくと狐(文庫版全7巻)
著者:吉川うたた
出版社:朝日ソノラマコミック文庫

であります。

主人公の実花が通う高校で1年生がプールで水死すると言う事件が起きた。
事件の話をしながら親友の弓弦と帰宅する途中、校舎の拡張のために取り壊すと言う噂のある古い社に来たときに、社の神だと言う色黒の男、となうと出会う。
まだ人死にが出ると言う唱の言うとおり、またもや水死者が出て、実花は唱の言うとおりに力を貸し、水死者の原因である水の妖怪を倒す。

……と言うのが第1話で、ここから様々な妖怪を相手に実花と唱の戦いが始まる。

なーんて書いてると、なんか少年マンガみたいやなぁ。
最初のころはほんとうに様々な妖怪に好かれる(?)実花の周囲で起きる怪事件に、唱が解決すると言うスタイルが基本なのだが、「ひのえんま」(丙午)生まれとされる実花の持つ狐……天狐の力を増すと言うことなどから、次第に実花と唱の恋愛ものの色が濃くなっていく。
まぁ、文庫版だと2巻あたり(単行本では4巻くらいかな)で実花と唱はくっつくので、中盤から完結に至るまでは玄狐の嫁、と言う立場で実花はよく妖怪に付け狙われるんだけど。

あとは、唱とおなじく社に住む他の天狐たち、数珠掛じゅずかけ稲荷のかのう夜ノ森よのもり稲荷のあとう、与の姉の小刑部姫を含め、唱ひとりではどうにもならないような相手と共同戦線を張る話や、それぞれの外伝、実花の親友の弓弦の話など、ストーリーのスタイルとしてはオムニバス、もしくは数話くらいの短い連載もので構成されている。

文庫はソノラマだけど、もともとはぶんか社のホラーMコミックスから出ていたホラー系のマンガで、人死にや妖怪を倒すあたりのシーンなど、けっこう不気味でえぐく描いてはいるけれど、だからと言って怖いかと言うとさほどでもない。
少年マンガっぽいところもあるし、恋愛ものの部分はさして特徴的というわけではなくありふれた展開ではあるので、ホラー系のマンガにしては読みやすいのではないかと思う。

それにしても、実花や弓弦の通う学校は唱たちの神社、いわゆる鎮守の地の丑寅(鬼門)にあって、妖怪が山のように出て、どしどし生徒や先生が死んでたりするんだけど、よくこの学校の生徒、まじめに通ってるよなぁ。
私なら2、3回、妖怪絡みで人死にが出ると通わんぞ(笑)



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神々の黄昏

2006-06-28 23:53:01 | マンガ(少女漫画)
さて、漫画紹介するのも久々かも知れない第575回は、

タイトル:ニーベルングの指輪(
著者:あずみ椋
文庫名:角川文庫

であります。

かのワーグナーの大作『ニーベルングの指輪』のコミック版です。
この方、他の作品読んだことないのですが、少なくともこれは凄く出来が良かった。

原作、『ニーベルングの指輪』は全四部から成る壮大な歌劇です。
北欧神話や英雄伝承をモチーフにした神・人物が多数登場し、持つ物に強大な力を与えるという指輪を巡って、醜い争いを繰り広げます。
ざっと概要を説明すると――。

『序夜 ラインの黄金』……ラインの川底に輝く至宝・ラインの黄金。愛を断念した者だけが、その黄金を鍛え、世界を手にする指輪を作ることができる。ニーベルング族のアルベリッヒは、指輪を得て地下世界の王となった。それに呼応するように、天界でも問題が発生する。神々の王ヴォータンが、城を建設させる代わりに巨人族と取り交わした約束――女神フライアの引き渡し――を反故にしたのだ。神対巨人、一色触発の状況の中、炎の神ローゲは一計を案じる。

『第一夜 ワルキューレ』……ヴォータンの血を引くヴェルズング一族は戦いに敗れ、滅亡した。兄のジークムントは父とともに放浪者となり、妹のジークリンデは山賊によってフンディング家に売られる。父ヴォータンの手引きによって再会した二人は愛し合い、フンディングの元から逃れるが、二重の禁忌を犯したことで女神フリッカの怒りを買ってしまう。そしてジークムントの元に、ヴォータンと知恵の神エルダの娘ブリュンヒルデが遣わされた。

『第二夜 ジークフリート』……時が過ぎ、ジークムントとジークリンデの息子ジークフリートは逞しい青年に成長していた。育ての親であり、アルベリッヒの弟でもあるミーメにけしかけられ、彼は恐れを教えてくれるという巨竜に戦いを挑む。竜の宝物の中から例の指輪を発見したジークフリートは、殺意を抱いて迫ってきたミーメを返り討ちにし、旅に出る。彼が求めるのは、炎の中で眠るブリュンヒルデ!

『第三夜 神々の黄昏』……再び指輪が世に放たれ、呪いが世界を犯し始めた。ヴォータンはワルハラに座して終末を待ち、ジークフリートはアルベリッヒの息子ハーランの罠に落ちる。そして、誰にも止められない破局が迫ってくる。

指輪って、持ち主に力を与えるどころか、呪いの効果しか発揮してないじゃん! というツッコミは入れない方向で。(笑)
最後のカタストロフは北欧神話のラグナロクの方が好きだけど、神話伝承ごっちゃにしてワンパックにまとめたストーリーは結構好きです。
ちなみに元ネタはあるものの、各キャラクターの性格は殆どワーグナーのオリジナルです。特にヴォータン(オーディン)とローゲ(ロキ)は変わりようは凄い。

で、本書ですが、かなり忠実に原作を再現しています。
非常に長い台詞を簡略化して会話として成立させていたり、舞台を意識した構図を使うことで雰囲気を出してみたりと、漫画ならではの工夫が随所に見られるのもポイント高し。
オリジナル要素で特に気に入ったのは、トリックスターであるローゲを全体の見届け役として抜擢したことと、そのキャラクターがとにかく格好良かったこと。どう考えても作者はローゲのファンだな、こりゃ。(笑)

絵は綺麗だし、原作知らなくても充分面白いし、かなりオススメです。
内容的には少年漫画に近いので、少女漫画が苦手な男性諸氏でも楽しめるかと思います。



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