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『君がいる幸せ』 四章「心のままに」四話 「道なき道へ」三(全三話)

2011-11-27 03:00:18 | 『君がいる幸せ』本編四章「心のままに」
☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
 <用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)

   『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)四話

   Epilogue Bridge「道なき道へ」三(全三話)
※この章は流血もBLもあります。時間も飛びます。ご注意を!

  Metis Bilrost
 改築中のビルレストの玄関口から地下へ降り、格納庫へ向かった。
 そこには垂直上昇も出来る小型のシャトルがあった。
 地下の格納庫から中庭を開放して発進する事や、宇宙港のドッグへの移動も出来るようになっていた。
「これを使ってくれ」
「これを?僕が?」
「さっき能力は使うなと言った。それではお前は動けない」
 あぁ、そういう事か。
「空を飛んだりしてはいけないと言う事だね」
「外宇宙へも行けるだけの推進力もある。これならある程度の惑星間も行けるだろう」
「中を見ていい?僕は小型艇しか飛ばせられないんだ」
 ジョミーはシャトルに乗り込んだ。
 やがて戻ってくると、
「ステルスデバイスを付けたい」と言った。
「お前の自由にしたらいい」
 僕は早速、ミュウの技術屋のおやえさんを呼んだ。シャトルを僕一人でも操縦出来るようにとミュウの能力の補助を入れ外部からの操作・追尾装置・ステルス機能を搭載させた。
 そして、僕は人類の武器が扱えるように訓練を受けた。
 僕は普段は右利きだったせいか、ミュウの力では左を使うのが多かった。なので銃は左右どちらでも使えるように訓練した。
 銃だけでなく剣などの武器の訓練も受けた。
 それと同じように身体を使う戦闘も習った。
 その他、人類が使うネットワーク用の端末も扱えるようになった。
 もともと人類の船を改造して作られたシャングリラで暮らしていたのだからそう違いはないだろうと思っていたが、一度枝分かれするとここまで違ってしまうのかと思える程違っていた。
 人類が機械に頼り過ぎだと子供の頃に思った事があったが、ミュウも能力に頼り過ぎている事がはっきりわかった。
 この二種は違いが有り過ぎる。
 僕らの能力はその架け橋になれるはずなのに…僕達はその方法が未だ見出せないでいた。
 そして、やがて一ヶ月が過ぎ、ビルレストの改修が終わる頃には、シャトルも訓練飛行に入った。
 キースは車椅子を使わなくなり、僕は彼の部下達と普通に話が出来るようになった。

 キースが完全復帰をする事となった時、僕に新しい名前(コードネーム)が付いた。
「ジュピター」
 人類の圏内であればどこであっても、その統治権を使える資格と軍部への指示すら出来るという高位で特別なものだった。
「それくらいは必要だろう?」
 これは今のキースの持つ権限より高かった。
 こんな物をよく了承させたなと彼の手腕の高さに僕は彼への認識を変えなくてはならなかった。
 だが、彼はこの後、二年余りでまた人類の全権を掌握するのだからあれも当然なものだったのかもしれない。
 やがて、再び、活動を始めたキースについて惑星を回る外交に行く時は髪を栗色に瞳を青にする事にしていた。
 僕はキースを中心にしてサーチしてシールドを貼っているので彼にぴったり張り付く必要はなかったから、その為、変装する事にあまり意味はなかったが、子供のような容姿の僕ではと少し気になってはいた。僕は自分の年齢を少しづつ上げてゆく事にした。
 キースは僕に能力を封印するようにと言ったが、それは出来るだけ僕が「ソルジャー・シン」だと知られないようにと言う意味だった。
 そして、人類が探し続ける最後のメギドは見つからず、不穏な空気を残したまま、一年が過ぎようとしていた時、惑星ネメシスである事件が起きた。

「ミュウがいる」
 僕は集まった群集の中にミュウがいる事に気が付いた。
 キースのカリスマ性はまだ人類の中から消えておらずどこに行っても人が集まる。
 その中にまだ未分化、覚醒前のミュウがいるのだ。
 僕は物理・サイオンシールドのレベルを上げて、僕付きの部下にその場を任せてサーチを開始した。
 スウェナの娘、レティシアを思わせるような幼い少女がミュウだった。
 未分化とは、能力が覚醒していないというだけで能力が低いというわけではない。
 知らずに使って危険な状態になってしまうよく場合もある。
 早速、彼女のIDを検索する。
 郊外で両親と暮らす十歳の少女。今ここで、彼女を確保するのならば、彼女は家族と別れる事となる。僕らは迷ってしまった。
 だが、僕が見つけたのなら彼女は確実にミュウになる。
 ミュウと人類の共生する施設や都市の計画をもっと早められないだろうか。と僕はキースとトォニィに進言した。
 「まだ早い」と二人は反対だった。
 だが、大戦からもう二年以上経つ。
 大戦後、人類の中で目覚めてしまったミュウは木星のシャングリラへと集められて来ていたが、それを全員収容しきれるものでもなくミュウ化しない者たちは帰されていたが、一度ミュウだと言われてしまった者が苦労している現実もあった。
 キースは共生都市を作ってもそこへ行く者は全てがミュウと見てしまう所がある。とその危険性を言ったが、しかし、現実としては作らなければならない危うさがあった。
 そして話が進まぬまま、僕たちは彼女の住む地域の管理センターに特に注意をするようにとだけ伝えネメシスを後にした。
 その一週間後、彼女は覚醒した。
 彼女は自分の能力への恐怖から、それを止めようとした両親に怪我を負わせた為、病院から収容施設へと送られてしまった。
 感受性の強い子だったので、その精神的ショックから動けない状態まで陥った。
 僕は何とかネメシスの大きな病院まで移送させたが、ミュウの治療はやはりシャングリラでないと完全には無理だった。
 だが、ネメシスから木星までは遠い。
 僕はネメシス、ペセトラ、アルテメシアにいるミュウを集めて彼女を助けるようにと指示を出した。
 仲間達のおかげで彼女は助かり、ミュウとして暮らす事となった。
 十才の少女が両親を怪我をさせてしまった事を忘れないでやってゆくという。
 そんな彼女の強さに後押しされる形で、僕は共生都市計画を押し進めることにした。
 たとえミュウのレッテルを貼られても生き抜ける強さ。
 それには仲間の協力がいる。

 人類にまだ受け入れる意識が生まれないなら、もうこちらから動くしかない。
 それが明日を開くと信じて僕達は進む事を決めて動き出した。
 そして僕の持つ権限を最大限に行使しし、各地に共生都市や共生施設が作られていった。
 それに合わせるようにしてミュウの惑星メサイアへの移住も決定した。
 ゆっくりと、でも確実に、ミュウと人類は道標なき道へ進む時が訪れた。




     道なき道へ 終




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