『ラン』 森絵都

2012年04月17日 19時27分01秒 | 読書
ようやく春らしい陽気が続きますね。



「9年前、家族を事故で失った環は、大学を中退し孤独な日々を送っていた。ある日、仲良くなった紺野さんからもらった自転車に導かれ、異世界に紛れ込んでしまう。そこには亡くなったはずの一家が暮らしていた。やがて事情により自転車を手放すことになった環は、家族に会いたい一心で“あちらの世界”までの道のりを自らの足で走り抜く決意をするが…。哀しみを乗り越え懸命に生きる姿を丁寧に描いた、感涙の青春ストーリー。」(BOOKデータベースより)



上の説明を読むと、何だこれ?って感じのストーリーです。
まあ、何だこれなストーリーですけどね。森絵都さんというより、有川浩さん的な感じ。

環(たまき)は内気というか、壁を作って自分から交流しないタイプの女子。
そんな環は買った自転車の調子がよくなくて自転車屋によく通うようになって、ようやく仲良くなった自転車屋の紺野さんから自転車を貰うことになる。
モナミ1号と名付けられたその自転車は、紺野さんが亡くなった息子にあげる予定で作ったものだったが、紺野さんが地元に戻るということで譲り受けることになったのだった。
環は、その自転車が気に入り、あちこちへ出かけるようになるのだが、ある日、いつものように自転車で走っていると自分の意思ではなく、勝手に自転車が走り続けるような感覚になった。
その行きつく先には、亡くなったはずの一家が暮らしていた。いわゆる天国。
その天国に行くは40キロの道のりを一度も立ち止まることなく日没から日付が変わるまでの間に走り切らなければならず、乗り物を使うことも許されない。
しかし、環は自転車に乗ってくることができた。それは亡くなった紺野さんの息子の強い思いから引きつけられてのことだった。
ある日、環は紺野さんの息子に自転車を返し、自ら40キロを走りぬく決心をするのだった。


という前半の大まかなストーリー。
これ以降は読んでください。

まあ、題材としては40キロを走る、誤解を恐れずに言えばフルマラソンなんだけど、決してスポ根的なものじゃない。そこで「風が強く吹いている」とは一線を画している。
むしろメインとしては、環と環の周りの人たちの心境と成長を描いた作品でしょうか。

森絵都さんの評価が高かったからこその、ちょっとなぁ・・・っていう感じもあります。
でもまあ読みやすい作品で、設定に馴染めれば楽しめると思います。

★★★☆☆

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