☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)二十三話
Epilogue Bridge「I guard you3」(前編)
※「君の存在」の完成版です。
☆ソルジャーズのブルーとの表記は1行目だけで、後は省いています。
それと書いていませんでしたが、クローンの方は金髪碧眼です。
この二人だと違いが目の色だけになりますね。
現在・Sumeru(メサイア襲撃から約半年)
ノアでの公式行事の後、ジョミーの部屋にソルジャーズのブルーがやって来る。
「僕といるとどうしてそうなの?」
ソルジャーズは彼ら二人一緒に行動する事が多いので、こうしてブルーと二人きりになる事は珍しかった。
「皆といる時と態度が違うよね?」
部屋のドアの前で確認するように聞いた。
スメールのジョミーの部屋は皆が集まれるように広かった。
窓際に丸テーブルの応接セットが一組と壁にカウンターがあるだけで他に家具は無かった。
ここにカナリア達が来る時は、敷き詰められているやわらかい絨毯に皆で座って話すようになっていた。
ドアの前から動かないブルーは、挑むようにじっとこっちを見ているだけだった。
公式行事後なのでミュウの幹部服のままのジョミーも、ブルーと同じようにカウンターの所から動かなかった。
「僕が怖い?」
とブルーが言う。
静かに彼を見つめるジョミー。
「ああ、怖いよ」
とジョミーが答える。
その答えにブルーは少し諦めたような顔をした。
「…どうして?ジョミーの方が強いのに!」
「君がブルーだからさ」
「……」
その言葉にブルーが怒りを露にする。
けれどその怒りを抑えてじっとジョミーを見た。
僕には彼の青い目が青みを増したように見えた。
「でも、ジョミー。僕はデータだと…」
ジョミーのいるカウンターまで進んで、目の前にソルジャー・ブルーのデータを出す。
「…ずっと弱いし、だから…怖がらないで欲しい」
横に来たブルーをじっと見てジョミーが言った。
「でもこれは君の本気じゃないでしょ?」
「違う。これが僕の…」
「君は、あの子、ソルジャーズのジョミーに合わせてくれているね」
「……あいつ、遅いから」
「優しいね。君は…」
「そうしないと、あいつは、ジョミーは生き残れなかった…。僕と違い過ぎると不良品って…処分って…なってたかもしれない…」
「彼から聞いているよ。やっぱり君は…優しい」
「…違う。僕は優しくなんかない。沢山の自分を蹴落として生き残ったんだ!そんなのは優しくなんか無い!」
「君は君が思うより…ずっと優しいと思うよ」
「優しくなんかない。だって、僕は…」
言葉を切ったブルーはジョミーを見返した。
「ブルー?」
ブルーのデータが消える。
「だって、僕は…」
ともう一度言いかけて、ブルーはまた言葉を飲み込み言い変えた。
「ジョミー。僕をどうして恐れるの?」
「それは、君がブルーだから」
その言葉にブルーはまた不機嫌になった。
ジョミーは優しくブルーを見た。
「全く、わかりやすいね。怒らないで…ブルー」
「…ジョミー?」
「僕はね、彼を、本当のブルーをよく知らないんだよ。僕がミュウになった時に、僕の所為で彼は無理をして眠りについてしまった。だから、彼の事は仲間から聞いて覚えた。戦い方も真似したし、どう考えるのだろうとかもね。いろいろ考えて僕は「ソルジャー」になった。僕が彼の事をいろいろ知っていると思われているのはその所為、でもそれは間違いなんだ。確かに、彼の近くに居られたのは僕なんだけど、僕は知らないんだ。だから…そこが君を怖いと思ってしまう所なんだよ」
「わからない。僕はジョミーが僕を怖がらないでいて欲しいだけ。僕の本体なんて…知らない!」
「だから違うんだ。ブルー。ちゃんと最後まで聞いて」
「え?…」
「僕が怖いと思うのは、君がソルジャー・ブルーと同じだと思っていないからだよ。安心して。僕は君を彼の代わりとは思ってはいないんだ」
「なんで、皆、僕をブルーの代わりだと言うのに」
「僕は彼を怖いと思った事は一度もない。いきなり目の前に現れてあんな力を使って戦ったのを見て、驚きはしたけど不思議と僕は彼を怖いとは思わなかった。きっと、出会った時から惹かれていたんだ。でも、僕は君を怖いと思う。それは、どうしてだと思う?」
「わからない。どうして?」
「さっき言ったよね。それは、君だからだよ…」
「……」
ブルーはジョミーから目をそらした。
「…ジョミーはどうして、いつも、僕が欲しい言葉を言う…んだ」
「僕も同じ経験をしていたからかな?何年経っても、ずっと比べられていたからね」
やがて、下を向いていたブルーが顔を上げた。
「ジョミー。僕が怖い?」
そう言ったブルーはさっきまでと印象が違っていた。
声のトーンも下がって、挑むような眼差しだった。
その違いにジョミーは少しうろたえ身構えた。
「怖い?」と再びブルーが聞いてくる。
ジョミーは諦めたようにため息を一つついて答えた。
「あぁ、怖い」
「どうして?」
その問いはさっきと同じ答えを求めていなかった。
「君は…彼より若くて狡猾だ…から」
すぐ隣にいるブルーが少しずつ側にくる。
対峙する形になった。
「僕は、全てを持っていかれそうに…なるんだ…」
言いながら、ブルーを睨むジョミー。
カウンターに手をかけてブルーが身を寄せてくる。
「そんなに構えないで…」
ほぼ同じ身長の二人、すぐ近くに長い睫毛の青い瞳があった。
金髪と青い目が本来の彼の姿なのだが、銀髪、紅玉の瞳の方が彼らしいと思えた。
「ジョミー」
と一言問う様に言ってから唇を合わせてきた。
されるがまま応じていると唇が離れ「目、閉じて…」と言われた。
「……」
僕は綺麗な青い瞳が閉じるさまを見ていた自分に気が付いた。。
「近くで見ると、キレイだね」
と言うと、瞳が少し寂しい色に変わった。
そして、身体を離しこう言った。
「アルビノの方が良いと思っているんだろ?」
「…僕や仲間はそうでしか知らないからね」
「お前、髪や瞳の色を変えれるんだったっけ。僕のも出来ない?」
「出来ない事はないと思うけど、そうしたいの?」
「別にしたいとは思っていない…」
「ならそのままで良いよ」
「ジョミーがそれを見たいのなら変えてもいいかと思っただけだ」
「僕はしないよ」
「……」
「君は君のままで、金髪で青い瞳がいい」
「もういい…。ジョミーはズルイ…」
ふて腐れたようにプイッと横を向くブルー。
「僕達がミュウの皆から奇異の目で見られてると、こうしてスメールに来るようにしてくれて。僕がブルーとは違うんだと思っているとブルーと違う。と言ってくれる。そして僕のままでいいと言う。ジョミーはズルイ」
「ブルー?」
「僕は…もう何も出来ない。ジョミーがそうしたいと望めば、僕は何でもするのに。辛いとか、悲しいとか、寂しいとか、愛して欲しいとか、言ってくれれば、僕は何でもするのに。ジョミーは何も言わない。それなのに、そんな僕の欲しい言葉ばかり言われて…。でも、僕からは何も出来ないのに…何もしてあげられないのに…」
「僕は君たちが、人間にもう二度と利用されないように連れてきた。だから、君たちの事ばかりを考えてた訳ではないよ。だけど、ミュウになっても君はブルーの代わりで、彼は僕の代わりでしかなかった。君たちは自分の意思で生きていいんだよ。自由なんだ。僕はそれを守る。守らせて欲しいんだ。それが僕の願い」
「ジョミーは僕達の事を好き?」
「ああ、大好きだよ」
「怖いのに?」
「怖くても…さ」
「それなら、もういいや。さっきのキスを無視された事を許すよ」
「さっきのって、挨拶程度だったじゃない…」
「だって、初めてだから…」
「教えてあげようか?」
ブルーの目が妖しく光る。
「あ、やめた」
と笑うジョミー。
「どうして?」
「僕は君を子供みたいに思っているのにと思ってさ」
「そんなルール僕らには関係ないじゃん……」
「そう…かもね…」
僕らはこの行為がお互いに間違っているのを気づいている。
それでも、この想いを埋める日は来ない事も気づいている…だから…。
今、だけでも。
せめて、今、次の朝が来るまで…。
こうして、二人でいたかった…。
「I guard you3」(後編)へつづく
<用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
軍事基地ペセトラ 人類の軍事拠点 戦後十二人の代表で議会制になる
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)二十三話
Epilogue Bridge「I guard you3」(前編)
※「君の存在」の完成版です。
☆ソルジャーズのブルーとの表記は1行目だけで、後は省いています。
それと書いていませんでしたが、クローンの方は金髪碧眼です。
この二人だと違いが目の色だけになりますね。
現在・Sumeru(メサイア襲撃から約半年)
ノアでの公式行事の後、ジョミーの部屋にソルジャーズのブルーがやって来る。
「僕といるとどうしてそうなの?」
ソルジャーズは彼ら二人一緒に行動する事が多いので、こうしてブルーと二人きりになる事は珍しかった。
「皆といる時と態度が違うよね?」
部屋のドアの前で確認するように聞いた。
スメールのジョミーの部屋は皆が集まれるように広かった。
窓際に丸テーブルの応接セットが一組と壁にカウンターがあるだけで他に家具は無かった。
ここにカナリア達が来る時は、敷き詰められているやわらかい絨毯に皆で座って話すようになっていた。
ドアの前から動かないブルーは、挑むようにじっとこっちを見ているだけだった。
公式行事後なのでミュウの幹部服のままのジョミーも、ブルーと同じようにカウンターの所から動かなかった。
「僕が怖い?」
とブルーが言う。
静かに彼を見つめるジョミー。
「ああ、怖いよ」
とジョミーが答える。
その答えにブルーは少し諦めたような顔をした。
「…どうして?ジョミーの方が強いのに!」
「君がブルーだからさ」
「……」
その言葉にブルーが怒りを露にする。
けれどその怒りを抑えてじっとジョミーを見た。
僕には彼の青い目が青みを増したように見えた。
「でも、ジョミー。僕はデータだと…」
ジョミーのいるカウンターまで進んで、目の前にソルジャー・ブルーのデータを出す。
「…ずっと弱いし、だから…怖がらないで欲しい」
横に来たブルーをじっと見てジョミーが言った。
「でもこれは君の本気じゃないでしょ?」
「違う。これが僕の…」
「君は、あの子、ソルジャーズのジョミーに合わせてくれているね」
「……あいつ、遅いから」
「優しいね。君は…」
「そうしないと、あいつは、ジョミーは生き残れなかった…。僕と違い過ぎると不良品って…処分って…なってたかもしれない…」
「彼から聞いているよ。やっぱり君は…優しい」
「…違う。僕は優しくなんかない。沢山の自分を蹴落として生き残ったんだ!そんなのは優しくなんか無い!」
「君は君が思うより…ずっと優しいと思うよ」
「優しくなんかない。だって、僕は…」
言葉を切ったブルーはジョミーを見返した。
「ブルー?」
ブルーのデータが消える。
「だって、僕は…」
ともう一度言いかけて、ブルーはまた言葉を飲み込み言い変えた。
「ジョミー。僕をどうして恐れるの?」
「それは、君がブルーだから」
その言葉にブルーはまた不機嫌になった。
ジョミーは優しくブルーを見た。
「全く、わかりやすいね。怒らないで…ブルー」
「…ジョミー?」
「僕はね、彼を、本当のブルーをよく知らないんだよ。僕がミュウになった時に、僕の所為で彼は無理をして眠りについてしまった。だから、彼の事は仲間から聞いて覚えた。戦い方も真似したし、どう考えるのだろうとかもね。いろいろ考えて僕は「ソルジャー」になった。僕が彼の事をいろいろ知っていると思われているのはその所為、でもそれは間違いなんだ。確かに、彼の近くに居られたのは僕なんだけど、僕は知らないんだ。だから…そこが君を怖いと思ってしまう所なんだよ」
「わからない。僕はジョミーが僕を怖がらないでいて欲しいだけ。僕の本体なんて…知らない!」
「だから違うんだ。ブルー。ちゃんと最後まで聞いて」
「え?…」
「僕が怖いと思うのは、君がソルジャー・ブルーと同じだと思っていないからだよ。安心して。僕は君を彼の代わりとは思ってはいないんだ」
「なんで、皆、僕をブルーの代わりだと言うのに」
「僕は彼を怖いと思った事は一度もない。いきなり目の前に現れてあんな力を使って戦ったのを見て、驚きはしたけど不思議と僕は彼を怖いとは思わなかった。きっと、出会った時から惹かれていたんだ。でも、僕は君を怖いと思う。それは、どうしてだと思う?」
「わからない。どうして?」
「さっき言ったよね。それは、君だからだよ…」
「……」
ブルーはジョミーから目をそらした。
「…ジョミーはどうして、いつも、僕が欲しい言葉を言う…んだ」
「僕も同じ経験をしていたからかな?何年経っても、ずっと比べられていたからね」
やがて、下を向いていたブルーが顔を上げた。
「ジョミー。僕が怖い?」
そう言ったブルーはさっきまでと印象が違っていた。
声のトーンも下がって、挑むような眼差しだった。
その違いにジョミーは少しうろたえ身構えた。
「怖い?」と再びブルーが聞いてくる。
ジョミーは諦めたようにため息を一つついて答えた。
「あぁ、怖い」
「どうして?」
その問いはさっきと同じ答えを求めていなかった。
「君は…彼より若くて狡猾だ…から」
すぐ隣にいるブルーが少しずつ側にくる。
対峙する形になった。
「僕は、全てを持っていかれそうに…なるんだ…」
言いながら、ブルーを睨むジョミー。
カウンターに手をかけてブルーが身を寄せてくる。
「そんなに構えないで…」
ほぼ同じ身長の二人、すぐ近くに長い睫毛の青い瞳があった。
金髪と青い目が本来の彼の姿なのだが、銀髪、紅玉の瞳の方が彼らしいと思えた。
「ジョミー」
と一言問う様に言ってから唇を合わせてきた。
されるがまま応じていると唇が離れ「目、閉じて…」と言われた。
「……」
僕は綺麗な青い瞳が閉じるさまを見ていた自分に気が付いた。。
「近くで見ると、キレイだね」
と言うと、瞳が少し寂しい色に変わった。
そして、身体を離しこう言った。
「アルビノの方が良いと思っているんだろ?」
「…僕や仲間はそうでしか知らないからね」
「お前、髪や瞳の色を変えれるんだったっけ。僕のも出来ない?」
「出来ない事はないと思うけど、そうしたいの?」
「別にしたいとは思っていない…」
「ならそのままで良いよ」
「ジョミーがそれを見たいのなら変えてもいいかと思っただけだ」
「僕はしないよ」
「……」
「君は君のままで、金髪で青い瞳がいい」
「もういい…。ジョミーはズルイ…」
ふて腐れたようにプイッと横を向くブルー。
「僕達がミュウの皆から奇異の目で見られてると、こうしてスメールに来るようにしてくれて。僕がブルーとは違うんだと思っているとブルーと違う。と言ってくれる。そして僕のままでいいと言う。ジョミーはズルイ」
「ブルー?」
「僕は…もう何も出来ない。ジョミーがそうしたいと望めば、僕は何でもするのに。辛いとか、悲しいとか、寂しいとか、愛して欲しいとか、言ってくれれば、僕は何でもするのに。ジョミーは何も言わない。それなのに、そんな僕の欲しい言葉ばかり言われて…。でも、僕からは何も出来ないのに…何もしてあげられないのに…」
「僕は君たちが、人間にもう二度と利用されないように連れてきた。だから、君たちの事ばかりを考えてた訳ではないよ。だけど、ミュウになっても君はブルーの代わりで、彼は僕の代わりでしかなかった。君たちは自分の意思で生きていいんだよ。自由なんだ。僕はそれを守る。守らせて欲しいんだ。それが僕の願い」
「ジョミーは僕達の事を好き?」
「ああ、大好きだよ」
「怖いのに?」
「怖くても…さ」
「それなら、もういいや。さっきのキスを無視された事を許すよ」
「さっきのって、挨拶程度だったじゃない…」
「だって、初めてだから…」
「教えてあげようか?」
ブルーの目が妖しく光る。
「あ、やめた」
と笑うジョミー。
「どうして?」
「僕は君を子供みたいに思っているのにと思ってさ」
「そんなルール僕らには関係ないじゃん……」
「そう…かもね…」
僕らはこの行為がお互いに間違っているのを気づいている。
それでも、この想いを埋める日は来ない事も気づいている…だから…。
今、だけでも。
せめて、今、次の朝が来るまで…。
こうして、二人でいたかった…。
「I guard you3」(後編)へつづく