8月6日は原爆死没者慰霊式・平和祈念式。毎年この日が来ると昭和21年の夏を思い出し
ます。外地からの引揚者で、郊外の遠い親戚に身を寄せていた私は、所要で市内電車に乗って
宇品から紙屋町へと向かっていた。原子爆弾が投下されるまでは、市内で一番の繁華街であっ
たと言われた中島町が、赤茶けた原子砂漠となって西広島の己斐町まで一望でき、なんとも言
えない硝煙の香りを嗅いだことを昨日のように思い出す。
その砂漠の中に平和記念公園が開園されたのが昭和29年(1954)4月。昭和27年に
は広島を離れていた私は、8月6日の慰霊式をテレビで見ていたわけです。何度も平和公園を
訪れましたが、あのドームをみると66年前の夏を思い出すのです。