☆アニメ「地球へ…」の二次小説です。
<用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)三話
Epilogue Bridge 「道なき道へ」二(全三話)
※この章は流血もBLもあります。時間も飛びます。ご注意を!
ドアを開けて部屋に入ると、大きな机の向こうにキースがいた。
もちろんまだ車椅子だったが階級章の付いた軍服をきちんと着ていた。
そして「完全復帰はまだなんだがな」と言った。
それは僕が軟禁拘束されたままなのを、何とかする為にそうしたということなのだろうか…。
「お前の申し出だが、こちらの心臓部にあたる軍にお前を所属させるわけにはいかない。だが、俺の警護をするだけならという事になった」
「…え…」
にわかには信じられなかった。
これは僕にとっても本当に意外な回答だった。
まさか人類が受け入れるとは思っていなかった。
「二週間もサイオンを一度も使ってないのには、正直俺もびっくりした。一度でも少しでも使ったら追い出すつもりだった」
「……」
「俺の警護だけとは言ってもここは軍隊だ。お前の事を知っている者、いや、恨んでる者も 多いだろう。そんな中でいいのか?」
「ああ。覚悟はしている」
「聞くまでもないか…。それで知っておきたいのは、お前の能力だ。こちらのデータではこれだが、どうなっている?」
宙に浮く電子パネルのデータをこちらに向けた。
「これは…地球へ降りる前ので、今は、僕でもよくわからない。ソルジャーのタイプブルーの力は実戦経験で上がるから、マザーを倒した今の僕は自分でも測れない…」
「そうか、では。自分の推測でいい。具体的に聞くが、ここからどこまで飛べる?」
「普通の状態で直線で上に飛ぶなら五千メーターくらい、空間移動、ワープをするなら、火星くらいまでなら…行けると思う」
「前に、星を破壊出来るか?と聞いたが、この木星クラスのは壊せるのか?」
「壊す事も、自転を止める事も出来る。星の性質にもよるけど木星タイプなら連続で三個は壊せると思う」
「データは紙くずだな…」とキースが失笑した。
「サーチ能力があると聞いたが、どこまで見えている?」
「広げれられるだけ拡げると、ここメティスはカバーできる。一点集中で視ると、火星までかな?見れないと跳べない」
「防御能力は?」
「シールドの範囲はサーチと同じくらいだと思う。攻撃された時に使うから、どこまでの硬さとは言えない」
「時間も止められるな」
「ある程度の物質なら止めれる。もしくは、自分が時間より早く動ける」
「では、試しにここでシールドを使ってもらっていいか?」
「え…ここで?」
それは簡単に見てみたいという感じではなかった。
慎重に周りを見るジョミー。
意図が読めない。
キースの目の色に変化があっただけだ。
(この男は、ミュウの扱いに長けているんだったな…)
「わかった…」
ジョミーはシールドを展開させた。
「メティス全体まで広げられるか?」
「ああ、やってみる」
ジョミーから青いオーラが出る。
キースの机にあるもう一つのパネルに、サイオンを感知したという表示が拡がってゆく。
外の警報が鳴ったが、この部屋には誰も来なかった。
彼が止めている…。
僕になにをさせる気なんだ…と思った瞬間。
直上に衛星兵器がありここを狙っている事にジョミーは気付いた。
「!」
ジョミーは、基地上空に跳んだ。
基地(ここ)を中心にしてメティス全体を覆うようにシールドを広げた。
その直後、衛星からのレーザーが放たれる。
メティスのドームの外で青い稲光が何本も走る。
衛星都市メティス全体が大きく揺れた。
「……」
攻撃用衛星が移動してゆく、二発目は撃ってこなかった。
ゆっくりとジョミーが基地に向かって降りて来る。
基地の屋上で衛星を見送っていたジョミーに、上に上がってきたキースが声をかけた。
「守れたな」
「キース。君は。メティスを木星に落とす気か!?どういうつもりだったんだ」
「その力を、これからは人間の為にも使いたいからここに来たのだろう?」
「…キース」
ジョミーはキースを睨む。
「もし、僕がシャングリラだけを守ったら、どうするつもりだった…?」
「その時は、死ぬだけだな。だが、お前はそうしないと思っていた」
「……」
とてつもなく大きな賭けに負けた気がした。
…そう思っても、彼を守るのが今の僕の生きる道だ。
「キース、僕の後ろに」
とジョミーはシールドを貼りなおした。
「……」
「ああいう事は…先に言っておいてくれないと」
ジョミーが言った時、上から光の玉が落ちてきた。
シールドをキースの回りに保持しシールドを抜けて光の玉を相殺するジョミー。
「さっきのは何?」
降りてくる声。
「誤作動みたいだよ」
「ふーん」
「トォニィ。僕が何をしても黙っていると約束したよね」
ジョミーは語気を強めた。
「今日は帰る…」
下にいるキースをひと睨みし、その服、似合わないよと言い残してトォニィが戻って行った。
「衛星より危ないかもしれない」
ジョミーがため息まじりに言った。
トォニィが去った後、キースが僕にある提案をしてきた。
それは、ミュウの力を封印した状態でいてくれないか?というものだった。
そしてキースは僕を改築中の古い建物へ案内をした。
「ここは俺が住む予定になっている所だ。ここにお前の部屋も作るといい。左右シンメトリーになっている。右半分を好きに改造しろ。ここには俺の部下も常駐する。彼らは優秀な部下達だ。俺と同じようにお前の言う事にも従うだろう。そう訓練されている」
そう、ここがそれから二年あまり暮らす事となる。
衛星都市メティスの「ビルレスト」だった。
続く
<用語>
惑星ノア 大戦時ミュウが陥落させた人類の首都星 今は人類に返還している
惑星メサイア ミュウが移住した惑星
育英都市スメール フィシスとカナリア達が住む都市
木星軌道上の衛星都市メティス 二人がいた建物
ジュピター キース警護時のジョミーのコードネーム(シャトル所有)
『君がいる幸せ』 四章「心のままに」(短編集)三話
Epilogue Bridge 「道なき道へ」二(全三話)
※この章は流血もBLもあります。時間も飛びます。ご注意を!
ドアを開けて部屋に入ると、大きな机の向こうにキースがいた。
もちろんまだ車椅子だったが階級章の付いた軍服をきちんと着ていた。
そして「完全復帰はまだなんだがな」と言った。
それは僕が軟禁拘束されたままなのを、何とかする為にそうしたということなのだろうか…。
「お前の申し出だが、こちらの心臓部にあたる軍にお前を所属させるわけにはいかない。だが、俺の警護をするだけならという事になった」
「…え…」
にわかには信じられなかった。
これは僕にとっても本当に意外な回答だった。
まさか人類が受け入れるとは思っていなかった。
「二週間もサイオンを一度も使ってないのには、正直俺もびっくりした。一度でも少しでも使ったら追い出すつもりだった」
「……」
「俺の警護だけとは言ってもここは軍隊だ。お前の事を知っている者、いや、恨んでる者も 多いだろう。そんな中でいいのか?」
「ああ。覚悟はしている」
「聞くまでもないか…。それで知っておきたいのは、お前の能力だ。こちらのデータではこれだが、どうなっている?」
宙に浮く電子パネルのデータをこちらに向けた。
「これは…地球へ降りる前ので、今は、僕でもよくわからない。ソルジャーのタイプブルーの力は実戦経験で上がるから、マザーを倒した今の僕は自分でも測れない…」
「そうか、では。自分の推測でいい。具体的に聞くが、ここからどこまで飛べる?」
「普通の状態で直線で上に飛ぶなら五千メーターくらい、空間移動、ワープをするなら、火星くらいまでなら…行けると思う」
「前に、星を破壊出来るか?と聞いたが、この木星クラスのは壊せるのか?」
「壊す事も、自転を止める事も出来る。星の性質にもよるけど木星タイプなら連続で三個は壊せると思う」
「データは紙くずだな…」とキースが失笑した。
「サーチ能力があると聞いたが、どこまで見えている?」
「広げれられるだけ拡げると、ここメティスはカバーできる。一点集中で視ると、火星までかな?見れないと跳べない」
「防御能力は?」
「シールドの範囲はサーチと同じくらいだと思う。攻撃された時に使うから、どこまでの硬さとは言えない」
「時間も止められるな」
「ある程度の物質なら止めれる。もしくは、自分が時間より早く動ける」
「では、試しにここでシールドを使ってもらっていいか?」
「え…ここで?」
それは簡単に見てみたいという感じではなかった。
慎重に周りを見るジョミー。
意図が読めない。
キースの目の色に変化があっただけだ。
(この男は、ミュウの扱いに長けているんだったな…)
「わかった…」
ジョミーはシールドを展開させた。
「メティス全体まで広げられるか?」
「ああ、やってみる」
ジョミーから青いオーラが出る。
キースの机にあるもう一つのパネルに、サイオンを感知したという表示が拡がってゆく。
外の警報が鳴ったが、この部屋には誰も来なかった。
彼が止めている…。
僕になにをさせる気なんだ…と思った瞬間。
直上に衛星兵器がありここを狙っている事にジョミーは気付いた。
「!」
ジョミーは、基地上空に跳んだ。
基地(ここ)を中心にしてメティス全体を覆うようにシールドを広げた。
その直後、衛星からのレーザーが放たれる。
メティスのドームの外で青い稲光が何本も走る。
衛星都市メティス全体が大きく揺れた。
「……」
攻撃用衛星が移動してゆく、二発目は撃ってこなかった。
ゆっくりとジョミーが基地に向かって降りて来る。
基地の屋上で衛星を見送っていたジョミーに、上に上がってきたキースが声をかけた。
「守れたな」
「キース。君は。メティスを木星に落とす気か!?どういうつもりだったんだ」
「その力を、これからは人間の為にも使いたいからここに来たのだろう?」
「…キース」
ジョミーはキースを睨む。
「もし、僕がシャングリラだけを守ったら、どうするつもりだった…?」
「その時は、死ぬだけだな。だが、お前はそうしないと思っていた」
「……」
とてつもなく大きな賭けに負けた気がした。
…そう思っても、彼を守るのが今の僕の生きる道だ。
「キース、僕の後ろに」
とジョミーはシールドを貼りなおした。
「……」
「ああいう事は…先に言っておいてくれないと」
ジョミーが言った時、上から光の玉が落ちてきた。
シールドをキースの回りに保持しシールドを抜けて光の玉を相殺するジョミー。
「さっきのは何?」
降りてくる声。
「誤作動みたいだよ」
「ふーん」
「トォニィ。僕が何をしても黙っていると約束したよね」
ジョミーは語気を強めた。
「今日は帰る…」
下にいるキースをひと睨みし、その服、似合わないよと言い残してトォニィが戻って行った。
「衛星より危ないかもしれない」
ジョミーがため息まじりに言った。
トォニィが去った後、キースが僕にある提案をしてきた。
それは、ミュウの力を封印した状態でいてくれないか?というものだった。
そしてキースは僕を改築中の古い建物へ案内をした。
「ここは俺が住む予定になっている所だ。ここにお前の部屋も作るといい。左右シンメトリーになっている。右半分を好きに改造しろ。ここには俺の部下も常駐する。彼らは優秀な部下達だ。俺と同じようにお前の言う事にも従うだろう。そう訓練されている」
そう、ここがそれから二年あまり暮らす事となる。
衛星都市メティスの「ビルレスト」だった。
続く