沖縄の日常

日々変わり行く沖縄と自然とつれづれなるままに

「むさし野十方抄」  土岐善麿

2010年12月27日 | 日々のこと
 

 写真は「むさし野十方抄」小冊子。作者は土岐善麿。私の大好きな本。

 大学に入りたての頃、先生の業績もお名前さえ知らない田舎者の私だった。課目選択の時、友人達が有名な人だよ取った方がいいよと教えてくれたのだった。

 土岐先生は私が大学に入った頃は、もう大分高齢で助手の方がいつも付いておられた。亡くなったのは私が卒業した昭和55年の四月であった。六月まで生きておられたら満95歳という年齢であった。
 高名な方とは知ってか知らずか、若い私達の教室はざわついて、助手の方が気をもんでいたのが思い出される。

 「むさし野十方抄」には、土岐先生が教壇や研究室、校庭で目にした情景を短歌に歌われたものである。

 折々に読み返すと、大学に入りたての何もかもが新鮮で、きらきら輝いていたあの頃が思い出されてる。
 あまり勉強しなかった後悔もあり、バイトで忙しかった日々、大学の校庭の花の四月の美しさ、秋の銀杏並木の一面の落ち葉、図書館へ向かう道に咲いていた山茶花、出会ったクラスメイトとの別れ、などが偲ばれる。
 
  小さな冊子であるが、この冊子は武蔵野女子大で学んだ私の4年間が凝縮されているようなもの。私の宝物と言える一冊である。

 

○ここに学ぶとはじめて立ちし校庭の 花の四月の初心忘するべからず

○おはようというひとことも それぞれの心のままの 朝のすがしさ

○むさし野の樹かげに語れ われにも若き日はありしなり 若き女性らよ

          「むさし野十方抄」土岐善麿 蝸牛新社刊より抜粋
コメント (1)
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