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アン・チョルスの‘財産還元’Eメール全文

2011年11月17日 | 南域内情勢

★日本で孫正義が、日本経団連の大枠原発容認・推進に関する政府提言決議に、噛み付いた。少なくても原発反対を唱える経団連メンバーがいたことを議事録に残せと、気を吐いた。

同じIT界の韓国での巨人アン・チョルスが、1500億ウォンを社会に寄付し、その件で社員向けに発したメールが、今韓国でホットな話題になっている。

今韓国で彼の発する言葉は、とてつもない波及力を持って、人々の心を動かしている。

成功の頂点に達した感のある彼が、若者たちに勇気を与えたいと始めた青春コンサート。2年間全国各地を回りながら語りかけた「コトバのチカラ」が、今韓国の若者たちのハートを鷲づかみにしているようだ。

青春コンサートは今、キム・ジェドンなどが引き継いで各地で行われている。 

韓国の今は、DJが数万、数十万の民衆を前に演説し熱狂させた時と、相当様変わりしているようだ。 

49歳、アン・チョルスの社員向けに送った以下のコトバを味わってみよう。 N

 

                                         アン・チョルスの‘財産の社会還元’Eメール(全文)

 

                                          ー共に希望を抱き生きていく社会を夢見てー

 

アン・チョルス研究所の皆さん、こんにちは。

私は今日永らく胸に抱いていた小さな決心を実践に移そうと思っています。 それはナヌム(分かち合いー訳者注)に関することです。

私はこれまで、医師と企業家、そして教授の道を歩いてきながら、私たちの社会と共同体から過分な恩恵と激励を受けきたし、その結果いつも挑戦するときめきと成就の喜びを抱いて生きてくることができました。

この過程で私は、一つの想いを忘れず大切に抱いてきました。 それは、私が成し遂げた全てのものは、私だけのものではないという点です。

私は企業を経営しながら、“魂のある企業”を作ろうと努めてきました。
企業の存在には金を儲けること以上に崇高な意味があり、ここには構成員一人一人の自我実現はもちろん共に生きてゆく社会に寄与する存在にならなければならないという、より大きな次元の価値も含まれていると信じてきました。

そしてその価値を実践しなければならない時がきたと考えます。
戦争の廃虚と分断の痛みをのり越え類例のない成長と発展を成し遂げてきた私たちの社会は、今大きな試練を経ています。 元気な中産層の人生が崩れ、特に夢とビジョンを持ってより明るい未来を夢見なければならない若い世代が、挫折し失意に陥っています。

私は去る10余年の間、皆さんと同じ元気で覇気あふれる若者たちと、現場で同僚として共に仕事をしてきましたし、学校で教師と弟子としても会いました。その過程で私は、理想とビジョンを掲げたし、苦悩と涙も見てきました。

しかし今日私たちが体験している試練は、国家社会が一挙に解決することのできないものと考えます。

だとすれば国家と公的領域の悩みだけに委ねるのでなく、私たち自らもそれぞれの立ち位置で何をすべきかを悩むことが重要ではないだろうかと思います。

特に社会において相対的に多くの恩恵を受けている立場から、先頭に立って共同体のために貢献するいわゆる‘noblesse oblige(指導層が持つ道徳的義務)’が必要な時ではないかと思うに至りました。

失意と挫折に彷徨う若者たちに向かった真心に充ちた慰労も必要ですし、対策を議論することも重要ですが、共同体の共生のために小さな実践をすることこそ、今この時点で最も切実に要求される徳性だと考えるからです。
“いつかは一緒になくなる同時代の人々ともう少し意味のある元気な価値を守りながら生き、やがて‘宇宙の彼方に彷徨うホコリ’に帰ることが人間の生だと考える。”と、 10余年前私が本に書いた話をまた思い出します。

まず私は、私の持つアン研究所の株の反分程度を、社会のために使うつもりです。

具体的にどんな手続きを踏んだ方が良いのか、また、どのように使われることが最も意味あることなのかは、多くの方々の意見を謙虚に聞いて決めるだろうが、私としては低所得層の子供らの教育のために使われればと思っています。

今日私たちの社会が抱いている数多くの問題の核心の一つは、価値の混乱と資源の偏った配分であり、その根本には教育が位置していると考えるためです。

自身の処した社会的、経済的不平等により機会を保証されることなく、思う存分才能を育てていくことのできない低所得層の青少年らに、夢と希望を与えることに使われれば良いと考えます。

これは かなり以前から考えてきたのを実践することであり、他の目的からではないことを申し添えます。

ただ一つ希望があるとすれば、今日の私の小さい考えが呼び水となり、私と志を同じくして下さる何人かの友人らのように、多くの方々の参同があれば幸いに思います。
志のある皆さんの、多くの関心と参与を期待する次第です。

                                                                          ありがとうございます。

                                                                                    2011年11月14日

                                                                                           アン・チョルス拝