NPO法人 三千里鐵道 

NPO法人 三千里鐵道のブログです。記事下のコメントをクリックしていただくとコメント記入欄が出ます。

ある家族の風景

2009年12月31日 | 管理人のつぶやき
京都国際会館での海外コリアンシンポジウムを終えて撮った一枚。都家の人々だ。

2年前、初めての三千里鉄道新年会に出席し、見せられた一枚の写真がずーっと脳裏に残っている。チェサを終えて撮った、山のように盛り上がった都家一族の写真であった。
在日は、祖国分断から理念で対立し、やがては家族の分断、親子、兄弟、夫婦間すら亀裂が起こり出した。資産があればなおさらのこと、無くても無いなりに軋みはある。今時チェサに一族がこぞって集まる家族がどれほど残っているであろうか。この写真は、まさに在日の奇跡だ、と当時甚く感動したものだ。

あれから2年、近くでこの家族を観察しながら思いついたことがある。
過去には例に違わず親子、兄弟に軋みもあり、大声を張り上げることもあったという。だがその時を越え、今の平和があるのは、全員まじめで働き者だ。一生懸命に生きている。特に土木工学を専攻された長兄は、いつみても作業服姿で雑草をむしり、箒、雑巾であたりをきれいにしている。じーっとしていない。弟の理事長は豚、山羊の世話をしながら、コンボを運転し、従業員と一緒にコンクリートを打つ。3人の息子もそれぞれの持ち場で懸命に、はたで見ていると楽しみながら働いているようだ。

そしてこの大家族を、嬉々として支えているゴットマザーがいる。写真中央の全光子女史。ニュースレター11号に「三千里鉄道のオモニ」として紹介した。大家族のオモニが、三千里のオモニになっていると直感したので、是非光を当てたかったのだ。当人は絶対取材は厭だと断っていたが、金輪際一度だけ、お願いします、と懇願してやっと実現した。2世だが1世の面影を色濃く宿している。素朴で情に篤い。

この家族に貫かれている思想(?)は、まずは民族愛、同胞愛、人間愛だ。皆、人に優しい。そして、どうせなら一生楽しみながら過ごそうと、親父はいつも家族に「在日を楽しめ」と言う。そして何より「和而不同」の精神だ。都理事長が都羅山の枕木に記した「祖国統一 和而不同」は、彼の人生訓であり、在日として生きる哲学である。

最後に孫の観察記
前列右のチマチョゴリの女の子。当日会場中庭の水辺を歩いていると、白鳥が寄ってきた。また歩くと、また寄ってきた。翌日ホテルで普段着に着せかえられ、大粒の涙をためていた。チマチョゴリを着たい、と駄々をこねてのことだそうだ。そんな孫を、笑いながら見つめる大人たちの眼差しが、絵に描いたような幸せを物語っていた。

皆さん、この家族にあやかって、来年も幸せな一年でありますように願い、今年の締めとします。有難うございます。namsang

最新の画像もっと見る

1 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
アメリカからです! (薫孔)
2009-12-31 10:15:53
アメリカ在住の三男家族です!

いつも三千里ホームページ、拝見させて頂いています。
今回の京都国際会館でのコリアンシンポジウム、とても参加したかったです!
遠いが故に参加できない...子供達にハラボジのまた違った姿を見せてやれない...歯がゆく、悔しい思いでいっぱいです。

『いつでもまた参加できる』とアボジは言って下さいますが、それがいつになるやら...

思いだけは人より『倍』だと思っています!

返信する

コメントを投稿