6月16日、名古屋市の名進研ホールで『6.15共同宣言』13周年記念の講演集会が開かれました。講師は元韓国統一部次官の李鳳朝(イ・ボンジョ)さんです。
NPO法人・三千里鐵道が主催した集会は、大阪や横浜からの参加者も含め、約90名の同胞と日本市民が集まる盛況でした。
講演のタイトルは『南北新体制の現状と展望』。直前に予定されていた南北の当局会談が中止されたこともあって、参加者は講師の明快な解説と分析に耳を傾けました。
以下の内容は講演の要旨を整理したものです。
講師は先ず、北の金正恩体制が「先軍」政治から「先民」政治への転換を模索しており、これは党と国家の主な関心が政治から経済へ移動している状況の反映だと解説しました。
そして、昨年末から今年初にかけての長距離ロケット発射と核実験は、国際社会を圧迫し対米交渉の突破口を開くことが目的だったと分析しています。
次に、南の朴槿恵政府が登場して100日が過ぎた現段階で、その間の対北政策は、戦略的というよりも感情的かつ即興的な側面が強いと分析しました。
朴槿恵政府が掲げる「韓半島信頼プロセス」が北に対して説得力を持つには、言葉よりも具体的な行動が必要だと述べ、南北対話の実現に向け、長期的・戦略的・包括的な視点で「韓半島信頼プロセス」の内容と方向を再定立すべきだと主張しています。
講師はまた、南北の周辺国家(米・日・中・ロ)もすべて指導者が交替した東北アジアの現状に鑑み、今後の朝鮮半島情勢は南北や米朝などの二国間対話だけでなく、四者(南北米中)会談や六者(南北米中日ロ)会談など、多様な対話フレームを活用する中で変動すると展望しました。
だからこそ朝鮮半島問題の主導権を周辺国に渡してはならず、そのためにも、南北対話の再開と合意事項の誠実な履行が緊要であると強調しました。
質疑応答を含め三時間に及んだ集会は、南北の両当局に宛てた決議文を採択して終了しました。決議文の全文を以下に紹介します。 (JHK)
今から13年前、南北の両首脳は平壌で『6.15共同宣言』に署名しました。不信と対決から和解と協力への転換を謳った『6.15共同宣言』は、南北海外の同胞だけでなく、平和を愛する世界の人々からも熱い支持と賛同を得ました。
私たちは今日、祖国の地で高まる軍事緊張を緩和し平和統一への道を切り開くために、ここ名古屋の地で『6.15共同宣言』13周年記念集会を開催しました。
集会を主催した「三千里鐵道」は、『6.15共同宣言』を支持する在日同胞と日本市民によって2001年6月に発足したNPO法人です。
「三千里鐵道」はその間、南北の鐵道連結や北側地域の緑化事業に取り組んできました。
2007年5月に試運転が行われた京義線の再連結にあたり、「三千里鐵道」は非武装地帯区間のレール敷設資金を南北双方に提供することで、一定の寄与を果たしてきたと自負するものです。
7月27日、わが民族は『6.25朝鮮戦争』の停戦から60周年を迎えます。すべての同胞が、一日も早い戦争の集結と恒久的な平和を願っていることでしょう。
しかし、平和の『6.15』ではなく戦争の『6.25』が祖国の地を覆いつつある現状に、集会に参加した私たちは悲痛な心情を禁じ得ません。
南北の政府当局に、相互の批難と中傷を即刻中断し、誠意を持って政府間対話を再開するよう訴えます。そして、民間次元での交流・往来を保障し、その実現にあらゆる協力と支援を惜しまないよう要請します。
「三千里鐵道」は今年、南北の和解・協力事業の一環として、在日同胞が誇る民族画家、呉炳学先生のピョンヤン個展開催を企画しています。
1924年に平安南道順川で生まれた画伯は42年に渡日し、この地で民族的な情緒が息づく数多くの作品を描きました。今年卒寿を迎えた画伯の夢は「ピョンヤンとソウルで念願の個展を持ち、母国の同胞たちと喜びを分かち合うこと」と語っています。
幸いにしてソウル個展は2006年9月、三千里鐵道の主催で実現し、画伯の作品はソウル市民に深い感動を与えました。それから7年を経た今、南北関係は極度に悪化し、開城工業団地すら存亡の危機にあります。
だからこそ私たちは『6.15共同宣言』を蘇生させる事業として、「呉炳学画伯のピョンヤン個展」を実現させたいと思うのです。平壌市民にもぜひ、画伯の作品からわが民族の力強い息吹を体感してほしいのです。
残念ながら、日朝関係の現状では、日本からピョンヤンに直接作品を運ぶことは不可能です。まずソウルに輸送し、軍事境界線を越えてピョンヤンに運ぶしかないのです。南北両政府の協力なくして、画伯の作品をピョンヤン市民が鑑賞することはできません。
「三千里鐵道」が南北を往来できるよう、そして画伯のピョンヤン個展が開催できるよう、南北両政府の全面的な協力と支援を切に願う次第です。
NPO法人・三千里鐵道が主催した集会は、大阪や横浜からの参加者も含め、約90名の同胞と日本市民が集まる盛況でした。
講演のタイトルは『南北新体制の現状と展望』。直前に予定されていた南北の当局会談が中止されたこともあって、参加者は講師の明快な解説と分析に耳を傾けました。
以下の内容は講演の要旨を整理したものです。
講師は先ず、北の金正恩体制が「先軍」政治から「先民」政治への転換を模索しており、これは党と国家の主な関心が政治から経済へ移動している状況の反映だと解説しました。
そして、昨年末から今年初にかけての長距離ロケット発射と核実験は、国際社会を圧迫し対米交渉の突破口を開くことが目的だったと分析しています。
次に、南の朴槿恵政府が登場して100日が過ぎた現段階で、その間の対北政策は、戦略的というよりも感情的かつ即興的な側面が強いと分析しました。
朴槿恵政府が掲げる「韓半島信頼プロセス」が北に対して説得力を持つには、言葉よりも具体的な行動が必要だと述べ、南北対話の実現に向け、長期的・戦略的・包括的な視点で「韓半島信頼プロセス」の内容と方向を再定立すべきだと主張しています。
講師はまた、南北の周辺国家(米・日・中・ロ)もすべて指導者が交替した東北アジアの現状に鑑み、今後の朝鮮半島情勢は南北や米朝などの二国間対話だけでなく、四者(南北米中)会談や六者(南北米中日ロ)会談など、多様な対話フレームを活用する中で変動すると展望しました。
だからこそ朝鮮半島問題の主導権を周辺国に渡してはならず、そのためにも、南北対話の再開と合意事項の誠実な履行が緊要であると強調しました。
質疑応答を含め三時間に及んだ集会は、南北の両当局に宛てた決議文を採択して終了しました。決議文の全文を以下に紹介します。 (JHK)
『6.15共同宣言』13周年記念集会の決議文
今から13年前、南北の両首脳は平壌で『6.15共同宣言』に署名しました。不信と対決から和解と協力への転換を謳った『6.15共同宣言』は、南北海外の同胞だけでなく、平和を愛する世界の人々からも熱い支持と賛同を得ました。
私たちは今日、祖国の地で高まる軍事緊張を緩和し平和統一への道を切り開くために、ここ名古屋の地で『6.15共同宣言』13周年記念集会を開催しました。
集会を主催した「三千里鐵道」は、『6.15共同宣言』を支持する在日同胞と日本市民によって2001年6月に発足したNPO法人です。
「三千里鐵道」はその間、南北の鐵道連結や北側地域の緑化事業に取り組んできました。
2007年5月に試運転が行われた京義線の再連結にあたり、「三千里鐵道」は非武装地帯区間のレール敷設資金を南北双方に提供することで、一定の寄与を果たしてきたと自負するものです。
7月27日、わが民族は『6.25朝鮮戦争』の停戦から60周年を迎えます。すべての同胞が、一日も早い戦争の集結と恒久的な平和を願っていることでしょう。
しかし、平和の『6.15』ではなく戦争の『6.25』が祖国の地を覆いつつある現状に、集会に参加した私たちは悲痛な心情を禁じ得ません。
南北の政府当局に、相互の批難と中傷を即刻中断し、誠意を持って政府間対話を再開するよう訴えます。そして、民間次元での交流・往来を保障し、その実現にあらゆる協力と支援を惜しまないよう要請します。
「三千里鐵道」は今年、南北の和解・協力事業の一環として、在日同胞が誇る民族画家、呉炳学先生のピョンヤン個展開催を企画しています。
1924年に平安南道順川で生まれた画伯は42年に渡日し、この地で民族的な情緒が息づく数多くの作品を描きました。今年卒寿を迎えた画伯の夢は「ピョンヤンとソウルで念願の個展を持ち、母国の同胞たちと喜びを分かち合うこと」と語っています。
幸いにしてソウル個展は2006年9月、三千里鐵道の主催で実現し、画伯の作品はソウル市民に深い感動を与えました。それから7年を経た今、南北関係は極度に悪化し、開城工業団地すら存亡の危機にあります。
だからこそ私たちは『6.15共同宣言』を蘇生させる事業として、「呉炳学画伯のピョンヤン個展」を実現させたいと思うのです。平壌市民にもぜひ、画伯の作品からわが民族の力強い息吹を体感してほしいのです。
残念ながら、日朝関係の現状では、日本からピョンヤンに直接作品を運ぶことは不可能です。まずソウルに輸送し、軍事境界線を越えてピョンヤンに運ぶしかないのです。南北両政府の協力なくして、画伯の作品をピョンヤン市民が鑑賞することはできません。
「三千里鐵道」が南北を往来できるよう、そして画伯のピョンヤン個展が開催できるよう、南北両政府の全面的な協力と支援を切に願う次第です。
2013年6月16日 『6.15共同宣言』13周年記念集会 参加者一同
NPO法人・三千里鐵道
NPO法人・三千里鐵道
海外同胞に対しは、画一的な国内法の適応をやめ、その目的によっては特例をもうけ、朝鮮半島の平和と統一を阻害しないのであれば、非武装地帯の往来を承認願いたい。
特に呉炳学画伯は卒寿を迎え、ピョンヤン在住の愛娘との再会の機会もあまり多くない。
「朝鮮籍」のまま、画伯のソウル個展も成功した事実もあるのだから、ピョンヤン個展の開催も夢ではない。
南北両政府に対し、格段の対応をお願いしたい。